ヨーロッパ各国で盛大に催される冬の一大イベント、クリスマスマーケット。バルト三国でも毎年11月下旬から1月上旬にかけてクリスマスを楽しく盛大に祝います。主に首都の旧市街の中心にある広場に巨大なクリマスツリーが飾られ、その周りを取り囲むように屋台が軒を連ねる風景はとても美しく感動的で、この季節ならではの独特な雰囲気を楽しむことができます。観光のオフシーズンともいわれるこの時期に、三国それぞれ趣の異なる冬の風物詩を体感することで、オンシーズンにはない新たな魅力を発見できるかもしれません。
バルト三国の南・リトアニア
バルト三国で南に位置するリトアニア。国内最大の都市首都ビリニュスの歴史地区は世界遺産に登録されています。旧市街の中心にある大聖堂の前のカテドゥロス広場と市庁舎広場で開催されているクリスマスマーケットが有名で毎年多くの人たちで賑わいます。タウンホールスクエアではクリスマスチャリティバザールが開催され、場内はリトアニアの手工芸品やクリスマスデコレーション、おみやげものなどで溢れます。またイヴには大聖堂でクリスマス・ミサも行われます。バザールからミサまで、さまざまなイベントを通してリトアニアのクリスマスの雰囲気が楽しめます。
「命のビザ」を発給し多くのユダヤ人難民を救ったことで有名な、杉原千畝の記念館があるリトアニア第2の都市カウナス。首都のビリニュスに負けじと旧市街の中心でもあるカウナス市庁舎広場を中心に、クリスマスマーケットが盛大に行われます。市庁舎の建物を背景に大きなモミの木のクリスマスツリーが聳え立っています。ひと際目立つドーム型の可愛いクリスマスマーケットのお店では、キャンディーやホットチョコレートが売られています。ハーブティーやホットワインなどで身体を温めながら、リトアニア特有のキャンドルを選んでみてはいかがでしょうか。
バルト三国の真ん中・リガ
クリスマスツリー発祥の地と言われている(諸説あり)ラトビアの首都リガでは旧市街にある、リガ大聖堂前のドゥアマ広場のクリスマスマーケットが最も有名で賑やかです。広場の中央には巨大なクリスマスツリーが立てられ、その周りにラトビア伝統のミトンなどのかわいい雑貨を売るマーケットや、美味しい料理、ホットワインが味わえる数多くのお店が所狭しと立ち並んでいます。またリーヴ広場、エスプラナーデ公園、ブラックヘッド会館の前、ダウガワ川沿いまで旧市街のいたるところにツリーが飾られていてその美しいイルミネーションがクリマスムードを大いに盛り上げています。
ホットワインや名物のジンジャーブレッド、炒りアーモンドからスパイスの効いたクリスマスティー、燻製のハムまで小腹を満たしてくれるグルメな屋台。手編みのミトンに帽子、木製のおもちゃ、キャンドル立て、縫いぐるみからスカーフ、琥珀や銀のアクセサリーなど見るだけでも楽しいハンドクラフト製品が揃う屋台。寒い冬の夜空の下、所狭しと立ち並んでいます。クリスマスマーケットはお店がオープンする前の早朝からクローズした後の深夜まで、様々な時間帯でその雰囲気を楽しむことができます。特に深夜の静かで人気の少ない瞬間の雪とツリーのコントラストは絶景で思わず何枚も写真を撮りたくなります。
バルト三国の北・エストニア
2019年のヨーロッパのベストクリスマスマーケットに選ばれるほどのパフォーマンスを誇る、本格的かつロマンティックなエストニアのクリスマスマーケット。何世紀にもわたって多くの人々に愛され続けてきた、エストニアの人々にとって1年の中で最も重要なイベントのひとつであり、いわゆる冬の風物詩です。首都タリンの旧市庁舎前のラエコヤ広場で催されるマーケットがもっとも有名で、この広場に1441年、ヨーロッパで初めてクリスマスツリーが立てられたという説があります。何千個ものライトが飾りつけられ見事なまでにドレスアップされたその美しい姿は、訪れる多くの人々を惹きつけます。
エストニアのクリスマスマーケットでは、高価な毛皮や繊細なニットの靴下、木製のアクセサリーやハンドクラフト品など、このシーズン限定のクリスマスプレゼントを買うことができます。また名物のブラッドソーセージ(血のソーセージ)やジンジャーブレッド・クッキー、ホットワインなど、この季節ならではの味を楽しむこともできます。広場ではサンタクロースと触れ合うスペースや小さな子供が楽しめるメリーゴーランドなどのアトラクションもあってちょっとしたテーマパークになっています。屋外のステージでは地元の子供たちによるコーラスなどのイベントが行われクリスマスの雰囲気をより一層盛り立てています。
まとめ 12月のバルト三国は寒いので防寒対策を!
いかがでしたでしょうか?バルト三国の12月はとても寒く、南のリトアニアからラトビアを経由し、北のエストニアに行くほど気温が下がります。特にこの時期のエストニアはマイナス10度くらいまで下がりますので、帽子やジャケット、手袋、カイロなど、頭の先からつま先まで防寒具の準備が欠かせません。冬は陽が落ちるのが早く一日のほとんどが暗いのですが、澄んだ空気の中でライトアップされたツリーと屋台を中心に明るい雰囲気に気持ちが昂ぶります。屋台で頬張る美味しい食事から可愛いクリスマス雑貨のお土産まで、マーケットでの支払いの基本は現金です。カードはほぼ使えないと思ってください。
エストニア、ラトビア、リトアニア三国それぞれ個性的で特徴があるものの、共通しているのは、クリスマスを心から祝う雰囲気とそこに訪れる人たちの笑顔ではないでしょうか。このクリスマスマーケットは1年に1回、地元の人同士だけでなく外国からの観光客と地元の人が触れ合うとても平和な空間です。12月25日を過ぎ、年が明けてもしばらく余韻が続きます。25日を過ぎたら次は初詣!と切り替える私たち日本人と根本的に考えが違うと感じるはずです。これぞ本物のクリスマス!暖かい服装に着替えてにバルト三国のクリスマスを体験しに出かけてみませんか。