目次
大人も楽しめるテーマパーク・東京ディズニーリゾート。何気なく楽しんでいるディズニーランドやディズニーシーですが、実は明確なモデルがあることをご存じでしょうか?
実はディズニーランドやディズニーシーの中には世界に実在する場所や建物からインスピレーションを得たもの、エッセンスを巧みに組み込んだアトラクションやエリアが少なくありません。
知らなくても楽しい!知るともっと楽しい、そんなディズニー・トリビアを100カ国以上旅した私、橋本がご紹介します!
なお前半の①~⑤はディズニーランド、後半の⑥~⑨はディズニーシーに関連しています。
ワールドバザールのモデルとは?
まずは「ワールドバザール」。
ワールドバザールとはディズニーランドのゲートをくぐると最初に通過する、ショッピングエリアです。両脇にはずらりとお土産屋さんが立ち並び、モールの先にはシンデレラ城が見え、これから始まる物語に胸ときめく、そんな印象的な場所ですよね。まさに最初に紹介するにふさわしいエリアです。
モデルになったのはミラノのガレリア。正式名称は「ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガレリア」。その名の通り当時のイタリア王国の初代国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世に因んで名付けられました。設計は1861年、イタリアの建築家ジュゼッペ・メンゴーニによって1865年から1877年の12年もの年月をかけて建設されたと言います。
ガラスと鉄によって造られた幾何学的な模様のドームが印象的で、天井のフレスコ画など細かな装飾は見逃せません。1860年代というと日本でいうと江戸時代末期のことですから、当時のミラノの人々にとっても大きな驚きを持って迎えられたことでしょう。
ちなみに現在のモール内にはルイ・ヴィトンやプラダ、ヴェルサーチなど名だたる一流ブランドのお店がずらりと並んでいます。
ドイツのツアーはこちら
アメリカのツアーはこちら
イタリアのツアーはこちら
シンデレラ城のモデルとは?
ディズニーランドと言えばこれがなきゃ始まらない!そんなディズニーランドのシンボルとも言えるシンデレラ城のモデルとなったのがノイシュヴァンシュタイン城。
世界に名だたる「名城」は数あれど、特にその美しさで最もよく知られているのがノイシュヴァンシュタイン城かもしれません。その優雅な佇まいから“新白鳥城”とも称されています。
ノイシュヴァンシュタイン城は時のバイエルン王ルートヴィヒ2世によって19世紀に建築されました。まるでおとぎの世界から抜け出したかのような、当時の贅を尽くしたメルヘンチックな世界観は必見です。
ノイシュヴァンシュタイン城は騎士道に魅了されたルートヴィヒ2世が、自身の中世趣味を具現化するために建築を命じたとされています。その破滅的浪費グセから「狂王」とまで呼ばれ、ルートヴィヒ2世は予想以上に膨らんだ築城費を補うために借金を繰り返しましたが、最後には財務相や内閣と対立したため、表向きには精神病として王座から追放されてしまったといいます。
ビックサンダー・マウンテンのモデルとは?
ディズニーランドの開園当初からある絶叫マシン「ビッグサンダーマウンテン」。
物語の舞台はカリフォルニア。ゴールドラッシュに湧いた時代。先住民族にとっての聖地である「ビッグサンダーマウンテン」にて、採掘を開始した開拓者たちの鉱山列車に乗車するというストーリーです。舞台はカリフォルニア州ですが、デザインのインスピレーション元となったのはアリゾナ州のセドナです。
セドナにはその名も「サンダーマウンテン」という雷がよく落ちる高い岩山があり、ウォルト・ディズニーはそこからビッグサンダーマウンテンのインスピレーションを得たのかも知れません。
荒々しい赤茶けた大地と所々に咲くサボテン。ビッグサンダーマウンテンはまさにセドナそのままの世界観と言っても過言ではありません。
ちなみにウォルト・ディズニーもセドナの雰囲気を気に入って住んでいたこともあるそうです。
ウエスタンリバー鉄道のモデルとは?
