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マダガスカル共和国はアフリカ大陸の南東沖、大陸から400km離れた島国で、島国としては世界で4番目の大きさ(日本の面積の1.6倍)を誇ります。
ドリームワークスの3Dアニメーション映画のタイトルにもなっていますので、恐らく多くの人々がすでにマダガスカルという国の名前について聞いたことがあるかと思います。
そしてマダガスカルが『星の王子様』に登場するバオバブの木、カメレロンなどの爬虫類、キツネザルの霊長類などの固有種の宝庫であることをご存じの方も多いでしょう。特に爬虫類と両生類の固有種は95%にものぼります。
実はマダガスカルは400kmしか離れていないアフリカよりも距離的に遠いアジアやオーストラリアと共通する点が多く見られているなど未だに謎につつまれている部分も多いのです。
今回はそんな「不思議の国」マダガスカルの魅力についてご紹介いたします!
マダガスカルってどんな国?
実はマダガスカルは、世界で最も貧しい国の1つともされています。人口の約90%が1日2ドル未満での生活を強いられているとされています。
そんなマダガスカルの主な産業は天然資源に恵まれているため、宝飾用の原石などの鉱物やクローブ、バニラ、そして石油製品です。
またマダガスカルには世界最大級のチタン鉱山や巨大な重質油鉱床の開発プロジェクトが進められており、世界的にもマダガスカル経済の加速が期待されています。
マダガスカル政府は観光業にも力を入れており、マダガスカルの産業の大きな柱になっています。
環境保全や文化的価値などを観光客に伝えるエコツーリズムが盛んで、観光客からの収入はマダガスカルの国立公園や生物の多様性を守るための財源となっているのです。
しかし近年は政情不安により観光客が大きく減少することも少なくありません。
安全と安心があっての海外旅行ですので、まずはマダガスカルの人々の平穏な暮らしが続き、そして貴重な自然や動物たちが守られる環境になることを願ってやみません。
マダガスカルへの行き方
マダガスカルの知名度とは裏腹に、日本からのアクセスはかなり悪い部類に入ります。
最も一般的な方法はエミレーツ航空などでインド洋の国・モーリシャスまで移動し、さらにモーリシャス航空でマダガスカルへ移動する方法です。
又は毎日の運行ではありませんが、エチオピア航空でしたらアジスアベバの1回乗継ぎでマダガスカルに行くことが可能です。アンタナナリボの他にマダガスカルのリゾートアイランド・ノシベにも運行しているのがエチオピア航空の利点です。
あるいは乗継ぎが非常に悪いのですがフランス乗継ぎでマダガスカルへ行くことも可能です。パリにも立ち寄りたい方にはおすすめです。
ちなみにマダガスカルへの入国にはビザが必要です。
空港でも取得は可能ですが、非常に時間がかかりますので、極力事前にビザを準備しておくことをお勧めします。
私がマダガスカルに旅行した際は予め日本でビザを取得していたので、アンタナナリボ空港に到着してからトータル1時間程度で外に出ることができました。
空港でビザを取得する場合は、1時間以上空港で待たされることもあるそうです。特に送迎を依頼しているときは、空港の通過に時間がかかりすぎるとお客が乗っていないものと思い、送迎のスタッフが帰ってしまうこともないとは言えないので要注意です。
マダガスカルへのツアー
マダガスカルのツアーは団体ツアーがメインですが、個人ツアーを扱う旅行社も少なくはありません。
ただし個人で航空券を購入して現地でツアーやホテルを探すような行き当たりばったりなプランはマダガスカルでは大変危険です。
特に首都のアンタナナリボは治安が悪いため、外国人の一人歩きはあまり推奨される行為ではありません。警察官ですら海外旅行客と見るや「パスポートの入国スタンプに不備がある」と難癖をつけ、外国人からお金を巻き上げることをしているような輩もいます(はい、私がその被害者です)。あなたに時間がタップリあって多少危険なことがあってもそれを楽しめるようなハードな旅人でなければやめておいた方がいいでしょう。
またマダガスカルの国内線での遅延や欠航は日常茶判事です。航空会社に交渉やリスケジュールしてもらうためにも実績のある日本の旅行会社を通じて現地に予約されることをお勧めします。
マダガスカルの見どころは?
マダガスカルの見所は大きく分けて4つと考えていいでしょう。
1、キツネザルなどマダガスカルの固有の動物のサファリ
2、バオバブの並木道
3、ヨーロピアン憧れのリゾートアイランド ノシベ
4、奇岩が広がるツインギーの絶景
一般的なツアーではこの中で1と2を周遊するパターンがほとんどです。
少し長めのツアーであれば1〜3や1〜4の全てを巡るツアーもあるかも知れません。
バオバブやノシベ、ツインギーに関しては、この記事の後半で触れますので、ここではマダガスカルのサファリができる保護区を2つ紹介いたします。
【ペリネ特別保護区】
1つ目のペリネ特別保護区はアンタナナリボから日帰りで行けるサファリが可能な保護区です。ウォーキングサファリでは絶滅危惧種のインドリに遭遇できる可能性が高いことで知られています。また夜には夜行性のオオコビトキツネザルなどを探しに行くナイトウォーキングサファリも行われるのでできれば1泊2日で訪れる事をお勧めします。
【キリンディー森林保護区】
2つ目のキリンディー森林保護区には世界最小の霊長類であるキツネザルや横っ飛びで知られるベローシファカなど約8種類、鳥類45種、爬虫類が24種、そのほか国内最大の肉食獣であるフォッサや夜行性のムササビなどが生息している事で知られています。1日で朝・午後・夜の3回ウォーキングサファリを行っているので、こちらも1泊して3回のサファリを体験してください。ただし保護区経営の宿はテレビやエアコンも無いかなりワイルドな造りです。
マダガスカルの首都・アンタナナリボとは?
