ホテルでの朝食がホテルの評価を左右することがあります。せっかく格調高いホテルでも、薄暗いインテリアで、景色も見えず朝の爽快感がないところは個人的には今いちの評価です。
その点、このホテルはそれとは真逆。まずロケーションが秀逸です。世界でも指折りの大自然チリのパタゴニア地方。世界遺産のパイネ国立公園の少しだけ外に位置しながら、世界でも最も美しい山々のひとつラストーレスの壮麗な姿を一望できる眺めのいいホテルなのです。
外観はトレーラーハウスのような箱状のコテージですが、案内されてビラの室内に入ると、内部はウッディで広々として暖炉もあり、そのインテリアは洗練されたもの。たくさんの縦長の窓から山々や湖、木々の眺めが楽しめて、居心地の良さは最高レベルです。ここからの眺めはパイネ国立公園内とはまた違った趣きがありました。
木のカウンターにはマカロンを添えたメッセージカードと冷やしたシャンパンが用意されていました。エスプレッソマシーンはもちろん、南部鉄の急須や美しい陶器の湯沸しケトルもあります。
何でもそろっている部屋ですが、静寂を楽しむために不必要なものはありません。それはテレビです。お蔭で、ピューピューと外で吹きすさぶ強い風の音や、木造なので木がきしむミシミシという音がして、はるばるこんな辺境の地にやって来たことが実感できたのです。
そして特筆すべきものがビラの外に併設された専用の五右衛門風呂。4時間もかけて薪で沸かしてくれる、芯からポカポカ温まれるお風呂なのです。それもラストーレスの眺望付絶景風呂!!
7年ほど前にオープンしたばかりの新しいホテルで、他にアタカマやアルゼンチンのイグアス滝にもチェーンのホテルを展開しているAWASI。ここのホテルはフランスのホテル、レストラン協会「ルレ・エ・シャトー」のメンバーにもなっているだけあって、サービスもこなれていて、最高級ホテルとしてそつがないレベルです。
AWASIのサービスの特徴は、滞在中専属のドライバーガイドと専用車を自由に使って周辺の観光やサファリ、探検ができること。その料金がインクルードなのです。早速、専属ガイドのチリ人女性ホセフィーナさんが、地図を広げて計画開始。1日は山や湖の見学とプチハイキング、もう1日は近くにピューマの生息するエリアがあるらしく、風の少ない早朝によく出没するというので探しに行くことに。
早朝暗いうちからホテルを出発。グアナコやグレイFOX、レッドFOX、コンドル、ダチョウなどを発見。珍しい茶色いゲマルジカというレイヨウ類の動物もいました。そしてついにピューマのファミリーも見ることができたのです。子供は猫の耳を長くしたようで愛らしい!!
その後、ホセフィーナさんが連れて行ってくれた山々を見渡す湖畔こそ、私が生涯で最高の朝食タイムとなったポイント。そこにテーブルと椅子を置いて、オレンジジュースやコーヒー、クロワッサンのチーズサンド、フルーツ、シリアルなどが並びました。この解放感は他では味わえないほど素晴らしく、至福の時間です。
だから私はここを「世界で指折りの美しいセッティングの朝食」に選んだのです。
(2020年2月訪問)
ホテル名 | アワシ パタゴニア トーレス・デル・パイネ(AWASI PATAGONIA TORRES DEL PAINE) |
住所 | TORRES DEL PAINE, PAINE N.P. PATAGONIA CHILE |
TEL | (56-2)2233-9641 |
部屋数 | 14ビラ |
予算 | ミニマムステイ3泊より 送迎 アクティビティなどすべて込みのオールインクルーシブプランのみ 2人部屋利用の場合 ひとり3泊で3700US$から |
設備(スパ、プールなど) | スパあり |