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東西に広がり世界一の面積を誇る国・ロシアは、西はヨーロッパ、南に中東、東には中国などのアジア諸国といった様々な国と国境を接していることから、異なった文化と融合してきました。ヨーロッパ文化と似たところもありアジア的な雰囲気も味わえる、豊かで多様性に富んだロシア独特の文化を育んできたお国柄と言えます。長い歴史の中で造成された数多くの宮殿や教会、寺院、そして文化・芸術は常に世界の注目を集めています。長い歴史を感じさせるロシアの旅を是非満喫していただきたいと思います。
ロシア旅行をより楽しくする最大で最良のポイント
残念ながらロシアでは英語が通じないことと合わせて英語表記の案内板もほとんど目にしません。宮殿や美術館などの外国人が多く訪れる観光スポットやホテルなどでは英語が使える場合もありますが、スタッフ全員が英語を話せるわけではないので、過度の期待はしない方がよいでしょう。
地下鉄やタクシー、レストランも英語が通じませんので、万一に備えて目的地や滞在しているホテル、お目当てのお料理のキリル文字の表記を控えておくのがよいでしょう。ロシアではキリル文字が標準表記となりますので何とかがんばって覚えることを強くお奨めします。全部で33文字ありますが、一部英語表記と同じです。最後に裏技ですが、英語のアルファベットとキリル文字の変換表がありますので印刷して旅行に持っていくようにしましょう。大きな力となってくれます。
ロシア旅行がより楽しくなる超一流美術品鑑賞
ロシアは言わずと知れた美術館大国で、国内の美術品はもちろん、世界の超一流の美術品を堪能することができます。モスクワのトレチャコフ美術館には10万点を超える作品が収蔵され、レーピン、ペローフなどが有名どころです。またヨーロッパ建築様式に影響を受けたネオ・ロシア様式で造られた建物も必見。同じくロシア美術の殿堂とされるサンクトペテルブルグのロシア美術館も欠くことのできないスポットとなります。
ヨーロッパコレクション部があるモスクワのプーシキン美術館は、西洋美術品をメインに収蔵する美術館で、マティス、マネ、ゴーギャンなど、特に印象派とポスト印象派ファンには必見です。世界の4大美術館にも数えられるエルミタージュ美術館でもレオナルド・ダ・ヴィンチ、レンブラント、ラファエロなど時代を超えた作品を堪能できます。
ロシア旅行がより楽しくなるヨーロッパ建築様式の建物
1721年に即位したピョートル大帝は首都をサンクトペテルブルグに移し、近代化を一気に進め、ヨーロッパ有数の列強国となりました。同時に西洋文化を積極的に取り入れロシア最後の王朝となるロマノフ王朝は最盛期を迎えます。ロシア建築の特徴は重厚で豪華絢爛、力強く男性的な建造物が多い印象です。また異様に横に長いのも特徴で、その代表格がバロック様式で造られたエルミタージュ美術館です。
他にもストロガノフ宮殿、ペテルゴーフの大宮殿、エカチェリーナ宮殿など、ロシアバロック様式を一気に開花させました。その後、フランスのネオ・クラシズムに影響を受けた聖イサク大聖堂、ビザンチン様式に影響を受けたクレムリン大宮殿なども生まれます。各時代のヨーロッパ建築様式の建造物がまとめて鑑賞できるので、注目して観光してみればより一層ロシア旅行が楽しくなることでしょう。
ロシア旅行がより楽しくなる日本でおなじみの料理
日本人になじみ深いピロシキ、ビーフストロガノフ、ボルシチは代表的なロシア料理として知られています。ボルシチは昭和初期、新宿の中村屋でカリーライスと共に発売が開始され評判になったこと、ピロシキは関東のロゴスキー、関西のパルナスというロシア料理店が日本人向けにアレンジしたことで、空前の大ヒットになりました。以来それらのロシア料理は日本に深く浸透しました。
ビーフストロガノフは、サンクトペテルブルグのストロガノフ宮殿で有名なストロガノフ伯爵家の名前が由来で、ロシア革命以降多くのロシア人が日本を訪れたことにより伝来したそうです。カレーと共に日本で人気料理となったハヤシライスやハッシュドビーフと似ていることから日本に浸透したのではないかという説もあります。日本と関わりの深いロシア料理を是非、本場ロシアで食べてみましょう。
モスクワ近郊の中世の古都・ウラジーミルとスズダリ
地名 | ウラジーミル |
概要 | 環状に連なる古都群である「黄金の環」を代表する町で、素朴で豊かな自然と白亜の建築が見事な調和を保つ町です。 ウペンスキー大聖堂やドミトリエフスキー聖堂の白亜の外壁にはロシアらしいレース模様のような見事な浮き彫りが見事です。 ウラジーミルとスズダリの白い建造物群として世界遺産に登録されています |
