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フランス旅行・グルメのオーベルジュ訪問 第1弾 ミッシェル・ブラス MICHEL BRAS【ツアーも紹介】

ディナーの前のひとときを過ごすサロン

ディナーの前のひとときを過ごすサロン

南西フランスと言えばグルメの楽しみを忘れることはできません。コロナ禍の2年半余り、ヨーロッパでのグルメの旅ができないことから、もっぱら日本国内で美味しいお店を探して日本中を廻っていた私。でもそろそろ本場のフレンチもどんなだったか懐かしくなりました。今回は超グルメと呼べる美食のオーベルジュとホテルに泊りました。

ミシェル・ブラスのオーベルジュがあるライヨール村へ

のどかなライヨール村の放牧風景

のどかなライヨール村の放牧風景

その1番目はミッシェル・ブラス。洞爺湖のホテルにもお店を出していたことのあるミシェル・ブラス氏。息子のセバスティアン・ブラス氏が後を継ぎ、今フランスの田舎でやっているオーベルジュに滞在しました。

ミシェル・ブラス・・・21世紀を代表するフランス料理界の巨人。そして日本とも縁の深い人物。
「孤高の料理人」とも「香草の魔術師」とも呼ばれています。
そんなミシェル・ブラスのオーベルジュを訪問すべく、2022年7月フランスを訪れました。

夏のディナータイムはずっと明るい

夏のディナータイムはずっと明るい

ミシェル・ブラスのオーベルジュがあるライヨール村はオーブラック地方の高原地帯にあります。
中部の街クレルモン・フェランから車で約2時間。日本から1回乗り継ぎで行けるトゥールーズからは車で約5時間。

冬は5ヶ月ほど1m近くの雪が積もります。放牧地帯で1980年代くらいまでは車よりも牛馬で物を運搬するような秘境でもありました。反面、春から夏にかけては数え切れない花々が咲き乱れる楽園に変身する土地なのです。

フランスのツアーはこちら

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ミシェル・ブラスとその家族の辿ってきた道のり

オーベルジュの部屋からバルコニーへ出られる

オーベルジュの部屋からバルコニーへ出られる

ミシェル・ブラスとその家族の年表を紐解いてみます。
1946年  アヴァロン県のライヨール村に生まれます。
村で両親が経営する「ルー・マズュック」の厨房に入り、シェフである母親から修業。
1979年  両親から「ルー・マズュック」を引き継ぎ、ゴ・エ・ミヨで2つ帽15点を獲得します。
この土地に見せられたブラスは有名シェフに指示することもなく、高級レストランで修業することもなく、母親の姿から学び唯一無二の世界を築き上げていきます。
1992年 郊外の高台に店を移転。「ミシェル・ブラス」とします。
1999年 ミシュラン3つ星を獲得。

バーのお酒も充実

バーのお酒も充実

2002年 洞爺湖の「ウインザーホテル洞爺」に「ミッシェル・ブラス・トーヤ・ジャポン」を開店。
2007年頃 息子のセバスチャン・ブラスに引き継ぐも、3つ星を継続。
2018年 ミシュラン3つ星を返上し、ミシュラン非掲載に。この話題は日本でも大きなニュースに。
2019年 なぜか、ミシュラン2つ星として、名前がリストアップ。
2020年 「ミッシェル・ブラス・トーヤ・ジャポン」閉店

お洒落でスタイリッシュなオーベルジュに宿泊

オーベルジュのお部屋

オーベルジュのお部屋

滞在した大規模でおしゃれなオーベルジュは全15室。
私が泊ったのは14号室。ガーデンや町、大自然を眺望できるフロントルームという名称の部屋です。シャワー独立。バスタブは大きく、お湯も早く溜まります。室内もモダンでおしゃれ。TVは壁に隠されています。ドリンク飲み放題で冷蔵庫にレモネード、水、ビールなど。
驚くのはフランス式ウォシュレット。マークがついているのですが、どんな時に使うかよくわからない。あっても使いにくいなあと思いましたが、フランスではウォシュレット付きのホテルなどまずないので、貴重な存在でした。
部屋に案内してくれたスタッフはシャルルさん。「ミッシェル・ブラス・トーヤ・ジャポン」で数年働いていたとか。親切でほんの片言の日本語もしゃべれます。

ナイフの名産地ライヨール産のナイフは食事中同じものを使うしきたり

ナイフの名産地ライヨール産のナイフは食事中同じものを使うしきたり

夕食は「BRAS LE SUQUET」にて。感動の夕食でした。その瞬間は急に訪れました。何の前触れもなく予想外のことが起こったのです。
それが予めわかっていたらもっといろんな質問がでたのに・・・・

ここはフランス南西部の田舎町ライヨール村。ミシュラン3つ星の頂点を極めたミシェル・ブラス氏のオーベルジュ(現在は2つ星)。そのメインダイニングBRAS LE SUQUETでの話です。
ミシェル・ブラス氏は21世紀を代表するフランスの料理人です。北海道・洞爺湖の支店を出していたこともあり、日本とも深いつながりがあります。今は息子のセバスティアン・ブラス氏が後を継いでいます。

ディナーの前に訪れたサプライズの瞬間とは?

