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中央アジア、特に旧ソ連諸国であった5カ国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)は「アジア」ではあるのですが、我々日本人からすると欧米諸国と比べても距離を感じる国かもしれません。
そんな数ある中央アジア諸国の中で、今回紹介するのがキルギスです。
キルギス、と聞いてパッと観光地が思い浮かぶ方はそういないと思いますが、実は「中央アジアのスイス」と呼ばれるほど自然豊かな国なのです。
ヨーロッパアルプスに負けない圧倒的な大自然、それでいて料理も美味しく、日本人とどことなく顔つきが似ており、どこか懐かしさや親しみを感じられるのがキルギスの素晴らしさです。
さぁ、そんなキルギスの魅力を紐解いていきましょう!
キルギスってどんな国?
正式名称は、キルギス共和国。東は中国、西はカザフスタン・ウズベキスタン、南はタジキスタンに接しています。かつては周辺の国と同様に「~スタン」で終わる国名、キルギスタンと名乗っていましたが1993年に現在のキルギスとなりました。
面積は約20万平方キロメートル、日本の約半分です。そして国土の約40%が標高3000mを超える山岳の国なのです。
キルギスの民族構成は、キルギス人が約7割。その他、ウズベク人やロシア人、中国系のイスラムであるドゥンガン人や中央アジアに広く居住するウイグル人など40を超えるの多民族国家です。
冒頭でも述べました通り、キルギス人の見た目は日本人そっくりです。思わず日本語で声をかけてしまいそうになるほど似ています。シャイで、真面目な国民性も、親近感を感じる要因かもしれません。
キルギスの見どころとは?
いわゆるキルギスで定番の観光地として真っ先に名前が挙がるのが、「ブラナの塔」と「イシククル湖」です。
「イシククル湖」はこの時期の後半で詳しく説明しますので、こちらでは「ブラナの塔」を紹介したいと思います。
◎ブラナの塔・・・ビシュケクから車で約1時間半。10世紀から13世紀に隆盛を誇ったカラハン朝。中でも知られているのが11世紀初めに完成されたとされる巨大なミナレット、ブラナの塔です。かつては45mもの高さを誇ったそうですが、15世紀ごろの地震の影響で塔の先端部分は崩落してしまい現在は24mの高さとなっていいます。ブラナの塔の周辺にはカラハン朝の繁栄を物語る貴重な遺跡や出土品を見ることができます。
中でも目を引くのが戦士や貴族を弔うための墓石「石人」です。墓石は亡くなった方の特徴をもとに造られており、例えば、男性の石人にはヒゲがあったり、女性の石人にはネックレスをつけていたり、1つとして同じものはありません。
もちろん山岳の国であるキルギスでのハイキングも非常に人気があるアクティビティです。
私がイシククル湖東部の街・カラコルに滞在した時は、多くの欧米からのハイカーたちを目にしました。彼らの住むヨーロッパやアメリカにもたくさん素晴らしい自然があるにもかかわらず、キルギスに訪れるのですから、キルギスには我々日本人が気づいていない魅力がまだまだありそうですね!
キルギスの玄関口・ビシュケクの魅力
キルギスの首都ビシュケクはキルギス最大の国際空港のある街で、多くの旅人にとってキルギス観光の拠点となる街です。
「緑の街」の愛称通り、ビシュケクは街全体が一つの公園のようで緑が豊かな風光明媚な街です。そして標高750mの天山山脈支脈キルギス・アラトーに位置していているため、街のどこからでも4000m〜5000m級の山々を見渡せるのが印象的です。
ソ連時代の面影を感じさせる南北・東西に延びる大通り、劇場・バレエホール、そして巨大な銅像を見ることができます。その一方でローカルな雰囲気漂うオシュ・バザール、自然が美しいアラ・アルチャ自然公園などのキルギスならでは観光スポットも見逃せません。
イスラム教が大多数の国キルギスですが、街の中心部はキリスト教正教の教会がほとんどです。しかしビシュケクには中央アジア最大の収容人数を誇る「セントラルモスク」があります。2018年に完成したこの巨大なモスクはイスタンブールのブルーモスクを彷彿とさせる美しさで、礼拝の日には6000人もの人々が集うそうです。
「天山の真珠」の異名を持つイシククル湖とは?
