目次
ヨーロッパの中でも長い歴史を持つ大国フランス。今回はそんなフランスの都市部ではなく、のどかな村の風景を味わって頂けるよう、数多くの魅力的な村の中から10個厳選しました。村めぐりで見えてくるフランスの歴史と宗教の関係性、独自の土地利用、突出した建築技術や様式の多様性。もちろん美味しいグルメやワインも外せません。実際に訪れる前に、そんなちょっとした知識を持っておくことで理解の幅が広がります。十字軍の歴史、童話のような雰囲気、村に伝わる伝説・・・。現代社会から少し離れて、古の世界に触れてみませんか?
静かに燃える炎が見える?赤に染まる村ルシヨン
焚火の炎のように落ち着いた、なじみの良い赤色の家屋が印象的な南仏プロヴァンスのルシヨン。美しい村が集まるリュベロン地方に位置します。列車とバスを乗り継ぐか、タクシーや貸切専用車の手配もおすすめ。ルシヨン独特の赤に染まる景色は、ローマ時代から使用されていた天然のオークル(赤土)によって形成されています。オークルを利用した顔料は、18世紀の塗料産業の発展に貢献しました。
オークルを使った産業は科学技術の発展で衰退しますが、オークルと漆喰で作られたペンキで村の家や教会の壁を塗ると、その美しい景観によって観光業が発達します。雑貨屋が多く、ラベンダー等のハーブを売る店もあって南仏の雰囲気が漂います。また、黄昏時の夕陽に染められてよりオークルの赤が濃くなる時間帯は必見。温かな「炎」に包まれた村の光景はきっと忘れられません。
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高難易度の迷路コースを攻略せよ!ゴルドの村巡り
岩の上に建つ村の中でも生粋の美しさを誇るプロヴァンスの村ゴルド。ルシヨンと同じくリュベロン地方にある代表的な村です。映画の舞台としても使われており、同地方の中でも特に人気の場所です。岩だらけのカラヴォン谷の頂上には、16世紀ルネッサンス時代の城塞(シャトー)がそびえ建ち、そこから渦を巻くカタツムリの殻のように家々が並んでいます。
難攻不落の城塞都市ともいえるゴルドの村は、迷路のように入り組んでいて散策のし甲斐があります。また、この村にあるシトー会派のセナンク修道院はラベンダー畑の景勝地としても有名です。初夏の時期には淡い紫色が地を埋め尽くして咲き誇る豊かな景観を堪能できます。崖の上に佇む神秘的な村の景観を楽しむのも良いですが、村の高台から見下ろすと点在するブドウ畑やリュベロンの自然あふれる山並みも絶景です。
十字軍の目的は果たされたのか?歴史都市カルカソンヌ
アルビジョワ十字軍の拠点となった世界遺産都市カルカソンヌ(カルカッソンヌ)。カルカソンヌのあるオード県は、「カタリ派」という宗派の里でした。この地方のアルビという都市を中心に活動していたために「アルビジョワ派」という異名を持ちます。当時人気を集めたカタリ派に脅威を感じたカトリック教会が十字軍を指揮し、カタリ派は1321年に悲劇の末路を辿ることとなりました。
中世の重要な歴史を持つカルカソンヌではヨーロッパ最大級の城壁が残り、この城壁内を「シテ」と呼びます。各門から入って自由に散策出来ます。特にサンナゼール・バジリカ聖堂内部のステンドグラスは南仏でも有数の美しさを誇ります。また、重厚な壁で守られたコンタル城は必見!城壁からは風光明媚な景色を楽しめます。夜はライトアップされ、一気にロマンチックな雰囲気に!
