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「世界の屋根」とも称されるヒマラヤ山脈を抱えるネパールは世界有数の高山地帯。エベレスト(8,848m)をはじめとして世界で最も高い山ベスト10に入る8000m級の山々がなんと8つもそびえ、世界のトレッキング愛好家たちの憧れの国なのです。
そんな登山天国のネパールにきて、トレッキングをしないのはもったいない!
これまで100ヵ国以上を旅してきた橋本が、2023年5月初旬に訪れたトレッキングルートと現地の様子をレポートします!
なぜミニトレッキングをすべきなのか?その理由は?
ネパールで本格的なトレッキングをしようと思うと少なくとも2週間はかかります。日本人が取得できる休暇ではなかなか難しいのが現実でしょう。
しかしネパールには、登山家が訪れるようなハードな登山ルートだけでなく、半日から1泊2日ほどでも楽しめるルートも豊富なのです。ミニトレッキングであれば本格的な登山用品は必要ありませんし、高山病に悩まされることもありません。
ルートによっては車でアクセスしやすい場所にあるため、万が一のケガの場合でも都市部への移動がスムーズです。
そして何よりも自分の足で歩いて間近に迫った山々を見渡せば、街から眺めるのとは全く違った迫力と突き抜けるような解放的な気分になるはず。
ネパール旅行のハイライトになるのは間違いありません!
トレッキングのシーズンはいつ?
ネパールの季節を大きく分けると、6~9月前半の雨季と9月後半~5月が乾季に分かれています。
トレッキングにピッタリなシーズンは雨が少ない乾季。中でも10月・11月と3月・4月の秋と冬です。この季節であれば、天気が安定しており空気が澄んで、広大な名峰や印象深い山岳美が楽しめます。12月~2月は気温が低く、都市部でも最低気温5℃以下になることは珍しくないため、高地でのトレッキングをするには向きませんが、標高2000m以下のトレッキングを楽しむにはトレッカーの数が少ないため、最適なシーズンとも言えそうです。
雨季(6~9月前半)のトレッキングであっても雨が上がれば晴れ間に美しい山々が見えることもはありますが、特に7月8月は1日中降り続くことも珍しくはないため、トレッキングがネパール旅行の第1の目的であれば避けたほうがよいでしょう。
起点となる街・ポカラの紹介
ネパールのトレッキングを楽しむなら、まずは目指すべき街はポカラ。ポカラはカトマンズから西へ200km。ヒマラヤ山脈の緑豊かな盆地に位置する都市で、街中からはヒマラヤ山脈が見渡すこともできます。
標高1300mの首都カトマンズとは異なり、ポカラの標高は800mほどのため温暖でトロピカルな明るい雰囲気が漂っています。
フェワ湖沿いのレイクサイドには旅行者向けのホテルやレストラン、登山用品を売る店が充実しており、頂を目指すトレッカーや旅人たちの疲れを癒すネパール登山の中心地となっています。
かつてはチベットとインドを結ぶ交易地だったポカラ。現代の旅人たちは、この地を旅した隊商にその姿を重ねて、この街で身支度を整え次なる目的地へ向かっていくことでしょう。
トレッキングのルート紹介
今回私がチャレンジしたのはアンナプルナ外周のカーレ~オーストラリアンキャンプ~ダンプスのルート。
目の前に広がるアンナプルナの絶景を楽しめるのはもちろん、このルートであれば最も高いオーストラリアンキャンプでも標高は2000m。高山病に発症するといわれているのが標高2500m以上なので、まず高山病の心配はありません。そしてACAPと呼ばれるトレッキング許可証も必要ないので思い立ったら気軽にトレッキングが楽しめます。
ダンプスには自動車道が開通し車も入れるようになったので、日帰りトレッキングの場合はダンプスからポカラまで車で戻っても良いし、ダンプスで1泊して目の前のアンナプルナの山岳美を心行くまで楽しむのも良いアイデアです。
事前にポーターの依頼をしておけば、車でスーツケースなどの大きい荷物もダンプスのホテルまで運んでくれるので、トレッキング中はほとんど手ぶらで登山が可能なのもおすすめの理由の1つです。
トレッキング前半:カーレ~オーストラリアンキャンプ
ポカラからカーレは車で約1時間。途中、舗装されていない道路をガタガタ揺られてカーレの登山口へ。
あいにくこの日は雨。天を仰ぐとアンナプルナの「ア」の字もまったく感じられないほどの曇り空。「こんな雨の中で歩く意味ある?」と思わず同行したガイドさんに聞いてしまいましたが、「雨の降った後は澄み渡った空になるものですよ!」というガイドさんの熱い言葉を胸に、折りたたみ傘を片手に登山をスタート。
カーレの標高は1700m。オーストラリアンキャンプ(2000m)までは急勾配の坂道が続く。登山道には石が敷き詰められており、雨でぬれた登山道であっても滑りにくく、歩きやすい。