イシククル湖は天山山脈の北、キルギス北東部に位置する、琵琶湖の9倍もの広さのある古代湖のことです。古代湖とは100万年もの前から存在する湖のことで、世界には数えるほどしかない珍しい湖です。
さらにイシククル湖の透明度はバイカル湖に次いで世界で2番目に高いとされ、20mもの深さでも澄み渡って見えるほど美しい湖なのです。夏になると大勢の国内旅行客が海水浴ならぬ湖水浴を楽しむためにイシククル湖に訪れ大きな賑わいを見せます。
豪華なリゾートホテルも多数ありますので、優雅に湖畔でのんびり過ごすのもいいですね。
このイシククル湖ではボートクルーズや、古代サカ族が残したとされる岩絵、イシククル湖をヨーロッパに紹介した探検家プルジェバリスキー博物館、さらにラドン温泉など見どころに事欠きませんが、是非訪れてほしいのが、南岸のジュデイ・オグスの奇岩と渓谷です。
人を寄せ付けない赤茶けた荒々しい景観がある一方、川に沿って登ると青い空と深緑に生い茂る木々と鮮やかな若葉のみどりの絨毯、美しく澄んだ小川が見える、まさに桃源郷のような場所です。
キルギスNO1の絶景 ソンクル湖とは?
キルギスにおいて2番目に大きいソンクル湖。その知名度からは今のところキルギス観光の定番とまでは言えませんが、これから人気急上昇間違いなしの絶景スポットです。
このソンクル湖はなんと標高3000mを超える高所にあるため、冬は深い雪と氷で閉ざされてしまい行くことができません。春の終わりごろになるとソンクル湖周辺の雪や氷は解け始め、遊牧民たちは多くの家畜を引き連れてこのソンクル湖にやってきます。
旅行者も同様、6月から9月初旬までの夏の短い期間の中でしか訪れることができないのです。
限られた期間ではありますが、ソンクル湖に足を運んだ旅行者は高山植物が満開のシーズンにソンクル湖周辺をハイキングしたり、乗馬を楽しんだり思い思いに過ごします。そして夜にはこの世のものとは思えないほどの満点の星空を堪能できます。標高が高く空気が澄んでいるソンクル湖は、星空観賞するには世界有数のスポットとなっているのです。
秘境中の秘境!キルギス南部のパミール・アライ
北部に比べて観光でまだまだ訪れる人は少ないものの、ぜひ訪れて欲しいのがキルギス南部です。
キルギスとタジキスタンとの国境に跨るトランス・アライ山脈の絶景が旅人を惹きつけてやみません。伝統的な暮らしが残っているのもこのキルギス南部が旅人を魅了する理由の1つになっています。
元来キルギスに暮らす人々は遊牧民族でした。定住化が始まったのが1922年からのソ連時代以降。農作物の安定した調達を目的としたソ連政府の政策により、多くのキルギスの人々は都市部で暮すようになりましたが、キルギス南部では未だ遊牧生活を送っている人々が少なくありません。
キルギス南部には豪華なホテルはなく、遊牧民の経営する民宿あるいは遊牧民の伝統的移動式住居(ユルタ)に泊まることになります。決して便利で機能的な施設ではありませんが、雄大な景色と素朴な人々の温かいもてなしは一生の思い出になることでしょう。
キルギスへの行き方
それではキルギスへのアクセスをご紹介します。
残念ながら日本からのフライトはかなり不便な部類に入ります。1回乗り継ぎで行ける航空会社はターキッシュエアラインズあるいはアエロフロート航空ですが、料金が高額だったり乗り継ぎ時間が長すぎることがケースが多いようです。
そのため大韓航空やアシアナ航空でカザフスタンのアルマトイからキルギスに入国する方法も一般的です。
アルマトイからビシュケクは車で約5時間の距離。途中でパスポートチェックはありますが非常にスムーズです。ビシュケクに住む人々もアルマトイまで買い物に行くことは日常的によくあるのだとか。
もしあなたがカザフスタンにまだ行かれたことがないのであれば、キルギスとのコンビネーションもおすすめです。
アルマトイ→ビシュケク→イシククル湖→カラコル→チャリンキャニオン→アルマトイのようにアルマトイから時計回りにキルギスとカザフスタンを周遊するのもいいかも知れませんね。
キルギスへのツアー
キルギスへの旅行は事前の手配が不可欠です。何故ならキルギスの公用語はロシア語とキルギス語で、観光地への移動には車をチャーターする必要があるからです。
キルギスへのツアーは数は少ないながらも日本の旅行会社がいくつかツアーを設定していますが、まだまだ日本人にとってはメジャーな観光地ではないため、ツアーがあったとしても行きたいところが入っていなかったり、出発日が限定されていたり、自分にとってベストな条件ではない可能性の方が高いでしょう。
しかし個人旅行専門でキルギスに詳しいスタッフがいる旅行会社であれば、希望通りにプランニングが可能です。例えば隣国であるウズベキスタン・カザフスタンとの周遊や、キルギス北部と南部を一度に周遊する旅行などです。
せっかくの貴重な旅行の機会を不満の残るものにしたくないですよね。キルギスへの旅行を100%満足できる旅行にするためには、事前のプランニングは欠かせないのです。
まとめ
いかがでしたか?
知られざるキルギスの魅力について、ご紹介いたしました。
一人でも多くの方にキルギスに興味を持っていただければ幸いです。
一刻も早くコロナが終息し、キルギスへの旅行が再開されることを願っています。