トラベルアドバイザーの橋本と申します。学生時代にはバックパッカー、社会人になってからは年に5~6回のペースで海外旅行に行っていて、これまで100カ国ほど旅をしてきました。加えてトラベルアドバイザーとして、これまで15年以上旅行業に携わってきましたので、旅のスタイルや行先もバラエティーに富んだ経験をしてきたと僭越ながら思っています。
今回は、人気の旅行先ヨーロッパでよくあるトラブルについてまとめてみました。
小さなコトから大きなコトまで、旅先でのトラブル、皆さんも経験あるのではないでしょうか?
無用なトラブルに遭わないように、旅行好きの皆様への旅のヒントになるとうれしいです。
ここには書ききれないアドバイスについては私が動画で説明していますのでこちらもぜひご覧ください。(https://youtu.be/fiuRfWFcTQg)
トイレ
まず誰もが利用するトイレ事情から。
ヨーロッパのトイレは有料の場合がほとんどです。「そんなこと知ってるよ!」という声が聞こえてきそうですね。
(ちなみにアメリカやオーストラリア、中国などアジアの国の公衆トイレは大抵無料です)
いざトイレに入りたくなった時に、小銭がないことがヨーロッパの場合多くないですか?
そうです。ヨーロッパの有料トイレはコイン式なのにユーロのコインは事前に日本では手に入りません。出発前に両替できるユーロの最小額面は10ユーロ紙幣です。そのため現地に到着した後は事前に何かを購入して崩しておかないといけません。
昨今は(日本でもそうですが)キャッシュレスの時代で、ヨーロッパであればクレジットカードはほとんどのお店でも使えるようになりましたので、ついついカードを使ってしまいがちですが、コインしか使えない有料のトイレのために予めコインを「つくっておく」ことが何気に大事です。
トイレだけでなく、ヨーロッパではトラムやバスの券売機もコインしか使えないところもまだまだ多いですね。日本のように両替機は置いてないですし、近くのお店の人が気軽に両替に応じてくれることはないことを、頭の片隅に入れておいて下さい。
旅の序盤はなるべく紙幣から使って、コインをためておくのがコツです。
スリ
ヨーロッパで最も旅行者が狙われる犯罪。それがスリです。
かく言う私も、フランスのパリでスリの標的にあったことがあります。
地下鉄の通路を、奥さんと話ながら歩いていたら、後ろから歩いてきた人にバックパックのチャックを開けられていたのです。
幸いにも奥さんが気づいてくれたので、何も盗まれませんでしたが、大胆な方法にもかかわらず私は全く気付きませんでした。
そして盗もうとした人がどこにでもいそうな若い女性だったので「してやられた」と思い反省しました。
特にフランスのパリはショッピングに最適な街です。有名ブランドショップをはしごして歩くのも楽しいのですが、ご自身の財布、カメラ、スマホはちゃんと盗まれないようにしまっていますか?
ショッピングバッグをたくさんもって、お友達同士で話しながら歩いている日本人はスリの恰好の標的です。
最も大事なパスポートは首から下げるケースに入れて、身体にピッタリそうようにしておくのがベストです。
財布もメインとサブの2つを使いましょう。財布が1つしかない場合は、バッグの出し入れしやすい位置に入れがちになって、万が一スリに遭うと全財産が盗られてしまいます。そのためバッグの奥底に入れる本命の財布とコインや小額紙幣を集めた取り出しやすいサブの財布とを使い分けてください。
万が一、盗難に遭ったことが分かっても、まずは落ち着いてください。
海外旅行保険に入っていれば、盗まれたモノによっては1つにつき最大10万円までの補償がでます。ツアーに参加中であれば添乗員やガイドさんに、個人旅行であれば警察に盗難届を書いてもらいましょう。
置き引き
置き引きもスリと同じくらい日本人が良く遭うトラブルの1つです。
日本で置き引きに遭うことはそうそうないですよね。仮にお店で忘れ物をしても誰かが預かってくれていることが多いので、大ごとになることはあまりありません。
ついつい置き忘れしてしまいがちな場所としては、ホテルのフロントです。
パスポートを見せた後、そのままフロントデスクの台の置き忘れしたことはありませんか?