最初は軽快に歩いていましたが、連続した階段があると「ぜぇぜぇ」と息もたえだえ。その度に空気の薄さを実感します。
道中、何軒かお茶屋さんがあるのでお茶をのんで休憩したり、トイレを利用することもできます。
休み休み、なんとかオーストラリアンキャンプに到着。
トレッキング後半:オーストラリアンキャンプ~ダンプス
カーレからオーストラリアンキャンプまでの所要時間はちょうど1時間。オーストラリアンキャンプにはいくつかのロッジやキャンプ場があり1泊することもできます。
私たちはロッジのレストランでお茶休憩。ミルクティーを飲みながら、降り続く雨を眺めて、晴れていれば見えるはずだった壮大な山並みに思いをはせました。
オーストラリアンキャンプからダンプス(1800m)までは来た道とは対照的に下り坂が続きます。
カーレ~オーストラリアンキャンプまでの上り坂と比べて体力の消耗は緩やかですが、雨で濡れた登山道で足を滑らさないかが心配で、ついつい足先に力が入ってしまいます。
オーストラリアンキャンプから約1時間で今日の目的地であるダンプスに到着。
ダンプスのホテル紹介/ダウラギリ ビュー ホテル
ダンプスを代表するロッジ。ホテルの目の前からはアンナプルナの山並みが一望できます。
肝心のお部屋はかなり広めで、電気はもちろんWIFI(弱め)もあり。2階のお部屋であればバルコニーがついているので、美しい景観に囲まれながら快適な1日を過ごせるはず。
レストランの食事も美味しい。
ただし山岳地帯のため、冷蔵庫やセーフティーボックスなど一般的なホテルにはある設備はありません。
また太陽光発電でお湯を温めるシステムらしく、この日はあいにくの水シャワー。
不憫におもったガイドさんが、キッチンから熱湯をバケツ一杯もってきてくれて、それをシャワーの水と混ぜながら沐浴したのは良い思い出です。
ホテル名 | Dhaulagiri View Hotel |
住所 | Dhampus-6, Pokhara, Nepal |
TEL | 985-6083177 |
スパ | なし |
URL | http://www.dhaulagiriviewhotel.com.np/ |
ダンプスから足を延ばして① ノーダラまでのハイキング
せっかくダンプスまで来たのであれば、さらにトレッキングを楽しんではいかがでしょうか?
ダンプスに宿泊しない日帰りトレッキングであればそのままフェディ(標高1220m)まで下山するのもよいでしょう。フェディにはポカラへのバスやタクシーが運行しています。
ダンプスに1泊するのであれば、翌日はダンプスからフェディ、さらにフェディからノーダラまで歩いてみてはいかがでしょうか?
ノーダラから見るマチャプチャレは、ダンプスから見る景観とは角度がことなり、また違った美しさを感じられるはずです。
体力があればノーダラからサランコットの丘を経由してポカラに戻ることも可能です。ノーダラからサランコットへの道は大きな尾根を渡っていくので平坦で歩きやすく、見晴らしがよいと評判です。
ダンプスから足を延ばして② アスタムの「はなのいえ」
個人的におすすめしたいのがダンプスから歩いて3時間ほど先にある「はなのいえ」。
標高1500mにあるアグリツーリズムがコンセプトのホテルで、敷地内で鶏などを飼育しているほか、野菜や果物も自家栽培しています。
ポカラにある日本食レストラン「たべものや」(コロナ禍に閉業)と同じマネジメントのため、日本食のレベルは極めて高いのも日本からの旅行者向けと言えるでしょう。
ランチには幕の内弁当、朝食には焼きおにぎりなど、リクエストに応じて様々な日本食を用意してくれます(もちろんネパール料理もおいしい)。
そして何より、この宿を格別なものにしているのは大人3人くらいは入れそうな巨大な五右衛門風呂。
壮大なマチャプチャレの景観を眺めながらのお風呂は登山の疲れどころか、これまで溜まった疲れも吹っ飛んでしまいそうなくらい爽快なひとときです。ポカラから車でも行くことができますので、ご家族連れの方には特におすすめしたいリゾートです。
まとめ
いかがでしたか?
ネパールに行くのであればぜひトレッキングもプランの1つとして検討いただけますと幸いです。
ネパール好きに話を聞くと、やはりヒマラヤの景色が素晴らしく何度も訪れるというリピーターの方も多いのだとか。
ちなみに私が訪れたのが5月初旬。雨季への移り変わりの時期で、トレッキング中はあいにくの天気でしたが翌日はダンプスから美しいマチャプチャレを拝むことができました。雨が降ったあとには空は澄み渡ってきれいな山並みがみえますよ、というガイドの言葉を信じて歩き続けた甲斐がありました!
世界中の旅行者を虜にするネパールの山岳美。あなたもぜひ堪能してみては?”!