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世界203の国と地域を旅した私ことペンギン2号が、よく聞かれる質問「世界中でどこが一番よかったですか?」それに私はいつも「ボツワナのオカバンゴ・デルタのサファリ」と答えます。そもそも私はサファリが大好きでアフリカによく行きますが、ケニアやタンザニア、南アフリカ、ザンビアなどいろんな場所で素晴らしいサファリを体験した結果、その中でも最高の場所はボツワナのオカバンゴ・デルタと確信しています。それほどここのサファリは素晴らしく、世界中でサファリをした人が最後に訪れてほしい究極のサファリスポットがあるのです。今回はオカバンゴ・デルタの中で、湿地帯デルタのサファリと乾燥したエリアのモレミ自然保護区、チョベ国立公園の西にあるリニヤンティ保護区の3か所で、自ら体験したベストサファリをご紹介したいと思います。
オカバンゴ・デルタってどんなとこ?
地球最後の楽園、世界最大の内陸性デルタ、オカバンゴ。アンゴラの高原から流れ出た雨水はオカバンゴ川となり、ボツワナを南下し、約1万5,000km2(東京都の約7倍以上)の巨大な三角形の湿地帯を造り出しています。これが「カラハリの宝石」と呼ばれるオカバンゴ・デルタです。
そこは野生動物の宝庫で、ライオンやヒョウ、象やバッファロー、ワイルドドッグにハイエナなどなど、サファリで出会ってみたい動物がたくさん棲息し、カラフルで珍しい野鳥が飛び交う大自然のパラダイスなのです。
水が多いため、セスナで湿原の真っただ中にアクセスすると、辺り一面に広がるジャングルやサバンナの深く瑞々しい緑に圧倒されます。滞在するサファリロッジでは、人間などお構いなしに野生の象がのっしのっしと近付いてきます。まさに大自然の中で過ごす癒しのひとときなのです。
オカバンゴの魅力は、場所によって陸のサファリと水辺のサファリの両方が楽しめることです。湿地帯では丸木舟のモコロと呼ばれるカヌーでサファリを楽しみます。モレミ自然保護区やリニヤンティ保護区では大草原のサバンナを縦横無尽に走り回るサファリドライブが満喫できます。ここでは1頭のライオンに10台以上のサファリカーが取り囲むなどということは皆無です。サファリカーの数を制限しているコンセッション(保護区)のため、他のサファリカーに会う確率も低く、その分発見した動物は好きなだけ観察したり写真を撮ったり独占気分を味わえるのです。ケニアやタンザニアでよくあるようなサファリカーの走る道の制限もほとんどないので、遠くからヒョウを見るのではなく、どんどんオフロードを走って近付いて至近距離で見られるため、迫力あるシーンも見られるし、すごい写真が撮れるのです。
モレミ自然保護区のベストサファリ
私がオカバンゴに魅せられたきっかけは、初めて行ったときにサファリをしたモレミ自然保護区での体験でした。ライオンは当たり前に見られるので、それほど驚かなくなった頃、初めて地面を歩くヒョウに出会いました。木に登っているヒョウは何度も見たけれど、夜行性なので明るい時間帯に地上にいるヒョウは稀なのです。ジャングルの深い緑の中で、獲物を狙うヒョウ。その存在に気付いたインパラのオスが警戒音を発します。森の静寂を破るようなパーンパーンとすごい音が響き渡りました。その瞬間、のんびり見えたヒョウが全速力で走りだし、たまたまそばにいた1匹のイボイノシシを追いかけたのです。動物のハンティングシーンはめったに見られないので大興奮でした。
そして世界中に3000匹しかいない希少動物のワイルドドッグ(日本名はリカオン)が一番多く生息するボツワナ。中でもモレミ保護区はその数が多いのです。犬やハイエナにも似ていますが、外見は野性味に溢れ、赤ちゃんのいるファミリーの場合、1日に2回もハンティングをするほどで「ハンターの成功者」と呼ばれています。
初めての時に滞在した「リトルモンボキャンプ」というテントロッジは、今までで私が最も好きだったサファリロッジです。ナチュラルながら居心地がよくて、部屋の中にリスが入ってきたり、屋外でサバンナや青空を眺めながらシャワーを浴びたり、大自然を満喫できるホテルライフも最高でした。
