未知なるアフリカの国アンゴラ探訪記

アンゴラの子供たち

町の子供たち

ペドラス・ネグラスにて

バオバブの群生が大迫力!

まっすぐに果てしなく続く一本道をトヨタのランドローヴァーがひた走る。時速100Kmをゆうに超えるスピードだ。
舗装されたきれいな道路は両側を赤土の大地に囲まれている。バオバブの上品な並木道など比較にならないごちゃごちゃ感。
何千何万本ものバオバブが太いのや細いのや、大きいのや小さいのがそれぞれの形を誇示するみたいにニョキニョキと地面から生えているのだ。
こんな迫力あふれるバオバブをこれだけの数見たことがない。圧倒された。

車が急ブレーキをかける時がある。それは舗装道路のそこここに現れる穴ぼこ。これをよけて通らないと大惨事だ。
それから、車などモノともしないヤギの親子が道の真ん中で葉っぱなど食べている時だ。のどかなものだ。郊外を走っているとき、かならず姿を見せる動物はヤギか羊、時々野良犬。
村を通ればカラフルな布を巻いた女性が頭の上に物をのせて歩いている。

首都ルアンダの町はアフリカのどの大都会とも異なるモダンでおしゃれな町並みに発展している(内戦の後、町は大きく発展をとげたのだ)のが驚きだったが、一歩田舎へ足をのばすと、そこには予想通りの大自然が美しい姿を見せてくれた。村の子供たちは皆、旅行者の車と見れば、珍しいのかしきりに手を振ってくれる。

カランドゥラの滝

プチビクトリア滝との呼び名も高いカンドゥーラの滝へ

この国のハイライト的存在のカンドゥーラの滝、これはビクトリア滝のライバル(とアンゴラ人が勝手に呼んでいる?)である。105mの落差を誇る。

乾季の終わりなので水量こそ少なめだったが。観光地化されず、入場券すら買わなくて近づける滝は逆に柵も何もなくて恐いほどだ。
小さな岩場を越えてすぐ上まで近づいて水が落ちるのを見たり、急な岩場を歩いて下まで降りて滝を見上げたり、遠く離れた展望台まで車で走り、違う角度の滝を楽しんだりすることもできる。

誰も管理していないせいで、その辺にゴミが散乱していたり、かつてのミラドールのゲストハウスが廃墟になっていたりして、まだまだ観光地への道はこれからだと感じさせられた。

ペドラス・ネグラスにて/ドランバーガイドさんと

ペドラス・ネグラス

「黒い岩」見学やサファリも楽しみ

大きな奇岩“パブラスネグラス”(ポルトガル語で黒い岩)である。どうしてこのように大きなユニークな形の岩山がいくつもそびえているのかは謎が多いそうだ。岩山の中に入っていき展望を楽しむのもアドベンチャー気分も味わえるのだ。

アンゴラは大きな国だ。
毎日380Kmとか450Kmといった移動距離である。苦行にあえぐ修行僧のような日々かと思ったが、予想外にまっすぐな道がけっこう多いので楽だ。
むしろなぜか眠くて眠くて、いくら寝ても車の中で居眠りをしてしまうのはあまりにもまっすぐな道と、のどかな景色が続くせいか。

「キッサマ国立公園」というちょっと偉そうな名前の国立公園でサファリができる。
ここは川沿いのサバンナエリアを柵で囲って、2000年に南アやボツワナから動物を購入して始まったそうである。ルアンダからは車で1時間と予想外に都会に近い国立公園であった。
ただし本格的なサバンナには、川ありユニークな木々あり、緑のブッシュありで、風景は走っているだけでムード満点。国立公園内には全部で15頭いるとされるゾウをはじめ、動物がいるにはいるが、昼間のサファリはやはり動物が少なくて物足りないものであった。

キリン3頭、ブッシュバック5匹、ヌー3頭、クドゥ1頭。以上が2時間走った成果であった。
ガイドさんが「ここは動物園じゃないですから、何が見えるかは保証の限りではない」というのもたしかだ。ケニアのようなサファリとは対極にある。その代り車にもめったに出会わないし、人っ子ひとりいないサバンナを独占している気分は上々である。動物を見つける喜びもひとしお。

