ロシアのウラル山脈以東、ベーリング海までの広大な地域を「シベリア」と呼びます。冬は
マイナス50度以下にもなる寒さが厳しい北部に都市は少なく、南部を横断するシベリア鉄道に沿うように都市が点々としています。その都市の中でもイルクーツク、ハバロフスク、ウラジオストクの3都市は、モスクワ、サンクトペテルブルグとは全く雰囲気が違う「シベリアの都市」として、急速に観光客も増えつつある大注目都市。どこにあるの?どんな雰囲気なの?何があるの?と気になる方へ実際に訪れてみた私からご紹介します!
成田から最短距離のヨーロッパ「ウラジオストク」
ウラジオストクは旅人の憧れ「シベリア鉄道」の起点となる町。19世紀後半には日本人も住んでいましたがソ連時代にはそれもなくなり、領事館が復活したのが1991年のソ連解体後となります。2020年には日系航空会社の運航が開始され、日本人観光客もぐっと行き易くなりました。ウラジオストクの街はムラヴィヨフ・アムールスキー半島の先端にあり、街の中心からも海はすぐそば、夏のアムール湾沿いのビーチには多くの人々が海水浴を楽しんでいます。この湾も冬には一面凍結するのでご注意を。またロシアの海軍港があり軍艦が沢山停泊する姿は圧巻です。
中央広場で週末に開かれるマーケットでは新鮮な魚やフルーツ、近郊の田舎で造られた加工品などが売られ、地元の人々で賑わいます。また広場近くのグム百貨店裏のレンガ路地には若者向けのファッショナブルお店が建ち並びオシャレスポットとなっています。私がウラジオストクに訪れた2015年はまだ外国人観光客も少なく、何となく閉鎖的な雰囲気でしたが、ここ数年ですっかり開放的な街へと変わりました。2017年より電子ビザの配給も始まり、これは行かずにはいられないですね。ピロシキの食べ歩き、オシャレなレストランでの料理教室、シベリア鉄道の試乗など出来れば3泊したい日本から一番近い極東の町です。
エリア | ウラジオストク |
行き方 | 日本から直行便利用で約2時間半 |
時差 | 日本時間プラス1時間 |
観光スポット | グム百貨店、噴水通り、ウラジオストク駅、要塞・潜水艦博物館、鷲ノ巣展望台、 ポクロフスキー教会、ルースキー島など |
中国国境アムール川河畔に開かれた美しい町ハバロフスク
シベリア鉄道停車駅の一つハバロフスクは計画された基盤状の美しい街です。メインストリートのムラヴィヨフ・アムールスキー通りはレーニン広場からアムール川へと続き、通りの両脇にはデパートやショップ、レストランが並びます。街の見どころはアムール川沿いに多く、白亜のウスペンスキー教会、金のドームが美しいスパソ・プレオブラジェンスキー大聖堂、郷土資料館などがあります。道幅が広くゆったりと落ち着いた雰囲気の爽やかなシベリアの街のひとつです。
ハバロフスクを訪れるなら夏がおすすめ。それは観光のメインでもあるアムール川遊覧を楽しめるのが夏の間だけだからです。オホーツク海と繋がるアムール川は、対岸が中国領となる境界でもあります。川が完全に凍結してしまう冬はマイナス20~30度前後の世界、観光には厳しい気温です。また近郊にはビール工場見学や実弾射撃体験などもありますので、興味のある方はぜひオプショナルツアーなどにご参加を!
エリア | ハバロフスク |
行き方 | 日本から直行便利用で3時間弱、又は韓国乗り継ぎで |
時差 | 日本時間プラス1時間 |
観光スポット | アムール川遊覧、ウスペンスキー教会、スパソ・プレオブラジェンスキー大聖堂など |
街路樹の美しい「シベリアのパリ」イルクーツク
シベリア鉄道の中間地点にある大都市イルクーツク。帝政時代、専制政治打倒を目指すデカブリスト達がこの地に流刑となり、モスクワやサンクトペテルブルグの豊かな文化をこの地にもたらしました。その時代に建てられた木造建築の美しい家々は必見です。また、昔の街並みを再現した130地区にはカフェやショップが集まり観光客に人気。街を囲むように流れるアンガラ川沿いは気持ちのいい散歩道となっています。
街から約1時間で行ける世界遺産バイカル湖。この湖は地球上最古の湖で、水量は地球上の淡水の約20%を占め、水深1600mと世界で最も深い湖です。湖畔の町リストヴァンカに来たら小高い展望台より果てしない湖を眺め、ここでしか捕れない魚オームリの料理を楽しみたい!そしてもっと神秘なるバイカル湖を求めるなら湖に浮かぶオリホン島に滞在をおすすめします!道のりは少し遠い(車で約4~5時間)ですが、バイカル湖を独り占め出来る絶景やそこにしか生息しないバイカルアザラシに出会えた時はただただ感動です。
エリア | イルクーツク |
行き方 | 夏に日本から直行便が週数本、又は韓国乗り継ぎで |
時差 | 日本時間-1時間 |
観光スポット | 130地区、木造建築、バガヤヴリェーンスキー聖堂、バイカル湖(近郊) |
まとめ
ロシア国土の東部に広がるシベリア。日本人観光客も少しずつウラジオストクには増えてはきましたが、内陸の街へはまだまだ訪れる人は少ないです。私がこのシベリア3都市を周遊した際、ウラジオストクからハバロフスクまでは「シベリア鉄道」を利用、ハバロフスクからイルクーツクまでは「国内線」を利用、イルクーツクからオリホン島までは「専用車」を利用しました。乗り物を上手く使えば広いシベリアも効率よく周遊出来ます。冬は極寒となりますので爽やかな夏限定の町々ですが、大自然と歴史と文化を堪能出来る旅にぜひお出掛けください。