「ウエスタンリバー鉄道」も先ほど紹介したビッグサンダーマウンテンと同様に、ディズニーランド開園当初からある人気アトラクションです。
アドベンチャーワールドを出発し、ウエスタンランドとリッターカントリーを含むディズニーランドの敷地の約3分1のエリアを周遊します。走行中は、園内のアトラクションなどを紹介するアナウンスが流れ乗客を楽しませてくれます。0歳児などの乳児でも乗車できますので、ディズニーランドの中でも世代を問わず楽しめるのも人気の理由です。
このウエスタンリバー鉄道の機関車のモデルの1つと言われているのがグランドキャニオン鉄道です。グランドキャニオン鉄道はアリゾナ州のウィリアムズからグランドキャニオン国立公園のサウスリムまでの約100kmもの区間を結ぶ鉄道で1901年に完成しました。
乗用車の人気の高まりにより、この鉄道は1968年に旅客サービスを停止しましたが、1989年に観光客向けの鉄道として復活しました。古き良きアメリカにタイムスリップしたような懐かしさを感じる鉄道として、アメリカのみならず世界中の観光客に大人気。夏場はディーゼル機関車、冬場は蒸気機関車が運行しています。
ちなみにグランドキャニオン鉄道全体がアメリカ合衆国の歴史登録財として指定されています。
アドベンチャーランドにあるロイヤルストリートとは?
「アドベンチャーランド」と聞いてパッと思い浮かぶ方はそこまで多くはないでしょう。アドベンチャーランドはアトラクションではなく、ディズニーランドに7つあるエリアのうちの1つの名称です。そのアドベンチャーランドの一角にロイヤルストリートと呼ばれる通りがあります。
この通りではディキシーランドジャズが流れ、レース模様の手すりが印象的な建物を目にすることができます。
ディキシーランドジャズや鉄製のレースの手すりと言えば、アメリカ南部の都市・ニューオリンズ。「ロイヤルストリート」もニューオリンズに実在する通りの名称で、ニューオリンズの一角そのままの雰囲気を再現しているのです。
実際のニューオリンズもディズニーランドに負けず劣らず楽しい街です。ヨーロッパの街並みが残る街角ではストリートミュージシャンが奏でる音楽に耳を傾けたり、カフェでは粉砂糖たっぷりのニューオーリンズ名物の四角いドーナツ(べニエ)を味わったり。街並みを歩いているだけでゴキゲンな気分になること間違いなし!
シーのシンボル プロメテウス火山のモデルは?
さぁどんどん行きましょう!
ここから舞台はディズニーランドからディズニーシーに移ります。
まずはディズニーシーのシンボルと言える「プロメテウス火山」から。
プロメテウス火山はディズニーシーに入場すると、真っ先にゲストの正面に見えてきます。このプロメテウス火山は時折、本物の火山のように大きな音を立てて噴火することはディズニーシーに行かれたことのある方ならご存知の通り。
ちなみにこの火山の高さは、シンデレラ城と同じ高さなのだとか。各パークからお互いのシンボルとなる建物が見えないための配慮だそうです。
プロメテウス火山のモデルと言われるのがイタリア南部のカンパーニャ州の都市・ナポリ近郊にあるヴェスヴィオ火山です。ヴェスヴィオ火山は西暦79年に起こった大噴火によって、古代都市ポンペイを長年地中へ埋めてしまいました。ポンペイは18世紀に発掘されるまでその姿を人々に知られることはありませんでしたが、長年地中で保存されていたことで古代ローマ時代の栄華を今に伝える貴重な遺跡となっています。
またプロメテウス火山のもう1つのモデルとして名高いのがアメリカ・ワイオミング州にあるデビルズタワーです。頂上になるにつれてハッキリとした引っ掻き跡のような縦じま模様はディズニーシーのプロメテウス火山と瓜二つですよね。デビルズタワーのこの不思議な形は、約5~6千万年前にマグマの噴火が急激に冷えて固められた結果、周りの柔らかい地表か風化により取り除かれ、硬い火成岩だけが残ったからと言われています。
パークの玄関口・メディテレーニアンハーバーのモデルは?
