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今にして思えば、人生でトレッキングと呼べるほどたくさん山歩きをしたのはここエル・チャルテンが最初でした。1日目は少し足慣らしをして、2日目の午前に12㎞4時間コースと、3日目に午前8㎞3時間コースと午後に40分コース。日頃山歩きをしている人にとってはどうってこともない話でしょうけれど、日頃ほとんど運動していなかった私どもには画期的な出来事だったのです。
南米最南端、パタゴニア地方にあるロス・グラシアーレス国立公園は世界遺産で、動く氷河として迫力いっぱいのペリトモレノ氷河は有名です。その観光の拠点の町カラファテから北へ220㎞余り車で走ったところに位置するエル・チャルテンの村。そこはパタゴニアの最高峰3405mのフィッツロイ山観光の拠点なのです。ギザギザと尖がったフィッツロイの山並みは魅惑的で、村のホテルに滞在してトレッキングやハイキングを思う存分楽しんだのです。
ラグーナ・カプリ(カプリ湖)トレッキングにトライ
エルチャルテンに来たら絶対トライしてみたかったのが、ここでのトレッキングの目玉として外せないラグーナ・カプリのトレッキングでした。フィッツロイ山のミラドール(展望台)を目指す念願のコース。ガイドなしで行けるコースなので、標識を頼りに歩き始めました。村の外れの登り口まで約15分とのこと。ところがその場所がなかなか見つからず村人のおばあさんに聞いて行きました。最初は草むらに迷い込んでしまったのですが、下へ降りていくと無事標識マップ発見。片道1時間45分と書いてある行程は、いきなり坂道の登りが続くハードな階段状の道が続きます。息が上がって汗びっしょり。でもきれいな花が咲き視界が広がる眺めのいい道と大きな岩山が迫る道が続き、ワクワクしてきます。
ラグーナ・カプリからまだ先へ終日で歩く人も多いようで、出会うトレッカーはストック持参で皆さん本格的な装備です。軽装の私たちはそれでも無事ミラドールに到着。目の前にフィッツロイの尖がり岩山が聳え、それも結構近くて素晴らしい眺めです。はるばる登って来た甲斐があります。ここからラグーナ・カプリを見下ろす道を抜けて最終地点に到着です。下りはかなりスピードアップして遅いランチタイムにはゲートに戻ったのです。さすがに12㎞の歩きはすでに足腰がヨレヨレの状態。平地のコンクリートの道を歩くと足がガクガク。日頃少しは運動しておけばよかったと反省。
エルチャルテンの村には結構美味しいレストランが多いので、さっそくランチのお店へ飛び込んで、熱々で美味しいソパ・デ・アホ(ガーリックスープ)やピザ、トルーチャ(鱒)のグリル、ロモ(牛ロース)のステーキをオーダー。ここで食べすぎるから、せっかく沢山歩いたのにカロリーオーバー。でも歩いた後、お腹ペコペコの時の食事はやっぱり美味しくて、最高のご褒美です。
ミラドール・トーレスのトレッキングへ
翌朝はあいにくの小雨。ガイドさんを雇っていたので、天気が悪くても楽しめるルートを提案してくれました。ガイドさんはロングヘアのいかつい兄さん。気は優しくて力持ち。でも無口で愛想はあまりないタイプ。完全装備で大きなリュックを背負っているので、こちらの軽装が悪くなるけれど、ガイドとして緊急時の装備を持っているようです。
フィッツロイ山は見えないものの、その隣のトンガリ山であるトーレス山が見えるミラドール・トーレスへのコースです。なだらかな行程と坂道が交互に現れるので、昨日よりも楽な初心者向きコースでした。途中マルガリータの滝やフィッツロイ川も下の方に見えます。砂利道や滑りやすい道もあってハラハラするけれど楽しい行程です。ガイドさんが花や鳥の説明をしてくれます。
パルメラと呼ばれる黄色い花がたくさん咲いています。地元の人はお茶にして飲むと胃に良いそうです。小さなトゲトゲの植物ネネオは「姑の座布団」という呼び名があるそうでちょっと笑えます。木の枝にはキツツキみたいな鳥チリフリッカーが2羽とまっています。いろんな説明が聞けるのもガイドさんの付いたツアーならではの楽しみです。ミラドールに到着した達成感もあったのです。
午後はバンで1時間ほど山奥へ走ります。エル・チャルテンの北37㎞に位置するラーゴ・デシエルト(デシエルト湖)。湖の遊覧ボートもありますが、その日は午後は休みで、湖畔の森を40分ほど散策します。緑豊かな森の中は、木の幹まで苔が付いていて、瑞々しい緑の葉が透けて見え、ブルーの湖面も美しく、癒される散歩道でした。湖畔からは氷河の一部分が望めますが、天気が良ければ氷河まで歩くのがお薦めとガイドさん。あいにくの天気なので断念したのです。
エル・チャルテンってどんな村?ホテルは?食べ物は?
