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独特の都市文化を色濃く残す町々・・・。これぞ、ドイツの最大の魅力です。中世における自由都市の歴史の中で、なかなか一つの国として統一しなかったからこそ、町や地方独自の建築文化や町の景観、商業の発展や自然との融合が生まれました。そんなドイツのおすすめの町を10個紹介します。魅力的な町が多すぎて、選ぶのに苦労しました。ここで紹介する町以外にも、訪れる価値のある町はとてもたくさんあります。おとぎ話のような世界、魔女伝説、ひっそりと佇む秀麗な古城・・・。ロマンチックなドイツの一部をご覧ください!
圧倒的なゴシック建築の代表格ケルン大聖堂に絶句!
学生時代、世界遺産のケルン大聖堂を目当てにドイツへ旅立ちました。フランクフルトから列車で約1時間。ケルン中央駅から出ると、目前にゴシック様式の堂々とした大聖堂が見えます!高さ157m、奥行き144m、幅86m。想像以上の大きさに唖然。細やかな装飾や荘厳な存在感はもちろんのこと、その建築にかかった年月はなんと約632年!
凛々しい姿を写真に収めようとしましたが、大きすぎて全体が入りません。外観の撮影スポットはライン川の対岸となります。内装のステンドグラスも繊細で、鮮やかな光がふりそそぎ、ここが地球であることを忘れてしまいそうな神聖な雰囲気。町の見どころはライン川の左岸に固まっており、博物館や美術館等が建ち並びます。また、ケルンでおみやげにおすすめなのがオーデコロン!実はケルン発祥の香水なのです。
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夢の国の城へ訪れる際にはフュッセンを拠点に!
シンデレラ城のモデルとして知られる「ノイシュヴァンシュタイン城(ノイシュバンシュタイン城)」はフュッセンという町の郊外にあります。郊外の地域名を冠した、夏の狩りの城であるホーエンシュヴァンガウ城も近くにあります。フュッセンはミュンヘンから列車で2時間ほどの距離。ホーエンシュヴァンガウまでは、駅からバスで約10分。バス停から城へは、馬車かバスか徒歩で山をのぼります。
私が訪れた際は徒歩で30分ほどかけてのぼりました。ノイシュヴァンシュタイン城は、バイエルン国王ルートヴィヒ2世が建設した城で、真っ白な壁とブルーグレーの屋根が特徴的です。内部はガイドツアーで入場可能ですが、撮影禁止。清らかな白鳥の装飾が印象的でした。フュッセンからは世界遺産のヴィース教会にも行くことが出来ます。大草原にたたずむロココ様式の壮麗な教会は必見です。
歴史書の中に迷い込んだような町ハイデルベルク
フランクフルトから特急列車で約50分、ネッカー川沿いに広がるハイデルベルク。この町にあるハイデルベルク城は、先述したフュッセンの二つの城と並んでドイツ三大名城に選定されています。歴史は古く13世紀に遡ります。プファルツ選帝侯の居城として建てられ拡張を重ね、多様な建築様式が見られます。三十年戦争などを経て歴史を刻んだその姿は半ば廃墟ですが、風情があります。
この町にはドイツ最古の大学として有名な、1386年創立のハイデルベルク大学もあります。18世紀から1914年まで使われた学生牢は必見。当時、学生が町で騒ぎを起こしても警察の介入が出来ず、大学当局がその役割を担っていました。一度は投獄されてみたいという学生も多かったようですが、落書きがびっしり書かれた内部は秘密基地風で確かに憧れてしまうかも?!
色の概念が覆る?!フロイデンベルクのモノクロ世界
スタイリッシュなモノトーンの木組みの家が並ぶ整然とした町並みが魅力のフロイデンベルク。ケルンから約1時間半のジーゲンの駅から、さらに30分ほどバスに乗ってこの町に到着します。木組みの家自体はドイツではよく見ますが、このように白、黒、グレーのモノトーンの家が並ぶ光景はフロイデンベルクでしか見られない稀有な景色です。
見える色はモノクロだけではありません。家の間に生い茂る緑が、この町によく映えます。そんな景色を堪能できる場所が町の北東にある保養公園です。小高い丘の上にあり、町の全景を見渡せます。まさに目の保養!新緑の季節も良いですが、冬の雪景色も圧巻の美しさ。小さなクリスマスマーケットも開催されます。グリューワインで体を温めながら、雪で白さが増した幻想的な町の景観を堪能してみてはいかがでしょうか。
ドイツの基礎が築かれたクヴェルトリンブルグ
暖色系の木組みの家が建ち並ぶクヴェルトリンブルグ。旧市街は戦災をほぼ受けることなく13世紀の木組みの家が残されており、世界遺産に登録されています。ベルリンから列車を乗り継いで約3時間。歴史的建造物の残る範囲は80ヘクタールにも及び、ドイツ最大の文化遺産です。千年の古都とも称され、可愛らしい町並みだけでなく、歴史が好きな方にも必見の世界遺産の街です。