「メディテレーニアンハーバー」と聞いて、すぐに場所が思い浮かぶ方はそう多くないかもしれません。
メディテレーニアンハーバーはディズニーシー入り口のゲートをくぐるとまず最初に辿り着くエリアです。ディズニーランドの「ワールドバザール」同様、アトラクションよりもレストランやお土産屋さんが集中しており、唯一の園内ホテル「ミラコスタ」もこのメディテレーニアンハーバーに位置しています。
イタリア語で「地中海」を意味する「メディテレーニアン」の通り、ヨーロッパの港町やリゾートのような趣きのあるエリアですが具体的なモデルはあるのでしょうか?
この「メディテレーニアンハーバー」にはいくつもの世界に実在する海洋都市をモチーフにしていますが、最も大きなインスピレーション与えているのはイタリア中部の街・ポルトフィーノで間違いないでしょう。
ポルトフィーノへはミラノから列車とバスを乗り継いで約4時間。非常に小さな港町のため大型バスは乗り入れは禁止されており、その美しさに相反して観光客はそこまで多くはありません。そのため欧米のセレブやハリウッドスターがお忍びでバカンスに訪れることも少なくないのだとか。
湾岸を取り囲むように並ぶパステルカラーのお家と爽やかなコバルトブルーの海はセレブでなくてもうっとりしてしまうくらい魅力的ですよね。
インディ・ジョーンズ・アドベンチャーの神殿のモデル?
数あるディズニーシーのアトラクションの中でも、常に高い人気を誇るのが「インディ・ジョーンズ・アドベンチャー」。平常時であれば2時間待ちは珍しくありませんが、ついつい何度でも乗りたくなってしまう魅力があるんですよね。
その名の通り映画『インディ・ジョーンズ』をモチーフにしたライド系のアトラクション。ゲストは「不老不死の泉を探す」ためにジープに乗り込み遺跡の中を探索する、というストーリーで展開します。
この「インディ・ジョーンズ・アドベンチャー」の外観で目を引くのが、巨大な古代文明風の神殿。あまりのインパクトに思わず立ち止まったことがある方も多いのではないでしょうか。この神殿のモデルとされているのがグアテマラにあるティカル遺跡です。
マヤ文明の遺跡で最大規模を誇るのがこのティカル遺跡。ティカル遺跡は古い時代のもので紀元前600年まで遡り、最盛期には数万人もの人口を抱えた都市だったのだとか。ジャングルの中に浮かぶ摩天楼のようなティカルの神殿群は、古代文明にそれほど興味がなくとも、私たちの想像力を掻き立てワクワクさせてくれますよ!
マーメイドラグーンのモデルとは?
「マーメイドラグーン」とは映画『リトル・マーメイド』の世界観をそのままに、主人公アリエルを始め映画のキャラクター達が住む「トリトンズ・キングダム」を再現したエリアです。
このエリアの特徴としては、「アバブ・ザ・シー」(海上)と「アンダー・ザ・シー」(海中)の2つから構成されています。特に「アンダー・ザ・シー」はディズニーリゾート唯一の屋内エリア。主に身長制限のないアトラクションが多いため、小さなお子さん連れの家族で賑わっています。突然の雨などの悪天候のため、このエリアに訪れたことがある方も多いのではないでしょうか?
このマーメイドラグーンのインスピレーションの元となったのでは?と言われているのがスペイン・バルセロナにあるグエル公園です。なるほど確かにカラフルな色使いと印象的な曲線の使い方は、マーメイドラグーンに大きな影響を与えていると思われます。
グエル公園は1984年にユネスコの世界遺産に登録されたアントニ・ガウディの作品群の1つ。エウゼビ・グエイ伯爵がガウディに設計を依頼した分譲住宅でしたが、あまりな斬新なデザインゆえ買い手がつかず、公園として市に寄付されたという経緯を持っています。でもこうしてディズニーのモデルの1つとして名前が挙がる上に、現在でもバルセロナの代表的な観光名所として多くの人が作品を目にしているのですから、芸術家のガウディとしては結果よかったのかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたか?
意外にディズニーの世界観が、実在するモノや場所から影響を受けて造られていることが多いとお分かりになったのではないでしょうか?ディズニーランドやディズニーシーの滞在は、無意識的に「プチ世界旅行」を楽しんでいる、と言えるかもしれませんね。書いている私も久しぶりにディズニーに行ってみたくなりました。