以前私のお客様でイタリアのホテルフロントにパスポートを置いたままにしてしまって、盗まれてしまったというケースがありました。
置き忘れの定番の場所としては、バスや飛行機の前の座席のポケットですね。ついスマホやタブレットを入れたままにしないように、席を立つときは必ずポケットをチェックしましょう。
最近ではブルートゥースの無線イヤホンも一般的になってきましたが、あれも危ないと私は思っています(笑)。旅行中は有線のイヤホンを利用されることをおすすめします。
ちなみに置き引きは盗難とは違い海外旅行保険の補償対象になりませんのでくれぐれも注意してください。
チップ目当ての写真撮影
この手口はヨーロッパに限ったことではないのですが、個人的に印象深かったので選ばせていただきました。
ニューヨークやカンクン、マドリードなど有名観光地にはたまに人気キャラクターの着ぐるみやコスプレをした人たちがいます。彼らに誘われるがまま一緒に写真をとると執拗なチップ攻撃にあいます。
中でも酷かったのがコロッセオにいたグラディエーターです。
初めてのイタリア1人旅で訪れたローマの街並みに、私はまるでタイムスリップか映画の中に飛び込んでしまったような錯覚を覚え興奮していました。そして訪れたコロッセオ。「コロッセロすげえ!」と感動に打ち震えていたところに、グラディエーターのお兄さん達が写真を取るように催促してきました。当然私は気分はアゲアゲ状態で、1人旅ゆえ誰かに写真を取って欲しかったので、グラディエーターと記念写真をとりました。そうしたらチップとして20ユーロを請求されたのです!「高すぎる」と拒否したところグラディエーターが怒り出したのでこちらも「ふざけるな!」と思い2ユーロで充分だろ!と逃げるようにその場を立ち去りました。
テンションMAXの気分から一気にお葬式のような気分になりました。コロッセオでの苦い思い出です。
同じ都市に空港や駅が複数ある
日本と同じと考えていると、痛い目を見るかもしれないのがヨーロッパの空港や駅です。
東京には羽田と成田の2つの空港がありますが、日本に住んでいる方なら国内線と国際線で使い分けしていることが分かっていますから間違えることはほとんどありませんよね。
しかしことヨーロッパに関しては1都市に空港が2つあることはザラで、都市によっては空港が3つ、4つあることは珍しくありません。
中でも代表的なのはロンドンです。ロンドンにはなんと6つも空港があります。代表的なヒースロー空港を始め、ガトウィック空港、スタンステッド空港、ルートン空港、シティ空港、サウスエンド空港。もう何が何だかよくわかりません。
ロンドン出発の時に実際の予約とは別の空港に向かっていた、なんて事は考えたくもないトラブルの1つです。
ロンドンでは「空港多すぎ問題」があるのに対し、パリでは「ターミナル駅多すぎ問題」があります。
東京のターミナル駅と言えば、なんと言っても東京駅です。新宿や品川も大きな駅ですが、大抵の特急列車は東京駅が始発になっています。
それに比べてパリには北駅・東駅・サンラザール駅・リヨン駅・モンパルナス駅・オーステルリッツ駅の6つの主要ターミナル駅があり、行き先や乗車する列車の種類に応じて利用する駅が異なるのです。東京駅のように便利な「パリ駅」は存在しません。
ヨーロッパを旅行する上で、1つの都市の中でも複数の空港や駅があることを知っているのと知っていないのでは、ホテル選びや効率的なプランニングにも大きな差がでますので要注意です。
公共交通機関
ドイツを始めとした西ヨーロッパ諸国の公共交通機関に関しては比較的正確に運行しているように思いますが、東ヨーロッパ諸国の公共交通機関は、まだまだ時間通りにならないことが多い印象があります。
個人的に思い出深いのはルーマニア旅行。列車乗車中に、いきなり列車が止まって約2時間も列車の中に缶詰めになったことです。当然英語のアナウンスもない国ですから、他の乗客に聞いても言葉がまず通じないのでもう待つしかありません。車中とにかくお腹が減ったことと、大遅延にも関わらず目的地でドライバーがちゃんと待っていてくれ感動したことが印象に残っています(笑)。
イタリアのバスでも痛い目に遭いました。
ベネチアからドロミテ地方に行くバスを待っていた時です。予約していたバスが待てど暮らせどやってきません。同じバスを待っている人に聞いても皆「やれやれ」と言うような返答ばかりで、とりあえず待つしかありませんでした。
2時間ほど待つと予定の便の次のバスがやってきたのでドライバーに事情を説明して乗せてもらえるように交渉しました。バスの運転手曰く「なぜバスが来ないかは分からないが、席が空いているので乗せることはできる。ただしお金を払ってもらわないと乗せられない。君たちが乗る予定だったバスに関しては、直接バス会社に交渉してくれ」とのことでした。確かにその運転手には非はないのですから当然の言い分です。
私達は大人しく料金を支払い、バスに揺られ、予定より大幅に遅れて、各目的地まで移動しました。
翌日、バス会社に行ってカウンターのスタッフに下手な英語でなんとか返金を求めましたが、バスが来なかったことをどうしても理解してもらえません。私の英語が下手なのか、それとも外国人観光客のたわごとだと思われているのか。。。結局、説明するのに疲れて私は諦めました。本当に「やれやれ」です。
ストライキ
ストライキはヨーロッパではよくあるトラブルの1つです。特にフランスやギリシャで多く発生している印象があります。
ヨーロッパの国では平均して年に1、2度は大きなストライキによって列車や、フライトが欠航になることがあることを知っておいた方がいいでしょう。
万が一、ストライキに当たってしまったらどうするか、率直に言えばどうしようもありません。そのため、ある程度「その状況を楽しむ」と言う割り切りも必要です。
その上で金銭的・精神的ダメージを和らげるために①欠航などに対応している海外旅行保険に入っていること、②1日動けなくてもリカバーできるような余裕のある行程を組んでおくこと、③早め早めの移動を心がけておくこと、以上3点が予防策として挙げられます。
③に関して補足しますと、例えばミュンヘンからプラハへ行くことを計画していたとします。ミュンヘンからプラハへのフライトが午前・午後の1日2便であった場合は午前の便を選んでおく、ということをお勧めします。午前便を選んでおけば、万が一ストライキにより午前便が欠航しても空きがあれば午後便に乗れるかもしれません。午後便に乗れなくとも、列車やバスなど他の手段を検討することも可能です。それに対して午後便に乗る予定で、午後便が欠航した場合は、少なくともその日中に飛行機で目的地に着くことは不可能となります。つまり、早め早めの行動の方が、万が一の際に幅広い対応策を考えられるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回はヨーロッパでよくあるトラブル7つについてご紹介しました。
定番のトラブルについて事前に知っておけば、ある程度予防ができます。ただしストライキなど、自分ではどうしようもならないこともありますので、その場合は「状況を楽しむ」余裕が何より重要です。
旅行のトラブルは決して遭いたいものではありませんが、自分の旅行を思い返すとちょっとしたトラブルが「思い出のスパイス」になっていることは間違いありません(^^;;。何事も前向きな気持ちが旅行を楽しむ最大のコツですね!皆様も良い旅を!