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言わずと知れた人気観光都市ミラノは、ヨーロッパアルプスのすそ野から広がるロンバルディア州の州都です。紀元前4世紀ごろから歴史に登場し、3世紀末には西ローマ帝国の首都にもなりました。その後さまざまな民族や富豪家、ナポレオンなどに支配され、その複雑な歴史により、市内にはそれぞれの時代の建築物、芸術作品を見ることができます。そんな歴史あふれるミラノは最先端のファッション発信地でもあり、古代~中世と現在が見事に融合され魅力あふれる都市のひとつとなっています。
500年かけて建てられた壮大なドゥオーモ
ミラノのシンボル、壮大なゴシック様式の大聖堂は高さ108.5m、奥行き157m、面積11700平方メートルの大きさを誇ります。着工は1386年、ローマのサンピエトロ大聖堂に次ぐ大聖堂を建築するという号令の下、約500年という長い年月をかけ、1887年に完成しました。2245体にも及ぶ彫刻、135本の尖塔、その姿は圧倒的で息をのむ美しさです。
内部もまた圧巻。幾重にもなる大きなアーチが堂々とした柱に支えられ、ステンドグラスから差し込む光が神秘的な雰囲気を醸し出します。屋上テラスへ登れば尖塔をより間近に見られ、その繊細さに驚くことでしょう。隣のドゥオーモ博物館では歴史のほか、彫刻、ステンドグラスなどをさらに詳しく見ることができます。
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レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作「最後の晩餐」
ルネサンス時代を代表するレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」といえば誰もが知る有名な壁画です。サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会に付随するドメニコ派修道院の食堂に描かれた巨大な壁画(4.6mx8.8m)は1495~1497年に描かれましたが、従来のフレスコ画とは異なる手法を用いたため、完成間もなくから傷み始めていました。ナポレオン時代には馬小屋として使われたり、第二次世界大戦には爆撃も受けてしまい、さらに傷みは広がっていきます。
ですが近年の修復技術により当時に近い画を見ることができるようになったというニュースはご存じの方も多いはず。より明確になったキリストと12人の弟子の表情など、天才と呼ばれるレオナルド・ダ・ヴィンチの傑作は是非見ておきたいですね。入場には予約が必要なうえ、人数制限があるので、ミラノに行くことが決まった際は真っ先に抑えておきたいですね。
ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガレリア
ドゥオーモ前の広場からスカラ広場に抜けるアーケード(イタリア語でガレリア)は19世紀に12年をかけて造られました。床のモザイクや光の差し込むガラスの天井、漆喰のレリーフなど、新バロックと新ルネサンス様式が混ざりあって独特な建造物となっています。
中央十字路の頭上にある4つのフレスコ画にも注目。これはミラノから見た東西南北を象徴的に描いたものです。レストランやブティックなどが軒を連ね、ミラノの人々の社交場となっています。おしゃれ、かつ優美なアーケードはどこを撮っても絵になることでしょう。ただし写真に夢中になりすぎて、道をふさいで通行の邪魔にならないよう気を付けたいものですね。
憩いの場スカラ広場とオペラの殿堂スカラ座
ドゥオーモ広場からガレリアを抜けた先、スカラ広場の中央にはレオナルド・ダ・ヴィンチ像が立ちます。緑があふれる広場は人々の憩いの場となっていて、広場の周囲には16世紀に建てられたマリーノ宮(現在はミラノ市庁舎の一部)や16世紀の宮廷彫刻師の家、通称オメノーニの家があります。オメノーニとは巨人の意味で、8人の巨人に支えられた家はつい立ち止まって見入ってしまいます。
1900年代初頭の旧イタリア商業銀行の建物などが改装された豪華な雰囲気の美術館ガッレリア・ディタリアなどこのエリアだけでも歴史的な建物が多くあります。広場の名前の由来のスカラ座は砂色をしたネオクラシック様式の建物でサンタ・マリア・スカラ教会の跡地に18世紀に完成しました。現在までオペラの殿堂として観客を魅了する舞台が上演されています。
4つの邸宅博物館で当時の建築、インテリアを堪能
ミラノの街中を歩くといたるところに歴史的建築物を見つけることが出来ます。中には当時の資産家や貴族の豪華な暮らしぶりを見ることができる邸宅もあります。ポルディ・ペッツォーリ美術館は趣味のよさと豪華な調度品がみどころ。収集品はヨーロッパでも指折りと言われています。バガッティ・ヴァルセッキ博物館は、元貴族であった持ち主が建物や美術品、生活用品にいたるまでルネッサンス時代のものにこだわり、中世を思わせる佇まいです。
ヴィッラ・ネッキ・カンピーリオは実業家のミラノ滞在の際の別邸として建てられました。広い庭にテニスコートやプールがある豪邸です。クローゼットにはグッチのバッグやドレスが当時のまま残っています。ボスキ・ディ・ステファノ邸美術館は膨大な近代絵画が特徴。間取りなどは現代的な生活が感じられます。
ブレラ絵画館でイタリア絵画を知る
イタリア絵画を知るうえで見逃せないブレラ博物館は、イタリアでも5本の指に入る収蔵品を誇ります。建物自体も17世紀に建てられたもので、広い中庭と二層の回廊は重厚感があります。収蔵品のなかにはナポレオンが増やしたものもあり、それを聞くだけでも歴史が感じられます。
絵画は15~18世紀のものが中心でラファエッロやカラヴァッジョなどの宗教画、モディリアーニなどの現代美術や彫刻までを一堂に見ることができます。外国絵画もヴァン・ダイク、ルーベンスにエル・グレコと一度は名前を聞いたことがある名画が展示されています。もし日程に余裕があれば丸1日芸術鑑賞に浸るのもいいですね。
ミラノで世界のファッションの流行を知る
世界三大コレクションが行われるミラノは流行の発信地。特にモンテナポレオーネ通りとスピーガ通りはミラノだけでなくイタリアを代表するショッピングストリートです。この通りを歩けば世界的なファッションの流行がわかるでしょう。ファッションに敏感の方には必見のエリアです。ミラノ・コレクションの時期には世界各国から最先端な人々がやってくるので、その様子を見るのも興味深いかもしれません。
ブランド品でも手ごろなものが多いのがドゥオーモ周辺のエリアです。特にデパートのラ・リナシェンテはセンスがよい店が入っているのでお土産などにおすすめです。郊外へ出ればアウトレットも充実しているのでお買い物を存分に楽しめるでしょう。
時間があれば行ってみたい歴史的に重要な教会群
旧市街南東部には歴史的に重要な教会が多くあります。特にサン・ロレンツォ・マッジョーレ教会は4~5世紀の建造物で保存状態もよく、古代ローマ時代の16本の列柱が印象的です。サンタ・マリア・プレッソ・サン・サティロ教会の起源は9世紀で、11世紀のミラノ最古の鐘楼が残り、初期ルネッサンスの宝石と称されています。
サンテウストルジョ教会は中世ミラノを物語る教会で、4世紀に建てられた教会の跡に、7~15世紀にかけて再建され続けました。他にも16世紀のサン・セバスティアーノ教会や7世紀創建のサン・ジョルジョ・アル・パラッツォ教会(19世紀に改築)、中世の運河跡、病院など歴史に触れるにはもってこいのエリアです。
まとめ
いかがでしたか?イタリアといえばローマ、フィレンツェ、ベネチアの人気が高いですが、ミラノも負けず劣らず見どころがたくさんある歴史的かつ最先端な都市です。イタリアを訪れる際はミラノも候補の一つに是非挙げてみてください。