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オランダ、ベルギー、ルクセンブルクのいわゆるベネルクス3国。ヨーロッパの小国ながら、個性的な文化が魅力で、一度は訪れたい国々なのです。ここではベネルクス3国のツアー選びの上で大切なポイントについて話してみたいと思います。
手頃な大きさの国なので個人旅行が便利
オランダは九州位の広さ、ベルギーは九州より少し小さい広さ、ルクセンブルクは神奈川県くらいの広さ、つまり、3つの国を合わせても北海道よりも小さいのがベネルクス3国です。手頃な大きさの国なので、各都市間の移動は便利です。例えば、オランダのアムステルダムからベルギーのブリュッセルへ、新幹線のタリス号でわずか2時間なので東京/大阪間よりも近いのです。予想以上に便利なので、わずらわしい団体旅行で出かけるよりも個人旅行で行く方が、意外に簡単で何倍も楽しいのです。
個人旅行はベネルクス3国を得意とした旅行会社のモデルコースをベースに、必要に応じてアレンジするのが一番正しいやり方です。旅行会社は旅行サイトなどから調べてみましょう。旅行会社を選ぶポイントは料金の安さだけでなく、担当者がその国について詳しいかどうかも大切です。また、来店をして質問できる会社も信用できます。
シーズンは3月から5月のみ?
オランダというとチューリップというのが日本人の感覚です。オランダで世界最大規模のチューリップ園を誇るのがキューケンホフ公園です。3月中旬から5月のみ、この公園はオープンします。色とりどりのチューリップを見るために、団体ツアーはこの時期に集中します。満席になるツアーも多く、フライトも取りにくいです。逆に6月出発などでキューケンホフ公園に行かない団体ツアーは人数が集まらずツアーキャンセルになることも多いです。つまり日本人にとっては、このエリアの旅行で一番大切なのは他でもないチューリップなのです。
確かにキューケンホフ公園は素晴らしいです。インスタ映えする写真もたくさん撮れることでしょう。もし、ベネルクス3国に行くのに、年中いつでも休みが取れるのなら、3月中旬から5月の間のチューリップに合わせて旅するのもいいでしょう。
しかし、チューリップが全てではありません。初夏から秋もそれぞれ季節毎の良さはあります。
特に夏は日が長いので遅くまで観光できるのも魅力です。ですのでシーズンは3月から10月くらいと考えていいかと思います。
ゲルマン文化とラテン文化の交差点
ヨーロッパの2大民族、ゲルマン民族とラテン民族は長い歴史の中で民族の対立が続きました。中でもドイツとフランスは事あるごとに紛争や戦争を繰り返してきました。
ドイツ、フランスという2つの大国に挟まれたべネルクス3国は、中間地点でいわば2つの民族文化が融合したエリアでもあります。
オランダはゲルマン系でオランダ語を話します。ベルギーは北半分がゲルマン系のフラマン語(オランダ語),南半分はラテン系のワロン語(フランス語),ルクセンブルクはゲルマンメインでラテン系もミックスのルクセンブルク語。
北海道ほどの面積のエリアにいくつもの異文化が交差するエリアなのです。
もし、あなたの旅行日数が8日間前後あるのでしたら、最低でもオランダ、ベルギーの2国には旅行できる日程を組むのがいいでしょう。また、できたら、ルクセンブルクは1泊して3か国を周遊するのもおすすめです。ルクセンブルクの旧市街は世界遺産に指定された城塞都市です。立ち寄る価値は十分にあります。
時間があればアルザスも加えてみたいです
20世紀終わり、ヨーロッパの国々は長い対立の中からEUを発足させました。EUの主要機関はゲルマン民族、ラテン民族、2つの民族文化が融合された場所に置かれるようになりました。EU本部のあるベルギーのブリュッセル、EU裁判所のあるルクセンブルク、欧州議会のあるフランス、アルザスのストラスブール。ストラスブールはドイツ領であったこともあるフランスの町で、ドイツ風の文化も感じさせてくれます。これらの町はEUの機関があるだけではなく、それぞれの旧市街が世界遺産に指定されています。
ゲルマン、ラテンの2つの文化の融合はつまるところヨーロッパの縮図でもあります。ヨーロッパのハートともいうべきこれらの町を周遊する旅は大変興味深い旅になると確信します。
ブルージュは必見。かつ宿泊したい
このエリアに初めて旅行するのなら、絶対に訪問したい街がベルギーのブルージュです。橋を意味するこの街はその名の通り街を縦横に流れる運河に50以上の橋がかかる美しい街です。「天井のない博物館」と称されるように、中世から時間が止まったかのような街並みは感動的です。ブルージュは首都ブリュッセルから列車で1時間ほどと、手軽に行けるのも魅力です。
でもブルージュはブリュッセルから日帰り旅行するのではなく、宿泊してください。
というのは、日中の街中は観光客でかなり混雑しているので、静かな街を味わうことができないからです。逆に朝や夕方など観光客が少ない時間帯は静かでこの街の良さを十分感じることができます。また夜間は一部の建物がライトアップされ、ロマンチックな雰囲気になるのも魅力だからです。
ワロン地方にも旅してみたい
オランダ語を話す北部のフランドル地方とフランス語を話すワロン地方からなるベルギー。短い日程では、ブリュッセルとブルージュだけを訪れるのが一般的なのかもしれません。ブリュッセルはコスモポリタンな大都市、ブルージュはフランドル地方の町。と、なるとワロン地方には行けないことになります。これではこの国の成り立ちから考えると、よく理解できるとは言い難いです。何せ政府観光局にしても、ベルギー政府観光局というものはないにも関わらず、フランドル観光局やワロン観光局は存在します。つまり1つの国でありながらまるで2つの国のように別々な動きをするのもベルギーの特徴なのです。
フランス語圏のワロン地方を訪れてみると、オランダ圏のフランドル地方とは全く別の顔を見せてくれます。キーワードは「かわいい」「やさしい」「おいしい」の3つ。かわいい町や村、やさしい人々、おいしい食事・・・。 少々交通の便が悪いですが、大観光地化していないワロン地方への旅は居心地がよいです。ベルギーでの滞在をあと1日伸ばし、ワロン地方にも行くことを提案します。
グルメな旅も行程に入れてみたい
ヨーロッパでも有数のグルメの国がベルギーです。ミシュラン星付きのトップレストランから郷土料理、B級グルメ、スィーツまで美味しいものが揃っている国なのです。フランスの食文化の影響を受け独自に発展したベルギーの食文化。実はベルギー発祥の食べ物もあります。1つはフリッツ。つまりフライドポテト。実は世界中の人々に愛されてるフライドポテトの発祥の国はベルギーなのです。もう1つはワッフル。日本でも昔から慣れ親しんでいるスィーツですよね。
私がおすすめするのは2つのプランです。古城ホテルやオーベルジュに泊まり、ワンランクアップのグルメを楽しむパターンがまず1つ。もう1つは世界で最も小さな町といわれ、絵本のような景色が続くデュルビュイを訪問するパターンです。デュルビュイは小さな町ながらグルメレストランが軒を連ねるグルメ・タウンでもあります。当たり前のベルギー旅行ではなく、あなただけのトクベツ感のある旅ができるのではと思います。