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セネガルはアフリカ大陸最西端の国。活気ある街並みと文化的な香りが漂う国でもあります。
知られざる見どころいっぱいのセネガルにはいくつもの世界遺産があります。その中でもフランス統治時代のコロニアルな街並みが印象的なサンルイと、負の遺産といわれる奴隷貿易の拠点であるゴレ島は必見。世界の絶景に数えられる不思議なピンク色の湖ピンクレイク(ラックローズ)も見逃せません。今回はペンギン2号がそんなセネガルの魅力をご紹介したいと思います。
セネガルってどんな国?
セネガルの歴史は、15世紀にポルトガル人がゴレ島に定住をし、その後オランダやフランスが奴隷貿易をしたことで知られています。1783年から独立する1960年までの長きに渡ってフランスの植民地時代が続いたのです。
14の種族からなるセネガル人の中で43%を占めるのがウォロフ族。よってウォロフ語が主要な言語です。種族間ではお互いの言語では言葉が通じないため、公用語のフランス語で会話するそうです。色が黒くて鼻が低いのがウォロフ族、背が高くて細いのがプラール族、小柄だが逞しくて強いジォラ族など、外観の特徴を見ても種族の違いが判るというのも面白いですね。種族間は皆仲がよく、異なる種族間の結婚も普通にするそうです。
宗教は共通しており、93%ほどがイスラム教です。
セネガルの首都であり、パリ~ダカールラリーのゴール地点でも有名なダカール。セネガルの人口1630万人のうち106万人をかかえる西アフリカの玄関口でもあります。昔はただの漁村に過ぎませんでしたが、世界遺産に指定されているサンルイとの鉄道が開通されめざましい発展を遂げました。 アフリカの中でも比較的治安が安定してる首都です。西アフリカの中心的な近代国家なので、ダカールの若い女性などはお洒落でモダンな人も多いのです。イスラム教徒とは思えないほどタンクトップなどで肌を露出している女性が多いのも驚きです。
国の産業は1位が漁業で、2位が観光。ダカールの港には魚市場があって、毎朝採れたての魚が並び活気に満ちています。
テランガ(もてなし)の国セネガル
セネガルの人々はテランガというもてなしの心、精神を持っていると言われています。とりわけ田舎の村へ行くと、今なおテランガの精神を体験できるそうです。村の人々は旅人に会うと、どこから来たか?困っていることはないか?と必ず訊ねて、今からご飯を食べに来ませんか?と食事に誘い、食べ物や飲み物を提供してくれる人もいるのです。
食べ物を人と分け合うことや物を譲り合うこと、困っている人を助けることは当たり前とされている素晴らしい文化です!!旅人をもてなすことは都市部では少なくなったそうですが、今も西アフリカの中でセネガルだけが持つ文化であり、美しい習慣なのです。
セネガルでは家族や友人の会食では、料理はいつも大皿に盛られます。それを取り分けて皆で分け合って食べるという感覚が当たり前なのだそうです。
奴隷の家があった世界遺産の小島 ゴレ島
大西洋に浮かぶ小さな島「ゴレ島」。ダカールの沖合い約3kmに浮かぶ歴史ある島として世界遺産に指定されています。フェリーで約20分に位置し、オランダ海軍がこの島を“GOEDE REEDE”(良い停泊地)と名付け、それがゴレになったとされます。1848年の奴隷貿易が禁止されるまで、新大陸への奴隷積み出し港として発展しました。刑務所や奴隷の館が保存されており博物館になっています。かつてはいつも200人余りの奴隷が収容されていて、1535年から1848年までの300年に渡り合計2000万人もの黒人がここに集められ、アメリカやブラジル、キューバやマルティニークへ奴隷として送られました。そのうち600万人はこの収容所か輸送船の中で死んでしまったのです。
ローズピンクなど色鮮やかなスレイブハウスは、外見はきれいでもその中は地獄そのものだったのです。詳しい話を聞くにつけ暗い気分になりますが、アフリカの歴史に欠くことのできない史実として覚えておこうと思いました。
800mほどの長さを持つゴレ島に今は1200人ほどの人が暮らしています。こじんまりとした車の走らないコロニアルな街並みは、散歩するだけでもおすすめ。ダカールの喧騒に疲れたらこの小島でのんびりと、ゆっくりと流れる時を楽しむのも良いかもしれません。
観光地だけあって、海辺のシーフードの美味しいレストランもあり、小エビのガーリック炒めとか白身魚のブロシェットなどというシンプルながら抜群に美味しい新鮮なシーフードが楽しめるのです。
行きのフェリーで一緒だった地元の女子高生のグループは、おしゃれなファッションと髪型で陽気に笑い合っていました。ゴレ島のスレイブハウスを見学して、自分たちの祖先の不幸な過去の出来事を知ったらどんな気持ちになったのか、少し気になりました。
馬車で散策したいフランス人の作った町 サンルイ
