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ポルトガル語で「ラグーン」を意味する名前を持つラゴスは、その名の通り水が豊かな都市です。かつてはこの地を支配するヨルバ族の港で、イギリス領時代には1991年まで首都として機能しました。しかし、あまりの人口増加によってナイジェリアの首都は1991年にアブジャへと遷都しました。
2023年現在、ナイジェリア全体の人口は約2億人であり、ラゴスに関しては約2200万人と、東京をも圧倒する勢いで急成長しています。街中には高層ビルが溢れ、西アフリカ、いえアフリカ全体で最も活発でエネルギーに溢れた街といっても過言ではありません。アフロビートの創始者であるフェラクティなど輩出した街でもあり、音楽や芸術などアフリカンカルチャーの発信地としても知られています。
2023年には中国政府が協力して建設した市内交通のライトレールが開通し、更なる飛躍が期待されています。
今回は、そんなアフリカでも最もホットな都市、ナイジェリアのラゴスの見どころを7つ紹介いたします!
ラゴスの治安はどうなの?
ナイジェリアのラゴスを旅をするのに、気になるのが治安だと思います。
残念ならラゴスの治安は良いとは言えません。基本的にはガイド同行で観光することを心掛けてください。
ガイド付きで観光している分にはラゴスは危険な感じはしないため、安全だと認識してしまうかもしれません。しかし外国人観光客だけで歩いていることは基本ほとんどないため、何かと目立ち、ターゲットにされやすくなります。
地元に精通したガイドが隣にいることが何よりの防犯対策です。
ラゴスで旅行者が巻き込まれすいトラブルの事例はおもに次の3つです。
①詐欺と盗難: 観光地での詐欺や盗難が報告されています。特に混雑する場所や観光スポットでの用心が必要です。
②交通事故: 交通事故が多発しており、交通ルールが厳格でないことも懸念材料です。日本では当たり前の横断歩道がまずありません。特に視界の悪い、夜間の外出は避けてください。
③賄賂の請求:残念ながら空港職員などの役人への賄賂が横行しています。賄賂を渡さないことで、荷物検査などを時間をかけて対応されることもあるため、残念ながら海外からの旅行者にとっては賄賂を渡すことのほうが物事がスムーズに進むことが少なくありません。いざとなったらお金に助けてもらうのもこの国を旅行する上でのコツです。
以上を念頭に置きながら、ラゴス観光に出かけましょう!
フェラクティミュージアム(カラクタ共和国博物館)
伝説のミュージシャン、フェラクティの自宅であった建物は現在博物館として一般に公開されています。フェラクティは1960年代にアフロビートの創設者として人気を博した音楽家であり、同時に政府体制を批判し続けた思想家でもありました。幾度となく政府に反政府活動家として目を付けられ、彼は自宅を「カラクタ共和国」と名付けバリケードを設置しました。
博物館では、フェラクティが実際に使った楽器やステージ衣装、靴、発売したレコード、家族との写真など、彼の人生にまつわるさまざまなアイテムが展示されています。しかし、彼の小さな寝室は1台のベッドと鏡台のみ。大物ミュージシャンとして成功を収めながらも、彼の生活は質素で、一般の人々と同じ気持ちを共有していたことがうかがえます。
博物館の屋上はバーとなっており、そこからはラゴスのメインランド(貧困層から中流階級が住むエリア)の街並みを見渡すことができます。また、博物館の一部はホテルとしても運営されており、フェラクティのファンの方は彼が過ごした自宅で宿泊することも可能です。
運が良ければ、博物館に隣接したリハーサルスタジオで、フェラクティにゆかりのあるバンドの演奏やパフォーマンスを見ることができるかもしれません。彼の芸術と生活に触れ、その魅力に浸ることができる場所となっています。
ニューアフリカシュライン
アフロビートの創始者であるフェラクティが「ホーム」として利用していたライブハウス。ここでは伝説的なライブパフォーマンスが幾度と繰り広げられました。シュライン(神殿)と名付けられたとおり、フェラクティを祀る一角があり、今でも彼のスピリットはこの場所で生き続けていることがうかがえます。
しかし防音設備のない建物で、横の壁がまったくないことに驚きました。ほとんど野外のような環境で、このようなライブハウスは日本、いや世界中を探してもなかなか見つかりません。音漏れなどを気にせず、自由な雰囲気が魅力です。
私が訪れたのは平日の午後4時ごろ。コンサートは週末に行われるので特にイベントはないはずですがニューアフリカシュラインには十数人の人々がくつろいでお酒を酌み交わしていました。
どうやらこのライブハウスはコンサートがない時間帯でも、ちょっとしたバーとして営業しており、音楽を愛する地元の人々のたまり場になっているようです。ぜひパームワインと呼ばれるローカルなお酒を飲みながら、地元の人々と交流してみてください。また、アフロビートの激しい音楽を楽しみたい方は、週末にラゴスの滞在を重ねて調整することをおすすめします。
ニケアートギャラリー
ナイジェリアを代表する芸術家、ニケ・オクンダイェ(Nike Okundaye)が運営するアートギャラリー。ここでは現代アートから古典的なアートまで、展示されているのはすべてナイジェリア人アーティストの作品です。ニケさんの確かな目利きで選ばれた作品が4階建てのすべてのフロアに所狭しと並べられている様子は圧巻で、まるでこの建物が1つの美術館のように感じられるほどです。