エリア | 6947+GF4 カルカッソンヌ, フランス |
アクセス | トゥールーズからTGVまたは鉄道(INTERCITES/要予約)で約45分。TERで約1時間10分。 モンペリエからTERで約1時間45分。パリ・オステルリッツ駅から夜行列車(要予約)もあります。 |
長い道のりを経てたどり着く神秘的な巡礼地コンク
キリスト教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路である「ル・ピュイの道」の要所として名高いコンク。スペインにあるサンティアゴ・デ・コンポステーラには聖ヤコブの遺骸があるとされ、ローマやエルサレムに並びキリスト教の三大巡礼地として有名です。ここに続く道は西欧諸国からいくつも伸びており、巡礼者は聖地を目指して長い道のりを辿ります。
村に着いたら、巡礼者が必ず立ち寄る世界遺産サント・フォワ修道院教会を訪ねます。4世紀初頭、12歳という若さで殉教したとされる聖女フォワの伝説が残る教会です。教会のタンパン(入口上の彫刻)に掘られた繊細な彫刻は必見。聖女の聖遺物は、教会隣の宝物殿に納められています。巡礼路の目印であるホタテ貝の道しるべを見つけて、巡礼者の気分に浸ってみるのもおすすめです。
エリア | 〒12320 コンク=アン=ルエルグ |
アクセス | トゥールーズからTERでロズデ(RODEZ)まで約2時間20分、そこからバスで約1時間15分。(土日は運休) |
鳥になって羽ばたくような気分で訪れたいエズ村の魅力
コバルトブルーの地中海に面するコート・ダジュールの海岸線に、孤立したように建つ丘の上の村エズ。各地にある「鷲の巣村」のひとつとして有名です。鷲は、卵や雛を他の動物から守るために崖などの高所に巣作りしますが、防衛に特化した様子が村の形態と類似しているため、暗喩表現を用いて呼ばれる要塞村が南欧には多く存在します。
村は中心部まで車が入れないため、徒歩で坂道や階段の多い迷路のような道を散策します。小さな村なので1時間ほどあれば網羅出来ますが、細い路地の一角で写真を撮ったり、香水博物館やコスメグッズを見てまわったりと飽きずに楽しめます。高台にある城跡は現在、エズ熱帯庭園となっており、青く遠くまで続く地中海の水平線を眺められる絶景スポットです。石壁で囲まれた愛らしい村の景色に魅了されること間違いなし!
エリア | エズ, フランス 〒06360 |
アクセス | ニースの長距離バスターミナル(GARE ROUTIERE VAUBAN)から約40分。 |
素朴な童話の世界に迷い込んで!サン・シル・ラポピー
フランスを代表する詩人シャルル・ペローの童話に出てきそうな秘境の村がこちら。ほどよく素朴で生活感の溢れる雰囲気が居心地の良い村です。南西部のフィジャックもしくはカオールという町からバスやタクシーで1時間ほど。ロット川沿いにひっそりと佇んでいます。村のシンボルは断崖の上にそびえるロマネスク様式のサン・シル教会。
教会も並ぶ家もシンプルながら味のある素朴さが魅力的で、この地がかつて百年戦争を代表とする土地争いの対象となり、抗争が繰り広げられたとは思えないほど和やかな空気が流れています。15~16世紀の古い民家や石畳の路地など、その雰囲気はまるで絵本の中。崖のてっぺんには朽ちた城の外壁が残っており、ここから村を一望できます。飾らない美しさを内に秘める村には、野原に凛と咲く野花がよく似合います。
エリア | FM49+GR3 サン=シルウ=ラポピー, フランス |
アクセス | カオールまたはフィジャックからタクシー。国鉄バスでカオールから約45分。またはフィジャックから約1時間。 |
岩に埋め込まれた村?ラ・ロック・ガジャックの景観美
美しい村の中でも異彩を放つ村があります。フランス南西部のドルドーニュ渓谷に位置するラ・ロック・ガジャック。巨大な岩肌に背中を預けて張り付くように広がる唯一無二の景観が、村の最大の魅力。この地方には岩をくりぬいて造られた住居跡が多く残っています。歴史はローマ時代まで遡り、川をつたって侵略に来るヴァイキングから逃れるために崖に沿って村が形成されたのだとか。