サロンで頂くアミューズの一品

サロンで頂くアミューズの一品

夕食はまず初めにサロンでアペリティフを注文し、メニューを決めます。メニューはフランス語のみ。スタッフが英語を話せるので質問に応じてくれます。
メニューは3種類あり、真ん中の価格帯MENU LEGUMES(野菜のメニュー)を選択します。10品で210ユーロ。
サロンでアペリティフを飲んでいると、スタッフが私たちの名前を呼びました。いよいよメインダイニングのテーブルへ案内されるのでしょう。
しかし案内されたのはテーブルではなく厨房でした。そこにいたのは、シェフのセバスティアン・ブラス氏だったのです。ミシェル・ブラス氏の息子としてミシュラン3つ星のシェフの重責を担い約10年、その後2018年に突然の3つ星を返上、ミシュラン不掲載を表明したのでした。抜き打ちで行われる同書の調査、評価に対する「重圧」からの解放を求めてのことだったのです。この話は日本でも話題になるほどの大きな出来事でした。

ディナーの前菜の一品

ディナーの前菜の一品

そんなセバスティアン・ブラスが目の前にいる!!予めわかっていたら、いろいろな質問も出来たのに。とおり一遍の挨拶しかできずに、残念でした。しかし、彼は日本人と知ると大歓迎してくれたのです。日本との絆は強いようです。そんな優しい心遣いにハートを鷲掴みされました。

テーブルにつくと、地元の名産品ライヨール村のナイフが用意されています。ソムリエナイフで有名なこの村では、一生に1本質の良いナイフを持ち、手入れしながら生涯大切に使うという伝統があります。その伝統に従い、このレストランでは最初から最後まで同じナイフで食べるのです。なお、お箸も出してくれます。

MENU LEGUMES(野菜のメニュー)のディナーのはじまり

ディナーのアミューズ

ディナーのアミューズ

★アミューズ アミューズの中の1品の卵料理。ミシェル・ブラスが子供の頃、母親が作る卵料理が大好きで、その思い出を自分なりに表現したもの。
★ガルグイユ(gargoillou)・・・・一枚の絵のように美しく、野菜と花を盛り付けたスペシャリテ、ガルグイユはミシェル・ブラスの人生そのものだと言われています。オーブラック地方の大自然、家族への愛情、ブラスが歩んできた道・・・。冬は5ヶ月ほど1mもの積雪がある豪雪地帯。かつては秘境といってもいいほどの交通不便なこの大地。春になると数えられないほどの花が一面に咲き誇るのです。そんなオーブラック地方の土地をお皿の上に表現しているのです。
ガルグイユはもともとはじゃが芋、生ハムを煮込んだオーブラック地方の郷土料理。それに野菜を使う基本はそのままで、四季折々の20~30種の香草や30~40種の野菜を別々の調理法で仕上げます。今でこそ、日本でもこうした手の込んだ野菜の前菜が出るようになりましたが、1980年代ごろからこうした料理を続けてきたことを知ると、まさに驚きでいっぱいになりました。

スペシャリテのガルグイユ

スペシャリテのガルグイユ

★4品・・・・この間、野菜料理4品出ます。長くなるので省略。

★アリゴ(l’aligot)・・・・これもスペシャリテです。オーブラック地方の修道院が巡礼者にふるまった食べ物というのがルーツ。オーブラック地方の名物料理でもあります。ラギオールの凝固チーズ、アリゴの熟成前の塊に牛乳とジャガイモのピュレとニンニクを加えます。オニオンやトリュフも。ピューと伸びたものを食べます。サービス係の男性が上手に伸ばしているところが絵になりました。

感動に溢れた料理の数々

ディナーにてアリゴをのばすスタッフ

ディナーにてアリゴをのばすスタッフ

★クーラン(coulant)・・・・クーランとはフランス語でさらさらと、とか、よく流れるとかの意味。1981年に生まれたオリジナルのデザート。もともとはビスキュイ(スポンジのような柔らかいビスケット)にナイフを入れると、温かいチョコレートが流れるのがオリジナル。ここではチョコの代わりにアプリコットとサフランが流れ、冷たいアイスクリームに絡まります。冬の寒い日にお母さんが作ってくれた甘いデザートの記憶から生まれたのだといいます。

★別途デザートとプチフール

デザートのクーラン

デザートのクーラン

私自身、一昔前ミシェル・ブラスの日本支店ともいうべき、ミッシェル・ブラス・トーヤジャポンに家族で行こうとしたことがありました。この店のあるウィンザー洞爺に宿泊すれば食べに行けると安易に考えていましたが、レストランの予約は満席で食べられませんでした。

それ以来いつか行こうと考えていたので、今回やっと念願が叶ったことは本当に嬉しい限りです。セバスティアン・ブラス氏にも会えたし満足でした。

しかし、全般的に超個性的な料理だというのが感想です。万人受けする料理ではなく、好き嫌いの好みが分かれるような気がします。北海道の店を訪問した人がミシェル・ブラスの料理を皆が理解できたのか少し疑問です。

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ミッシェル・ブラスの料理の本質とは?

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大自然に包まれた牧草地帯。かつでは車よりも牛馬で物を運搬するような秘境。そんなオーブラック地方の特性や、そんな大地の中で家族を何より大切にしてきたブラスの心情を知らずに、ミシェル・ブラスの料理は語ることはできません。

この雄大な景観と大地に恵まれた、まさにこの場所でミシェル・ブラスの料理を食べなければ、彼の料理の本質はわからないと思いました。

朝食 width=

朝食はおいしいフランス式コンチネンタルブレックファスト。
カフェオーレを土瓶に入れてもってきたのがおもしろい。
カフェオーレ、ジュース、クロワッサン、デニッシュ、バゲット他。
ここではハムやチーズもなし。すごくシンプルだけれど、大好きです。

久しぶりに本物のフランスのオーベルジュにやって来た!!そんな幸せな時間を過ごすことができました。

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