国土のほぼ中央に位置する、マダガスカル最大の都市・アンタナナリボ。マダガスカル高原に位置し標高は1200mほどです。アンタナナリボはマダガスカル国内線のハブとなる街のため旅行者は必ずと言ってもいいほど立ち寄る場所です(マダガスカルは日本の1.6倍もの面積を持つ国ですので国内線の利用は欠かせません)。ただし渋滞が慢性化しているため、都市の規模にしては移動時間がかなりかかります。
例えば、空港から市内へは13キロほどしか離れてはいませんが、通常でも約1時間かかりますので、かなり余裕をもったスケジューリングが必要となるのです。
アンタナナリボで特にシンボルとなる建物が「女王宮」と「旧首相官邸」です。
王宮はアンタナナリボの1番の高台に位置するメリナ王朝時代の宮殿。街で一番高い場所に位置しているため、夕暮れの時間になると日没を見ようとする街の人々で賑わいます。宮殿付近には専門のガイドがいるのでガイド付きで観光することも可能です。女王宮の近くには旧首相官邸があり、現在は博物館となっています。女王宮の1996年の火災の際に避難した品々がこちらで展示されています。
これらは街の中心地からは距離があり歩いて行くことは難しいため、できれば事前にツアー会社に相談しておきましょう。
マダガスカルに来たなら外せないバオバブの並木道
モロンダバはトゥリアーラに次ぐマダガスカル西部の第2の都市です。かなり小さな町ではありますが観光という側面からで言えば「モロンダバを外してマダガスカルは語れない」と断言できます。
その理由はもちろん、バオバブ。マダガスカル観光のハイライトともいえるバオバブの並木道は、このモロンダバの街の中心部から車で20分程度にあるスポットなのです。
バオバブ観光に最も人気の時間帯は夕暮れ時。刻々と空がオレンジ色に染まりバオバブの樹木に橙色のグラデーションが生まれます。さらに日が落ちていくとバオバブのずんぐりむっくりとした巨体がシルエットとなって、まるでおとぎ話の一場面のようなノスタルジックな風景へと変化していくのです。
夕刻の時も幻想的で素晴らしいのですが、個人的には朝日を見にいくのもオススメです。夕刻と違い人も少なく、日が昇る前までは星空の真下に佇む暗闇の中のバオバブの木々が、日が昇るにつれて、徐々にその巨体をあらわにしていく風景をみていると不思議と神聖で穏やかな気持ちになれるのです。
ダイバーの憧れ!マダガスカル北部に浮かぶ島 ノシベ
日本人にとってはマダガスカルのイメージは「バオバブの木」や「キツネザル」ですが、実はヨーロピアンやダイバーたちにとっては憧れのリゾートアイランドでもあるのです。
そのためノシベにはマダガスカルの中でも高水準のホテルが揃っている一方、手つかずのままの素朴なビーチがたくさん残っているのです。
特にダイバーたちにとっては1年を通じてダイビングが楽しめる上に、ジンベイザメやマンタ、ザトウクジラなどの希少な生物との遭遇率が高いことで人気です。
ノシベに来たなら是非訪れたいのが、ノシ・イランジャです。
2つの島からなるヌシ・イランジャは干潮時になると、2つの島が1つにつながるのです。島と島をつなぐ真っ白な砂浜の道はなんと1.5kmにも及び、その光景は美しく幻想的です。
ノシ・イランジャの海は透明度が高くシュノーケルも楽しめますので、ダイビングをしない方でもマダガスカルの極上の海を満喫できますよ!
乾季のみアクセスのできる世界遺産のツィンギーとは?
「バオバブの並木道」と並び、マダガスカルを代表するもう1つの絶景がベマラハ国立公園のツインギーです。ツインギーとは、現地の言葉で「先の尖った」という意味です。その名のとおりナイフのように尖った岩山がずらりと広がる様子は圧巻で、世界遺産にも登録されています。石灰石が何万年にも及ぶ風雨などにより侵食され、このようなユニークな風景が生まれたと言われています。
公園内には大ツインギーと小ツインギーがあり、それぞれトレイルの所要時間は5時間と2時間となっています。ご自身の体力に合わせてチョイスしてください。
公園内ではカヌーの川下りも可能で、運が良ければ野生のレミュールにも出会えるかもしませんよ!
ただしベマラハ国立公園への道は悪路のため雨季には通行することができず、1年を通じて乾季の4月~10月のみが観光シーズンとなっています。
ちなみにツインギーはベマラハ国立公園だけのものではありません。マダガスカル北部に位置するディエゴ・スアレスから南東へ65kmの場所にレッド・ツインギーと呼ばれる赤土で形成されたツインギーがあります。こちらも雨風で浸食され形成されたものでありますが、その色合いからまるで燃え盛る炎のようにも見えます。
レッドツインギーの方がベマラハ国立公園よりもアクセスは容易ですので、季節などを考慮しつつ旅行社に相談しながら、ご自身のベストプランを検討してみてください!