村自体は小さく、飲食店等もありますが件数は少ないです。そのため、村を外側から眺めて、特有の光景を楽しむことが観光の中心となります。対岸から村を見るか、もしくは遊覧船に乗ってクルーズ体験をするのが一般的。3月下旬から11月上旬の間、川下り体験が可能です。川からは、奇怪とも言える村の家並みがよく見え、きっと何度もシャッターを切ってしまうでしょう。
ドイツ文化との見事な融合!リクヴィルの景観は眼福
アルザス地方に位置するワイン造りの村として名高いリクヴィル。その村の美しさから、「ブドウ畑の真珠」とも称されています。この地方で有名なコルマールからバスで約35分の立地。村の魅力は、なんといっても可愛い木組みの家。アルザス地方はドイツとの国境に近いことで、ドイツ文化の影響を受けてメルヘンチックでカラフルな木組みの家が多く残っています。
赤・青・黄色・緑など、色彩豊かな家と壁を飾るように咲く鮮やかな花。華やいだ村の景観が、多くの人を虜にします。加えて高台からはブドウの低木が整然と並ぶ畑と村を一望できます。もちろん、アルザスワインの産地としても古くから愛され、親しまれてきました。すっきりとした口どけのワインももちろんのこと、名物であるクグロフやマカロン等の焼き菓子を堪能するのもおすすめです。
エリア | フランス 〒68340 リクヴィール |
アクセス | コルマール駅前から106番のバスで約30分。(日曜運休)。日・祝はセレスタ駅前からTERバスで約35分。 |
不思議な伝説も残る秘境!ムスティエ・サント・マリー
迫力のある岩山に包まれるようにして、とある村が慎ましやかに佇んでいます。プロヴァンスからコート・ダジュールへ続く山岳地帯に突如現れる秘境の村です。石灰岩質の岩山は恐竜の背中のようにも見え、荘厳な雰囲気があります。質の良い土と水に恵まれたこの村は、ムスティエ焼きという陶器の里としても知られています。
村には一つ伝説があります。ある騎士が戦いの渦中で敵の捕虜となり、無事故郷へ戻れたらその証に星を吊るすと神に誓いをたてました。結果、解放されて故郷へ帰り、神との誓いを守って岩の間に星をかけたという話です。この星飾りが未だ、村のどこかにあるので見つけてみて下さい。また、この村にはグルメの人々の憧れる料理界の巨匠アラン・デュカスのオーベルジュ「バスティード・ドゥ・ムスティエ」があり、そこでの食事を目的に訪れる人も多いのです。
この地で起こった奇跡とは?ロカマドゥールの不思議
最後は神聖な巡礼地ロカマドゥール。アルズー渓谷の断崖に佇む小さな村です。1166年に初期キリスト教徒であった聖アマドゥールの遺骸が見つかった際、体が腐敗することなく生きたままの姿だったという不思議な伝説の残る地です。崖の中腹に7つの聖堂と礼拝堂があります。エレベーターもありますが、せっかくならば巡礼者の気持ちを想像して階段でのぼるのがおすすめです。
「奇跡の礼拝堂」とも呼ばれるノートルダム礼拝堂は必見。ここに鎮座する黒い聖母像は、12世紀から多くの奇跡を起こしてきたという伝説があります。聖アマドゥールの遺骸発見に加え、海難を知らせる鐘を鳴らしたとか、百年戦争で救世主となるジャンヌ・ダルクの出現を予期した等数々の言い伝えが残ります。旅の途中、奇跡を願って聖母を拝みに訪れてみてはいかがでしょうか。
エリア | フランス 〒46500 ロカマドゥール |
アクセス | フィジャックからTERで約35分。ロカマドゥール・パディラック(ROCAMADOUR PADIRAC)駅から村まで約4㎞。 |
まとめ
パリなどの都市部とは違った村々は素朴でとても穏やかな時間が流れる場所です。素朴とはいってもどこもとってもタイトル通り美しく絵になるところばかりです。
是非、フランスの美しい村々を巡る旅で非日常の世界を堪能しましょう。
個人での村巡りをするのは不便な為、現地発着のツアーや旅行会社に相談する事をおすすめします。
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