次にモレミを訪れた際も、たくさんの動物を見ることができました。滞在した「クワイリバーロッジ」は川のほとりにあって心癒される風景の高床式のラグジュアリーなテントロッジ。目の前にカバや象がいて、囲いなどないので、ロッジの下まで象がやって来ます。夜行性のカバは夜、岸辺に登って草を食べたり活発に動き回り、ロッジの真下でグオーグオー、ギャーギャーと大さわぎ。向こう岸で鳴いていてもその鳴き声が聞こえてくるほど声の大きいカバ。それが真下で鳴くとなると相当です(笑)
サファリ中に面白いシーンに出会いました。10匹ほどのワイルドドッグのファミリーがインパラをハンティングして、皆で食べようとそばに置いていました。それを1匹のハイエナがこっそり盗んで、スタスタ歩いて去っていくのでした。ハイエナのあごはものすごく強いそうで、自分より大きな獲物でもこうして楽々咥えられるのです。しかもコソ泥みたいに盗んでいったので、可哀想なワイルドドッグは気付いたときには後の祭りだったのです。
オカバンゴ湿地帯のベストサファリ
湿地帯で多い午後のサファリはモコロのサファリです。モコロは丸木舟。茶色でシンプルなカヌーのような小舟で、レンジャーさんが1本の棒で操り、漕いで行きます。デルタ地帯ならではのサファリです。細い水路のような水の上をすいすい滑るように進んでいくのはアメンボにでもなった気分で面白い体験。睡蓮の花が咲いていたりのどかな風景です。突然バシャーンという音がしたと思ったら、象が水浴びをしていたり、水に飛び込んで鼻を上げたり片足上げたり面白い光景が広がります。
夕陽が沈むのを眺めながらビールやワインを飲んで休憩することを「サンダウナー」といいます。グラスに注いでくれたワインを飲みながらおつまみに用意されたコーン入りのフリッターをチャツネに浸けて食べます。美味しい!!
サンダウナーの後は日が陰って涼しくなり、光が美しく水面に輝くモコロの一番いい時間が始まります。ひたすら静かで美しい幸せな時間。すぐ横をトンボがピューっと飛んでいきました。
オカバンゴ・デルタで滞在したロッジは「ジャオキャンプ」。チェックインして部屋に向かうとき、桟橋を歩いていると、4頭の象がやって来ました。そのうち1頭は私たちのロッジのすぐ手前の桟橋のところで木の葉を食べています。近付くのは危険なので象が去るのを待ちました。
テントロッジとは言っても端から端まで30m以上あるロッジは木の骨組みもかやぶき屋根も付いていて、上から下まで総網戸でしっかりしたつくりです。広々としたベランダの真ん中に大きな木があっていい日除けになっています。あずまや風の大きなマットレスとクッションがあって、木にはハンモックもあります。のんびり寛ぎながら一面に広がる湿原の風景と時々やって来る美しい鳥たちや象、バブーン、ブッシュバックなども眺められます。
ここにいるだけで日常生活のことはすっかり忘れリセットできる。だからこそ欧米人のセレブやエグゼクティブたちも好んで訪れるオカバンゴ。ここのスタッフは皆友人のようにフランクに接してくれるので、それもまた嬉しいのでしょう。毎年やって来るリピーターも多いようです。
リニヤンティ保護区のベストサファリ
チョベ国立公園と言えば、南部アフリカ周遊の旅で少しだけ訪れるサファリスポットとして知られています。チョベも広い意味ではオカバンゴ・デルタの一部なのです。チョベは大きな国立公園で、ツアーで通常行く場所は東の端の一部にすぎません。そんなチョベ国立公園内ながら西部に位置する私営保護区がリニヤンティ保護区です。野生管理局と国立公園などが管理する125,000ヘクタールの保護区で、ボツワナの観光ポリシーにより入場者数を制限。この広大な保護区内で一度にサファリができるのはキングスプール、サヴァティ、ドゥマタウなどの4つのロッジのゲストだけなのです。
水の量が多い季節にはオカバンゴ・デルタと繋がり、シーソーのように水が流れたり逆行したりするというユニークな地形が特徴的なのです。
私たちは9月下旬キングスプールに滞在して、サファリドライブを楽しみました。