アクセス | モスクワから毎日10往復前後の高速鉄道が運行され所要約2時間。バスは10往復以上が運行され所要約3時間 |
地名 | スズダリ |
概要 | 「黄金の環」の中で最も美しい古都であり聖都と称えられる町です。 11世紀に建造されたスズダリのシンボル、クレムリンは清らかなカメンカ川に囲まれ、 5つの円屋根のある聖母生誕教会や素朴で味わいのある木造の教会などの古い建築物があります。 時を刻む組鐘の音色が静寂の中に響く時、中世にタイムスリップしたような気分になります |
アクセス | ウラジーミルから頻繁にバスが運行され所要約45分 |
モスクワ周辺は中世の黄金時代を偲ばせる古都が点在していることから、黄金の環(わ)と呼ばれています。中でも人気の2都市が、ウラジーミルとスズダリです。現在は片田舎の静かな雰囲気ではありますが、それがかつて栄華を誇った当時そのままの魅力を感じさせてくれるのです。
最大の魅力は、ウラジーミルとスーズダリの白亜の建造物群として世界遺産に登録されている、ウスペンスキー大聖堂とスズダリ・クレムリン内にあるラジェストヴェンスキー大聖堂です。ウスペンスキー大聖堂は、14世紀まで最高位の教会として権威を示し、壁一面の美しいフレスコ画や、天井のアーチ部分に描かれた「最後の審判」圧巻です。一方、ラジェストヴェンスキー大聖堂は、青い屋根と白い壁のコントラストが素晴らしい、これもまた人気のスポットになっています。
ロシアとイスラムが交錯するユニークな町・カザン
地名 | カザン |
概要 | モスクワから東へ約800km。現在ロシア連邦を構成するタターススタン共和国の首都です。 モンゴルやイスラムの支配を受けていた時期もあり東西世界の中継地点として反映したことから 伝統的に経済力に優れた都市で地下鉄も走っています |
アクセス | モスクワから毎日10便以上の国内線フライトがあり所要約90分。 モスクワから毎日5往復の前後の運行があり夜行列車もあります |
カザンは、ロシア連邦を構成する共和国のひとつ、タタールスタン共和国の首都です。ロシア正教とイスラム教が共存する稀有な場所として、2000年に世界遺産に登録された白を基調とするカザン・クレムリン。赤を基調とするモスクワのクレムリンほどの威圧感はありませんが、敷地面積はモスクワよりも巨大で、優美さが大きな魅力の一つです。
クレムリン観光の中心はロシア正教のブラゴヴェシチェンスキー聖堂とイスラム教のタル・シャリーフモスクで、イスラム教とキリスト教が融和する平和のシンボルとして世界中から注目されています。カザンの町、そしてタタール人の歴史や文化に触れる貴重な機会となるでしょう。タタールスタン共和国には、ボルガル遺跡、スヴィヤズスク島のウスペンスキー寺院と合わせて、3つの世界遺産があります。
2次大戦の戦利品!ロシアの飛び地カリーニングラード
地名 | カリーニングラード |
概要 | 第二次世界大戦後、当時支配していたドイツから編入され、現在ではロシアの貴重な海洋軍事拠点となっています。 かつてはプロイセンの首都・ケーニヒスブルグと呼ばれ当時の隆盛をわずかですが垣間見ることができます |
アクセス | モスクワから1日10便以上の国内線フライトが運行。所要約100分。 隣国のリトアニア、ポーランドからドイツなどからバスの便もあります |
世界地図を見て「あれっ!?」と思った経験がある人はきっと多いでしょう。地図では大国ロシアと同じ色になっているのに、ロシアからは数百キロも離れている謎の土地。実はここ、かつてはドイツの前身、プロイセン王国の首都・ケーニヒスベルグの町でした。それが第二次世界大戦の戦利品として、当時のソ連に渡ることになります。こうしてロシアはバルト海に面した軍事拠点として最適な土地を手に入れたのでした。
列車や国際バスを利用して訪れる方法もありますが、ビザ取得が煩雑になりますのであまりお勧めできません。最も簡単な方法はロシアから空路で約2時間で到着です。かつての美しい町並みはほぼ全壊しましたが、カリーニングラード大聖堂はじめ、点在する戦禍を免れた建物を見ることで当時の繁栄ぶりを偲ぶことができます。さらに歴史を遡り、ロシアにいながらにしてドイツ騎士団の関連施設を巡る旅も注目されています。
【まとめ】
ソビエト連邦崩壊後、ロシアは目を瞠る変貌を遂げてきました。首都のモスクワとロシア第二の都市・サンクトペテルブルグには地下鉄が整備され外国人観光客にとっても重要な足となっています。街中のどの公園も緑豊かに美しく整備され、繁華街は華やかさに溢れ、かつての社会主義時代の様子を知る人々にとっては別世界の様相を呈しています。長い歴史の中で、西欧諸国の伝統や文化とも融合しロシアならではの有形無形の文化伝統を創造してきた軌跡をご自身の目で確かめてみてください。