バルト三国の中央に位置するラトビア共和国。首都リガの街は13世紀にドイツ人によって築かれました。その美しい街並みからバルトの真珠と呼ばれています。バルト海と北ドイツによる貿易から発生した商人の仲間の組合であるハンザのメンバーであったことから、ハンザ同盟の町とも呼ばれています。その当時から残る建築群から石畳まで中世の雰囲気を今に伝える街であることから、旧市街歴史地区全体がユネスコの世界文化遺産に登録されています。ちなみにラトビア語の発音はリーガです。
ドーム教会・リガ大聖堂
バルト三国最大規模!世界遺産として登録されている「リガ歴史地区」の一部で、旧市街の象徴的な存在ともいえるリガ大聖堂は、13世紀にローマ教皇の命を受けたアルベルト司教によって建てられた、バルト三国の中でも最も古くプロテスタントで最大規模を誇るルーテル教会の大聖堂です。約500年かけて増改築が繰り返されたため、ロマネスク様式からゴシック形式、さらにバロック様式など、さまざまな建築様式が混在しているのが特徴です。18世紀後半に現在の姿になり、その後も20世紀初めまで修復作業が行われ続けました。クリスマスマーケットでにぎわうドゥアマ広場からの夜の眺めも素敵です。
リガ大聖堂は教会としてだけでなく、コンサートホールや博物館として多くの人に利用されています。聖堂内でとりわけ惹きつけられるのがパイプオルガンとステンドグラスです。19世紀後半に作られた約7、000本のパイプを持つ大きなパイプオルガンは世界的に有名で、造られた当時は世界最大級でした。毎日12時にちょっとしたコンサートが行われるので、リガに訪れたら生の重厚なサウンドに耳を傾けてください。同じく19世紀後半に作られた、数々のリガの歴史的な出来事を描いたステンドグラスの窓からは上から光が差し込み、聖堂内を美しく彩っておりこちらも見逃せません。
※営業時間が異なる日があります
施設名 | リガ大聖堂 |
エリア | リガ |
住所 | Herdera laukums 6, Rīga, LV-1050. |
営業時間 | 月~土曜/11:00-16:00、日曜/14:00-16:00 ※営業時間が異なる日があります |
入場料 | 大人/5ユーロ、11~18歳/3ユーロ、10歳以下/無料 |
公式サイト | https://doms.lv/en/ |
聖ペテロ教会
リガ旧市街を一望できる絶景観光スポットの聖ペテロ教会は、旧市街の南側にあります。13世紀の初めに先住民であるリーヴ人が木造教会を建立し、その後、火災で崩壊を繰り返して石造教会へと改築されました。その尖塔が17世紀に完成した時は、高さ136メートルを誇る巨大な塔だと聞くと当時の建築に関わった人たちの並々ならぬ情熱が伝わってきます。幾度の改築と修復を繰り返し18世紀には、ほぼ現在の姿に改築されましたが、現存する大部分は、第二次世界大戦で破壊されてしまった後に再建されたものです。最初はカトリックの教会として機能していましたが、宗教改革の起こっていた1524年にルター派(ルーテル)の教会になったと言われています
現在の教会の高さは123メートル。旧市街で一番高い尖塔が特徴の聖ペテロ教会。建物の途中までエレベーターで昇ってみましょう。およそ70メートルの高さの展望台からの見晴らしは絶景で、ちょっとした観光スポットになっています。ここからダウガワ川やリガ湾、パステルカラーの可愛い建物が広がるリーガの街並みを一望できる、まさにリガのランドマーク的存在です。上からだけでなく教会内部にも足を運んでみましょう。中世の建築、キャンドルホルダー、絵画、彫刻などの芸術も溢れています。教会のすぐ横には、姉妹都市であるドイツのブレーメンから贈られた、ブレーメンの音楽隊のかわいい銅像を見ることができます。
施設名 | 聖ペテロ教会 |
エリア | リガ |
住所 | Reformācijas laukums 1,Rīga, LV-1050 |
営業時間 | 月~木・日曜/10:00-18:00、金~土曜/10:00-22:00 |
入場料 | 9ユーロ |
公式サイト | https://svpetera.lv/lv/ |
猫の家
屋根の上に目を向けてみよう!背伸びをする猫の像が印象的な「猫の家」は、リガ旧市街のリーヴ広場の北側にあるちょっとユニーク建物です。かつてこの家に住んでいた裕福なラトビアの商人が、ヨーロッパの商工業者たちで結成された組合である大ギルドに加わりたいと思いました。しかし、ドイツ人によって築かれたリガの街ではドイツ人中心の社会が形成されていたため、入会に必要な十分な資格を持っていたにもかかわらず、ラトビア人であることを理由にメンバーに加えてもらえなかったのです。そのことに憤慨した彼は、その腹いせに大ギルド会館にお尻を向けた黒猫の彫像を塔の上に付けました。
この挑発行為に対し、主にドイツ人の大ギルドのメンバーたちは激怒しました。それから長期にわたる裁判の末、猫の向きを変えることを条件に、彼も大ギルドのメンバーに加えてもらえるということが決まりました。そして屋根上の猫はくるりと方向を変えて今の姿に向き直した、という伝説が残っています。現在のギルド会館は、コンサートホールとして利用されるようになりました。黒猫の彫像は音楽が聞こえてくる方に向きを変えたという説もあります。屋根の上に「ちょこん」と座っている感じなので、注意して上を向いて歩かないと見逃してしまうかもしれません。