フィッツロイ山などの登山やトレッキング、ハイキングなどの拠点となる、雪山に囲まれた静かで小さな村がエルチャルテン。たくさんの旅人がここを拠点にアクティビティを楽しむので、予想以上にホテルやレストランも多く、ピザリア、スポーツグッズ店、スーパーマーケットなどもパラパラと点在しています。山のツアーやキャンプ、乗馬などスポーツアクティビティの予約ができる旅行会社のオフィスも村の中にいくつかあります。ロス・グラシアーレス国立公園の中にあるので、公園のセンターもあって規制が厳しい面もあります。
私が滞在したのは、「ロス・セロスLOS CERROS」。村の高台にあって大自然の懐に包まれたように位置する静かなホテルで、村では一番の高級ロッジでした。ローズピンクの外観は自然の中で目立つ存在。洗練されたインテリアが素敵でした。
角部屋の「フィッツロイ」という部屋は2面ガラス張りで解放感抜群。フィッツロイ山が見えるわけではないものの、他の雪山が眺められて癒される風景です。広いバスルームにはジャグジーバスが付いています。スタッフも感じよく親切で、レセプションにいたハリーポッターに似たフランシスコさんは、当時私がかけていた眼鏡のねじが緩んでしまって困っていたら、小さなドライバーを探してきて直してくれたのです。
ただしレストランはエレガントで気取っている割に味がいまいちで、食事は村のレストランの方がいろいろあって安くて美味しいので、もっぱら外食して帰ったのでした。アルゼンチンだけあって網焼き肉のパリージャなど牛肉はボリューミーで最高に美味しいのです。
エル・チャルテンへの行き方 気候などの注意点
日本からエル・チャルテンへの行き方としては、まずアルゼンチンの首都であり玄関口のブエノスアイレスへ飛びます。直行便はないのでアメリカ経由のフライトを利用するのが一般的。ブエノスアイレスからは国内線アルゼンチン航空のフライトでカラファテ(エル・カラファテ)まで所要3時間15分。カラファテを拠点にペリトモレノ氷河やウプサラ氷河などの氷河観光をするのが一般的で、むしろエル・チャルテンまで足を延ばす日本人はまだ少数派なのです。
カラファテからエルチャルテンは北へ220㎞、車で走ること約3時間。日帰りのエル・チャルテンツアーも催行されていますが、かなり遠いのでエル・チャルテンに最低1泊、できれば3泊くらいはしてのんびりトレッキングなどしてほしいところです。
パタゴニアのペストシーズンは現地の夏にあたる12月から3月です。3月中旬を過ぎたら、オフシーズンに入り雪が降って道路が閉鎖されることもあり、エルチャルテンのホテルやレストランもクローズしてしまうところが増えます。
パタゴニアの旅行自体季節限定のもの。時期を狙って計画することが肝心です。
現地の夏場のベストシーズンであっても、ペリトモレノ氷河などの氷河観光もメインイベントとなるため、温かい服装が必要です。大自然を巡る旅行ですから、華美な装いは不要。カジュアルでトレッキングの際も雨や風除けになるしっかりしたウィンドブレーカーを持参するのがおすすめです。セーターは持って行く必要があるものの、現地で素敵なセーターが手に入ることもあるので、お土産に現地でゲットするのもありでしょう。
まとめ
パタゴニアといえばペリトモレノ氷河は知っていても、エル・チャルテンのことは知らなかった方も多いのでは?山歩きが好きな人ならぜひ足を延ばしてほしいところです。次回の計画にエル・チャルテンを入れてみてください!