北欧は私にとって特別の場所でした。小学生の時、大学教授をしていた父親がひとりで1年間オスロ大学へ留学し、家族は日本に残りました。でも父は最後の1か月、母を呼んで二人で北欧の国々を周遊して帰って来たのです。私と兄は夏休みで祖父母の家に預けられました。
留学中の1年の間に父は北欧のしっかりした手編みのノルディックセーターやお菓子などを日本に送ってくれたのです。セーターは可愛くてよく着ていたのですが、独特のスパイスの香りがするキャンディーは小さかった私は苦手でした。でもその味は謎でなぜか記憶に残る不思議な味だったのです。
両親が大好きだった北欧に、念願かなって私が初めて一人旅したのは随分先になってからです。ストックホルムの旧市街ガムラスタンを歩いていると、父に見せもらった写真で知っていた風景が懐かしい気持ちでした。
その時滞在したのがグランドホテルストックホルム。1872年創業の歴史あるホテルで、国立美術館の隣りにあって、ストックホルム宮殿とガムラスタンの向かいに位置している素晴らしいロケーションのホテルです。ノーベル賞の受賞者の皆さんもこのホテルに宿泊するという由緒正しいホテルです。 スウェーデンで唯一のリーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールドの加盟ホテルともなっています。サービスもよく、食事も美味しいのが気に入りました。とりわけスモーガスボードは豪華な名物的存在。
北欧の伝統料理スモーガスボードはもともとはスウェーデン語でパンとバターとテーブルを意味する言葉だそうですが、いつの間にかバイキング、ビュッフェといった意味に使われるようになりました。夏の夜、白夜に近く7時くらいはまだまだ昼間のような明るさでした。ランチでも食べているみたいで変な気分でディナーを食べた記憶がありました。
2019年夏、今度は家族でストックホルムを再訪できました。迷わず同じホテルに滞在。運河に面して眺めが格別にいい部屋。船の汽笛がうるさいくらい鳴り響くのもまたストックホルムならではでしょう。ミシュランの星を獲得した2軒のレストランもできていましたが、やはり懐かしいので前回と同じスモーガスボードに久しぶりにトライしたのです。ガラス張りの明るいレストランは健在です。
素材も素晴らしく、洗練されたビュッフェです。サラダバーと海老、サーモンが中心のヘルシーなコーナーではスモークサーモンだけでも3種類、北欧で定番の酢漬けニシンや甘酢ピクルスなどあっさりしていて嬉しいものです。サラダの種類ときたら新鮮で最高の野菜たち。熱々のポタージュと焼き立てのパン・・・メインに行くまでにお腹いっぱいになるほどの満足感です。
町を散策していたときにお菓子屋さんを見つけました。キャンディーがたくさん売っていました。
試しにいくつかキャンディーを買って食べてみると、巡り会ったのです、あの懐かしい味に!聞くと胃腸にいいとされるウイキョウの香りとのこと。
今は亡き父はその昔、私たち家族に身体にいいキャンディーを送ってくれていたことを、その時私は初めて知ったのです。 (2019年7月訪問)
ホテル名グランドホテル ストックホルム(Grand Hôtel Stockholm)
住所 | Södra Blasieholmshamnen 8, 103 27 Stockholm, Sweden |
TEL | 46 8 679 3500 |
部屋数 | 359室 |
予算 | 2名/1室利用の場合 1部屋 SEK(スウェーデンクローネ) 3,900 (約5万円) ~(朝食なし) |
設備(スパ、プールなど) | あり |