施設名 | 猫の家 |
エリア | リガ |
住所 | Meistaru iela 10/12, Centra rajons, Rīga, LV-1050 |
アルベルタ通り
上を向いて歩こう!リガが世界遺産に認定された理由の大きな要因の一つとも言えるのが、ヨーロッパ最大級のユーゲントシュティール建築群の存在です。フランス語のアールヌーヴォーの方がワードとしてしっくりくるかもしれません。これらの建築物はまさにリガの景観を特徴づけています。ドイツ語の”ユーゲントシュティール”とは、19世紀後半から20世紀の初めにかけてヨーロッパで流行したした新芸術様式です。リガ市内では1900年ごろからわずか十数年の間に、膨大な数のユーゲントシュティール建築が建てられました。現在は、世界で最もユーゲントシュティール建築が集中した街となっています。
新市街の一角、アルベルタ通りとエリザベテス通りを中心に、ユーゲントシュティールの独創的な建築物が集中しています。繊細な曲線と力強い曲線で彫られた動植物のレリーフ、デフォルメされた人間の顔が、いたるところに現れます。無数の彫刻が施された派手な姿は圧巻で、目に入ってくるすべての建物を写真に収めたくなる衝動にかられます。アルベルタ通り周辺では、ユーゲントシュティールを代表する建築家であるミハイル・エイゼンシュテインが手掛けた建築を多く見ることができます。インパクトのある奇抜な建築物が並んでいて、それらの多くはレストランやカフェ、オフィスなどに利用されています。歴史や建築に詳しくなくても歩いて見るだけでも十分に楽しめる通りです。
ルンダーレ宮殿
首都リガの中心から南へ車でおよそ1時間半のバウスカにあるルンダーレ宮殿。フランスのベルサイユ宮殿をモデルに建てられており「バルトのベルサイユ」と呼ばれています。ロシアの女帝アンナに愛された、ビロン公の夏の離宮として18世紀に建造された豪華絢爛なバロック様式の宮殿。その前には、きれいに手入れされたフランス式の庭園が広がっています。設計は、サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館やエカテリーナ宮殿を手がけているイタリア人建築家のラストレッリ。2階建て138もの部屋がある内部は圧巻。見ごたえ充分の豪華さを極めつくしています。
宮殿で最も豪華で迫力ある天井画が印象的な黄金の広間や、滝のように並べられた飾りが印象的な磁器の間、ピンクの人工大理石の壁に飾られた花のレリーフが美しいバラの間、そして最も重要な部屋と言われる公の寝室など、その豪華絢爛たる部屋を貴族の衣装を身にまとったご婦人のコンビガイドが1つ1つ丁寧に案内してくれます。トークだけでなく、軽快なリズムに乗せた素敵なダンスも魅せてくれます。さらに扇子を使った大人の男女のユニークなコミュニケーション方法など、決してガイドブックにはないような興味深いネタを披露してくれます。この隠れた扇子芸こそ絶対に見逃し聞き逃してはならない最高のパフォーマンスです。
施設名 | ルンダーレ宮殿 |
エリア | バウスカ |
住所 | Rundale Palace Museum, Pilsrundale, Rundales pagasts, Bauskas novads, LV-3921 Latvia |
営業時間 | 5月~10月/10:00-18:00、11月~4月/10:00-17:00 |
入場料 | 12ユーロ |
公式サイト | https://rundale.net/en/# |
まとめ
もっと伝えたいことを忘れていました。いかがでしたでしょうか。リガの代表的な観光スポットをご紹介いたしましたが、これらの他にもうひとつ、中央市場の存在も伝えられずにはいられません。食品ごとに分かれた5つのドーム内に肉、魚、野菜、乳製品などの新鮮な食材から手工芸品まで、あらゆる生活必需品が並んでおり、リガの人たちの暮らしぶりを垣間見ることができます。生活用品の買い物だけでなくおみやげを探すのも楽しい市場で、中でも名物のハチミツが人気でお土産におすすめです。食事やカフェ、クラフトビールなどお酒も楽しめるちょっとしたアミューズメントエリアとなっており、その規模はヨーロッパ最大級と言われています。
ラトビアはハンザ同盟の中心として繁栄したため、商業の国のイメージがあるかもしれませんが、実は国土の半分以上が森林、そして3、000を超える湖がある自然大国なのです。ベストシーズンは緑あふれる夏、5月から9月とよく言われていますが冬のラトビア、特にクリスマスマーケットが楽しめる、11月終わりから1月上旬までも裏のベストシーズンであると思います。東京からリガの国際空港までのアクセスは、ポーランド航空のワルシャワ経由またはフィンエアーのヘルシンキ経由が便利でオススメです。歴史と自然、そして人々の笑顔に溢れたラトビア。季節を問わず思い立ったら訪れてみてください。