旧市街の中心部マルクト広場近くに木組みの家博物館があり、後期ゴシックから現代美術のユーゲントシュティール様式まで幅広い建築様式の家のモデルが展示されています。町の南西にある城山は、ドイツの歴史上重要な場所。ドイツ初代王ハインリヒ1世の居城として919年に建てられ、ドイツ王国の基礎が築かれたのです。そのためこの町は、「ドイツ発祥の地」とされています。
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魅惑的な魔女の集会に召集!ヴェルニゲローデのすすめ
魔女伝説に興味がありますか?伝承が残るドイツ中部のハルツ山地周辺の町で、お伽話の世界に浸りましょう。ヴェルニゲローデという町に、魔女伝説と深く関わりのあるブロッケン山へ向かうSL鉄道の起点駅があります。ブロッケン山は年に一度、4月30日の夜に魔女が集まる祭典「ヴァルプルギスの夜」が行われる場所とされています。現在も毎年、女性が魔女に扮する祭りで賑わいを見せます。
伝説の祭典については様々な文献や物語で取り入れられ、例えばドイツの文豪ゲーテも形而上学的な戯曲『ファウスト』の一幕に、陽気で妖艶で少し不気味な魔女たちの宴を著しています。ヴェルニゲローデの町も木組みの家が並び、魔女のとんがり帽子のような市庁舎や店先に立つ魔女人形など、怪しげな雰囲気が絶妙。近隣の世界遺産の町ゴスラーもおすすめです。
凛々しきハンザ同盟の盟主リューベックの繁栄物語
中世のハンザ同盟の盟主として栄えた、北ドイツの商業都市リューベック。旧市街が世界遺産に登録されています。ハンブルクから列車で約45分。13世紀、自由都市として認められた北ドイツの諸都市の代表としてハンザ同盟を率いてニシン等の海産物貿易で繁栄しました。「ハンザの女王」と呼ばれたその都市は今も、煉瓦造りの町並みの中で賑わう人々を見守っています。
町のシンボルであるホルステン門の入り口にはラテン語で「(門の)内は団結、外には平和を」という意味の文字が書かれています。旧市街の中心部マルクト広場に面して建つ黒煉瓦造りの重厚な市庁舎は、バルト海からの風を通すための大きな丸穴が開いた壁等、リューベック特有の建築構造を持ちます。広場近くの聖ペトリ教会の塔からは、独特な町の景色を見渡すことが出来ます。<
巨人のおでまし?!宇宙の奇跡?!ネルトリンゲン
『進撃の巨人』のモデルになった町として知られるネルトリンゲンは、隕石が落ちて出来たというエピソードも強烈なロマンティック街道の町です。1500万年前に隕石が落下して出来た盆地の中に位置し、旧市街の周りはほぼ中世のままの完璧な形で残された城壁に、ぐるりと綺麗な円形に囲まれています。城壁には城門や塔がいくつも残っており、城門からのぼって城壁を歩くことが出来ます。
アクセスはロマンティック街道バスが便利です。鉄道駅もあります。隕石に興味のある方は、リースクレーター博物館に行くと衝突時の様子や地質に関する町の歴史展示を見ることが出来ます。マルクト広場に面する聖ゲオルク教会の外壁は隕石衝突の際にできた黒い鉱石の破片も使われています。この教会にはダニエルと呼ばれる塔があり、ここから町を一望できます。巨人から町を守っている気分を味わえます!
中世詩人のロマンを追い求めてアイゼナハへ
若きルターやバッハが過ごした町として知られるアイゼナハ。フランクフルトから列車で約1時間半。この町の主な見どころは、世界遺産のヴァルトブルク城。1067年、ヴァルトブルクの山頂にテューリンゲンの伯爵が建てた城ですが、現在残る主要部分はその約100年後に後期ロマネスク様式で建てられたもの。すぐそばには宿泊可能な古城ホテルも!
13世紀はじめ、城には多くの詩人や宮廷恋愛歌人が招かれ、歌合戦を繰り広げました。この様子は、リヒャルト・ワーグナーのオペラ『タンホイザー』の題材となっています。城内には、宗教改革で有名なマルティン・ルターが新約聖書をドイツ語に訳した簡素な小部屋も残っています。町にはルターが学生時代に暮らした木組みの家や、この町で生まれたバッハの家もあり、歴史や芸術に浸る旅におすすめです。
ワインと古城をよくばるならばリューデスハイムへ!
ライン川沿いの小さな町リューデスハイム。フランクフルトから列車で約1時間。ライン川沿いのブドウ畑や古城を訪れるために滞在したい町です。ワインが有名で、つぐみ横丁という路地にはワイン酒場が軒を連ねます。川沿いに約1000年前に建てられたブレムザー城の内部はワイン博物館になっており、製造道具やグラスの展示、ワインの販売を行っています。
ライン川を挟んで町の対岸にそびえ建つ古城、ラインシュタイン城。崖の上に築かれ、鬱蒼とした森に囲まれています。築城者や年代は不明確ですが、13~14世紀ころの築城とされています。絵に描いたような古城の、憂いを帯びた空気感が魅力的。展望台からは、世界遺産として登録され、「父なる川」と親しまれるライン川の雄大な景色を一望できます。ロマン溢れる古城めぐりの旅もおすすめです。