リバークルーズ

リバークルーズ

居心地よかった川沿いのロッジ

クワンザリバーロッジ」はクワンザ川の川沿いにあって行き届いたサービスの居心地のいいロッジだ。シンプルながら、室内はエアコンが効き、ホットシャワーもでる。蚊帳のあるベッドに、物を置くスペースもたっぷりの棚があって便利だ。

乾季とあって蚊もいないし、虫一匹室内に入って来なかったのは予想外であった。南ア出身の女性マネージャーがいろいろ取り仕切っているので食事も素朴ながら美味しいもので、心遣いを感じる。

ビュッフェディナーでは、少ないゲスト用に作りたてを出してくれた。
ある日のディナーは炊きたてご飯と川魚のフライ、手作り感のある美味しいフレンチフライ、そしてエビのガーリック炒め、メキシコでよく出るタイプの煮豆。デザートはマンゴとアイスなどなど。エスプレッソマシーンまで置かれているレストランにびっくり。

ここのクルーザーで目の前の川をクルーズする体験は楽しいものだった。主には鳥を探し、時々サルたちが木の間に見え隠れしているのを探すのだ。
このロッジを拠点にキッサマ国立公園のサファリをするのがおすすめのプランといえる。

ミラドーロ・ダ・ルア

こんなステキなホテルもある!(エピック・サナホテル/ルアンダ)

情報のないこの国の前評判は悪かった・・・

アンゴラへ行くと言うと、皆に「どんな国?何があるの?内戦は大丈夫?」と聞かれた。
私自身アンゴラのことを何も知らなかったので、答えようがなかったのが本当のところだ。

内戦は最近終わって平和になったはずだけど・・・。その程度の知識でやって来たのが恥ずかしいのだが、前知識なしに新しい国を訪れることも私の中では密かに旅の醍醐味なのである。想像をあれこれ膨らませて、現実とのギャップを知る。

まず、ナミビアの北に位置するから南部アフリカというイメージがあったが、実はタンザニアのダルエスサラームと緯度があまり大きく変わらないとわかりびっくり。ヨハネスブルクからのフライトが4時間近くかかったはずだ。アンゴラに直接入るのならエミレーツ航空のドバイ経由の方が断然早い。

来るまではアンゴラはハードルの高い国だといううわさがあった。物価も高いしビザを取るのも大変だと聞いた。
その割に見どころがないという悪評もあった。実際のところはどうなんだろうか?

ムシマ教会にて

旅の準備は煩雑で、たしかにちょっとハードルの高い国のようだが・・・

実際、ビザの取得は大変だった。代理申請が不可なので本人申請のみ。
イエローカード、eチケット、現地のインビテーション(招聘状)、滞在先のリストに英文行程表などのいろんな書類を揃えていき、なんと指紋まで取られた。

今どきどんな国がこれほど厳しいのかとちょっと呆れた。
人が行かない辺境を旅するためには、それなりの苦労が付いてくるのは仕方がない。

ところが大使館はよくあるマンションの一室とかではなく、立派な門構えで驚いた。
アンゴラはオイルを有するお金持ちの国なのだ。そして大使館でいた担当の人はフレンドリーで親切なアンゴラ人だった。
それだけで気分は盛り上がったのだった。

首都ルアンダの空港も予想以上にモダンできれいだ。
予想とはまったく異なり、入国もスピーディだった。イエローカードのチェックはしっかりされるし、アメリカのように顔写真も撮られるけれど、入国カードもなくシンプルな入国だ。係員も感じいい。この国の人々は皆親切なのかも。

教会の入り口にいた人

リバークルーズにて

キーワードは「パイオニアの旅」

アンゴラの独立は1974年と遅い。
モザンビークなどと並ぶポルトガルの植民地時代が長かった国だ。それで国民は皆ポルトガル語を話す。
カトリックを信仰し教会へ行く人々は黒人と白人が入りまじっている。内戦も2004年に終わっていた。つまり13年も前から、この国は平安であったわけだ。

こないだまで内戦をしていたとか思い込みもはなはだしい。しかも地元の人の話だと、内戦の大部分は地方で行われ、ルアンダの町ではそれほどひどくなかったそうだ。

この国の物価はたしかにとても高い。それでも行く価値がある国だ。
アンゴラへの旅のキーワードは「パイオニアの旅」情報の少ない、人々の行かない国を目指して、今こそ辺境の国の真髄とも言えるアンゴラを旅してほしい。

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