セネガルの北西部にあるサンルイの町は、17世紀にフランスが最初に作った植民地でした。フランス人が現地人とのコミュニケーションのためにフランス語の学校を作り、強制的にフランス語を教えた最初の街でもあったといいます。ダカールより250kmの距離にありますが、舗装された道路なので約3時間あまりで到着。セネガル川の中洲にある島にあるので主な仕事が漁業ということもあり、ほとんどの人が漁師や魚市場で働いています。
サンルイの観光はまずは馬車に乗って市内をざっと散策するのがお薦めです。フランス統治時代の古い街並みが残り、民家のベランダにはきれいな花が飾られています。ここがセネガルであることを忘れてしまいそうです。
グランドモスクやモーリタニアとの国境であるノースポイント、活気あふれる漁港に市場。小さな島内でも、車や馬車が多く渋滞までしていて、熱いアフリカを感じる街ともいえます。
馬車に乗っているときはあまり気がつかなかったけれど、古い建物の1階のほとんどがお土産屋さんになっています。原色が眩しい絵画や装飾品などが並べられ、ウインドウショッピングだけでもアフリカンアートを堪能できて楽しいひとときです。
できればサンルイに1泊して、ゆっくり町歩きを楽しんでみたいものです。思わぬ買い物ができるかもしれません。
幻想的なピンクレイクでは砂漠サファリも楽しい
ピンクレイクはいわゆるピンク色に染まる湖のことで、フランス語でラックローズ(バラの湖)と呼ばれています。実際の名前はレトバ湖です。ダカールから車で1時間20分ほどに位置しています。
湖面が下がる乾季の日中が最も美しいピンク色に見えると言われています。なぜピンク色に見えるのでしょうか?それはプランクトンの存在によるものですが、塩の濃度、水のプリズム、太陽の輝き、風の強弱、時刻などで左右されるのです。
湖面にいるフラミンゴくらいしか生物は生息できません。湖に住む微生物や鉱物の影響により この潟湖は海水よりも10倍ほど塩分濃度が高く、最大40%となるため塩の産地でもあるのです。 湖の深さはわずか3メートルしかないとのことです。
ちなみに私が訪れた3月下旬の午前は、条件を満たさず、あいにく湖はピンク色ではなく、泥色にオレンジを混ぜたような、決して美しいとは言えない色でした。
湖畔では塩を採取する人々の姿が見られました。小型ボートで塩を引き上げ、湖畔で50㎏の袋詰めをされてトラックでダカールへ送り、精製されてマリやブルキナファソ、ヨーロッパへも輸出されるとか。ガイドさんによると、ミネラルを含み良質な塩だという話でした。
ピンク色の湖は見えなかったけれど、大きなオープントラックの4WDで砂漠サファリに出かけました。最初は湖にいるフラミンゴを探し、その後は砂漠へと入っていきます。砂漠の中を4WDで縦横無尽に走り回るのは最高の気分。予想外のダイナミックな砂漠サファリに満足満足。
セネガルへの行き方
日本からセネガルの首都であり玄関口のダカールへは乗継便を利用します。ターキッシュエアラインズでは羽田からイスタンブールまで所要12時間30分、そこから7時間35分ですが、乗り継ぎ時間を合わせて約30時間弱かかります。曜日限定ですがエチオピア航空も就航しており、成田からアジスアベバまで所要16時間40分。そこから10時間となり、やはり乗り継ぎ時間を合わせて30時間が必要です。アフリカ最西端の国だけあって、やはり時間がかかりますね。
モロッコなどアフリカの他の国と一緒に旅行するときは、カサブランカからモロッコ航空などでダカールへフライトすることになります。
セネガルへは現在日本国籍の人はビザは不要となっています。ただし黄熱病の予防接種の証明書イエローカードを持参することが推奨されています。マラリアの予防薬も念のため日本で購入していくのがお勧めです。
セネガルのツアー
セネガル1か国だけを訪れるツアーもありますが、大体周辺国や他の西アフリカの国々を一緒に周遊するツアーが一般的です。例えばガーナやギニア、ガンビア、エチオピア、モロッコ、コートジボワールなどの国々と一緒に2か国か3か国ほど周遊するプランです。一度にたくさん周遊すると、よほど長期旅行でない限り、セネガルでの滞在時間が短く、十分観光できないことになりますね。また自分が本当に行ってみたい国とプランにピッタリ合うツアーが果たして見つかるのでしょうか?
セネガルはまだまだ日本人にとっては辺境の国で、ツアーの数も限られています。団体旅行だと決まったプランでアレンジすることはできませんね。自分の希望にあったプランを探すなら、個人旅行がお薦めです。個人ベースのツアーを展開しているアフリカに強い旅行会社で、セネガルを含むコースをたくさんプラニングしているところがいいでしょう。実際にセネガルへも訪れたスタッフがいて、現地情報にも詳しく、組まれているツアーをンベースにして、より希望に即したプランにアレンジしてくれるところがベストと言えます。
アフターコロナの時代に、はたして団体旅行はどうなのでしょうか?3蜜になりがちの団体より、一人旅も含め家族や友人だけの個人旅行の方が安心感があるのではないでしょうか?
いかがでしたでしょうか?今度の休暇の旅先として、辺境好きのあなたにぴったりのセネガルも候補のひとつに入れてみては?