ここのサファリで見る動物はとにかく象が多いのが特徴です。1日に20㎞も移動するという象の群れをあちこちで見ました。一列に並んで川も渡ります。子象が水ではしゃいで、潜って全身水浸しで黒くなったり、身体に泥をこすり付けたり、サファリカーのすぐそばで砂を全身に吹きかける象もいて、おかげで土煙がもろにサファリカーに降り注いで、一同大笑い。
ハイライトシーンはキングスプールのロッジの近くで目撃。木の上にいるヒョウがちょうどハンティングして木の上に持ち上げたインパラを食べているところでした。ガリガリ、バリバリとすごい音がします。すさまじいあごの力にびっくり。そんな迫力あるシーンは初めてでした。
もう一つ忘れられないシーンは美しい鳥の大群でした。欧米人ゲストは鳥類図鑑を持ち歩くほどバードウォッチャーが多いですが、ここもそのひとつ。ミナミベニハチクイsouthern carmine bee eaterはハチクイの仲間で、それは夢の世界のように鮮やかで優しい色合いの鳥なのです。地面にいると赤く見え、飛び立つとブルーの羽も見える、感動的な光景に魅了されました。
オカバンゴへの行き方
オカバンゴ・デルタに行く時は、まず玄関口となるマウンを目指します。日本からは直行便はなく、南アフリカのヨハネスブルク経由で飛ぶのが一般的です。例えば、キャセイ航空で羽田から香港経由ヨハネスブルクまでは乗り継ぎ時間を含めて約22時間。ヨハネスブルクからボツワナのマウンへはフライトで所要1時間半から2時間ほど。キャセイ航空のヨハネスブルク到着は早朝なので、乗り継ぎでマウンまで行くことも可能です。
ヨハネスブルクへは他にもカタール航空ドーハ乗り継ぎ便や、エミレーツ航空ドバイ乗り継ぎ便もあり、深夜日本発で所要約22時間から23時時間ほど。ヨハネスブルクには午後着なので、乗り継ぎでマウンまでは行き着けません。よってヨハネスブルクに1泊となります。
マウンからオカバンゴエリアのロッジへは、陸路移動がやや難しいのでセスナ利用となります。通常ロッジの予約をする際に旅行社が一緒にセスナの予約もしてくれます。国際線でマウンに着くフライトに合わせて、ちょうどいい時間のセスナをチャーターすることになります。
同じ旅行でデルタエリアとモレミ自然保護区やリニヤンティ保護区を周遊する場合も、ロッジ間の移動はセスナとなります。場所によっては一旦マウンに戻りそこからまた別のセスナ利用のケースもあります。滑走路だけの空港にセスナが到着すると、ロッジのスタッフが出迎えてくれます。そこからサファリカーでロッジへ向かう道中から、動物たちとの出会いは始まるのです。
オカバンゴのツアー
オカバンゴのツアーは他の南部アフリカのツアーに比べかなり高額になります。セスナチャーターの費用が高いことと、サファリロッジも希少なエリアにあるため高めなのです。また日本人では行く人も極めて少ないエリアなので、団体旅行はごくわずかでしょう。まず行きたいプランや泊まってみたいロッジがそのまま入ったツアーは見つかりません。泊まるロッジなどお任せでいいなら、南部アフリカの他の国も一緒に組み合わせたプラン、たとえばジンバブエでビクトリア滝を見学するプランをプラスしたものなどのツアーはあるでしょう。でもできれば個人旅行でいろいろアレンジをしてくれたり、融通が利く旅行会社を見つけるのが得策でしょう。自分の行ってみたいプランを組んでくれるはずです。
団体旅行は今や3蜜。アフターコロナ、withコロナのこれからの時代にフィットする旅のスタイルとは言えません。個人旅行の時代なのです。
アフリカに強く、実際にスタッフがこれらの国々へも訪れて、旅のアドバイスができる会社であることが大切です。ベースとなる個人旅行のモデルコースがあるので、それを多少アレンジしてもらったり、自分だけのプランを作ってくれるはずです。高額なのでそう何度も行けないオカバンゴですから、せっかくの旅行は、自分の希望通りのものにしたいですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?オカバンゴ・デルタの魅力がわかってもらえてでしょうか?サファリ好きなあなた、究極のサファリを求めているあなた。ぜひ次回の目的地にオカバンゴをプラスして計画してみてください。かく言う私も、コロナ収束後またすぐにでも行ってみたい場所はここオカバンゴ。とりわけモレミ自然保護区でなのです!!