政治の汚職や貧富の差など、ナイジェリアが抱える問題は数多くあると思いますが、アフリカらしいカラフルな色彩を用いており、根底には生きる喜びや幸せを感じられるような作品が多いのが印象的でした。このニケアートギャラリーでは、実際に作品を購入して行く海外旅行客も多いのも納得です。ぜひあなたのお気に入りの作品を見つけてみてください。
また、運が良ければギャラリーのオーナーであるニケさんに出会えるかもしれません。彼女との出会いは、アートに対する新しい視点を得る素晴らしい機会となるでしょう。
国立博物館
国立博物館は、ナイジェリアに住む民族の歴史や風習、文化に関する充実した展示がされている施設です。ナイジェリアは、ハウサ族(主にナイジェリア北部)、イボ族(主にナイジェリア南東部)、ヨルバ族(主にナイジェリア南西部)の主要な3つの民族で形成された国とされています。この博物館では、それら3つの民族の風習や文化の違いを、人の誕生から死までの時間軸にそって詳しく解説しています。祭りの際に使用されたマスクや仕事道具、住居のレプリカなどを通じて、ナイジェリアの人々の過去の生活を垣間見ることができます。
さらに、「ナイジェリア政府の過去と現在」と題した別館では、ナイジェリア統一から植民地時代を経て現代に至るまでの統治者たちの変遷が展示されています。特に近現代のナイジェリア史は、クーデターに次ぐクーデターが行われ、暗殺や転覆などの言葉が頻繁に飛び交う大変な時代であることが分かります。博物館はその歴史的な瞬間や出来事を通じて、ナイジェリアの政治的な変遷を細かく解説しています。こちらに訪れることで、ナイジェリアの複雑な歴史や文化に深く理解を深めることができるでしょう。
ブラジリアンクォーターとフリーダムパーク
17世紀から19世紀にかけて、この地から奴隷としてブラジルに渡ったナイジェリアの人々が、19世紀に自分の故郷であるラゴスに戻ってきた際に住居として与えられたのが現在のブラジリアンクォーターと呼ばれるエリアです。このエリアには当初、ブラジル風の建物が数多く並んでいたとされています。現在はその時の建物はほとんど残っていませんが、ブラジルから技術を身につけて帰国した人々が新たな文化を持ち込み、これが現在のラゴスでの多様な文化や民族を抱える要因となりました。様々な風習や文化を受け入れる土壌は、今日のナイジェリア発展の基礎となったと言っても過言ではありません。
ブラジリアンクォーターに隣接しているのがフリーダムパークです。現在は市民の憩いの場となっている大きな公園で、かつては刑務所として使われていました。公園を取り囲む高い塀にその名残を感じることができます。園内にはラゴスの歴史を物語る彫刻やイベント会場があり、週末にはライブコンサートが開催されるなど大いに賑わいます。ナイジェリアの音楽を気軽に楽しむことができる最適なスポットとなっています。
レッキ自然保護区
レッキ自然保護区は、ラゴス中心部から車で約45分ほどの距離に位置しています。この保護区では、かつてジャングルだった頃のラゴスの自然を垣間見ることができます。現在の発展したラゴスからは想像もつかないほど、保護区内には広大な湿地帯と熱帯雨林が広がり、日中の暑さやラゴスの喧騒とは全く別世界の穏やかな雰囲気が漂っています。
このレッキ自然保護区の最大の魅力はキャノピーウォーク(ジャングルの木々にかかる吊り橋)です。地上から最大で30mほどの高さのあるキャノピーウォークを歩けば、レッキ自然保護区の多様な自然の美しさを感じることができます。園内にはさまざまな動植物が生息しており、猿やクロコダイルなども見られるそうです。特に朝早い時間帯など静かな瞬間に訪れると、動物たちとの距離がより身近に感じられます。レッキ自然保護区は、都会の喧騒を離れて自然に触れ、様々な生態系を楽しむための絶好のスポットです。
レッキハンドクラフトマーケット
レッキハンドクラフトマーケットは、レッキ地区の賑やかなローカルマーケットの一角で、ハンドクラフト製品が集まる市場です。ここでは、藁で編み込まれた伝統的な椅子やカゴから、彫刻や絵画アート作品までさまざまなハンドクラフト製品が一堂に展示されています。このマーケットはナイジェリアらしいお土産やアート作品を求める方にとって最適な場所となっています。
例えば、布屋で好みの布を選ぶのもアフリカらしい楽しみ方です。仕立て屋に持ち込めば、ローカルのナイジェリア人が着こなしているような自分サイズのシャツを仕立ててもらうことができます。そのほか職人たちが作業する様子も近くで見学でき、非常に興味深い体験ができるでしょう。商品ごとに価格がついていないため、値段交渉が必須となりますが、それがこのマーケットの魅力の一つです。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、アフリカでもっとも熱い街ナイジェリアのラゴスで訪れるべき以下の7つのスポットを紹介いたしました。
1:フェラクティミュージアム(カラクタ共和国博物館)
2:アフリカンシュライン
3:ニケアートギャラリー
4:国立博物館
5:ブラジリアンクォーターとフリーダムパーク
6:レッキ自然保護区
7:レッキハンドクラフトマーケット
ラゴス旅行をお考えの方に参考になれば幸いです。