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イタリア北部、オーストリア国境付近に広がる山岳地帯・ドロミテ。ここドロミテでは、チロル風の家並みと緑の草原で放牧されている牛や馬たち、そんな絵本にでてきそうな美しい風景と切り立った山々の絶景に囲まれて過ごすことができます。同じ山岳観光地として有名なスイスと比べてまだまだ観光客が少ないため混雑知らず。しかもスイスより物価が安いため、実はハイキングスポットとして超おすすめなのです。平坦なトレイルも多いので軽装備でも楽しめるのも嬉しいですね。こちらの記事では知られざるドロミテの絶景7選をご紹介いたします!
トレ・チーメ
ドロミテ地方のシンボルと言えばこの「トレ・チーメ」。イタリア語で「3つの頂」を意味するこの巨大な岩峰は、トレチーメ展望台まで歩けば間近に見ることができます。天空を目指しそびえ立つ巨大な岩石の圧倒的な力強さには誰もが息を呑むことでしょう。厳かな雰囲気が漂うトレチーメですが、空と同化しそうなその白い岩肌からはどことなく優しさや繊細さを感じるのが不思議な魅力です。
トレチーメ観光のハイライトでもあるトレチーメ展望台までは、駐車場から片道1時間の距離。そのため本格的な装備でなくても気軽に観光ができます。もし時間に余裕があればトレチーメ1周ハイキングをおすすめします。トレチーメの周りをぐるっと回って1周4~5時間。横並びになったトレチーメや色鮮やかな草花とともにトレチーメの様々な表情を楽しめます。なお道は平坦ですが砂利道なのでハイキング用の靴をお持ちになることをお勧めします。
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チンクエットーリ
チンクエットーリはイタリア語で「5つの塔」という名のとおり5つの岩峰がそびえ立つ景勝地です。チンクエットーリの展望台へのロープウェイ乗り場はコルティナ・ダンペッツォからバスで20分程度の距離。コルティナ・ダンペッツォから日帰り観光の場所としてトレチーメと共に人気があります。標高は2366m。気軽にトレッキングを楽しむことができる上に、頂上には野外戦争博物館があり、第一次世界大戦当時の歴史を知ることができます。
チンクエットーリ一帯は第一次世界大戦中にイタリア王国とオーストリア=ハンガリー帝国の戦いの最前線でした。そのため、イタリア軍が陣地を構えた際につくられた要塞や岩をくりぬいた塹壕、飛行機を打ち落とすための機関銃座など、当時を偲ばせる戦跡が残っています。体力に余裕があればチンクエトーリ1周(約1時間)やファルツアレーゴ峠までハイキング(約3時間)するルートもおすすめです。
カレッツァ湖
イタリア北部・ボルツァーノから車で約30分。「ドロミテの宝石」と称されるカレッツァ湖は、その異名通り翡翠色のグラデーションが美しく、非常に透明度が高い湖として人気です。周囲を針葉樹に囲まれ、背後には雄大なラテマール山群(2846m)が堂々と構えています。天気がよく風が穏やかであればラテマールの山々が湖に反射し、この世のものとも思えない絶景が現れます。
そのあまりに神秘的な美しさから、伝説では魔法使いが虹を空から引きはがして湖に投げ入れたとも言われています。この物語は絵本作家・いわさきちひろの作品「にじのみずうみ」の原作としてご存知の方も多いことでしょう。カレッツァ湖の標高は1,520m、湖の周りには遊歩道が整備されているのでウォーキングに最適です。美しい山々と湖が織りなす風景が、一層爽やかな気持ちにさせてくれます。
ファルツァレーゴ峠
北のラガツォイ、南のヌヴォラーウ山群に挟まれた標高2105mのファルツァーレゴ峠。眼下には牧草地と民家がポツポツと並ぶ牧歌的な風景とそれを取り囲むようにドロミテ地方の特徴的なギザギザとした峰が見て取れます。このファルツァーレゴ峠の絶景ポイントは、ゴンドラで上がった先にある2778mの山、ラガツォイ。ゴンドラを降りると、のどかな雰囲気から一転、草木の生えていない荒涼とした風景に変わります。
ゴンドラを降りると展望台までは歩いて数分。展望台からはドロミテ最高峰であり「ドロミテの女王」とも称されるマルモラーダ(3343m)やチベッタ(3220m)、ペルモ(3169m)といった名峰を臨むことができます。ドロミテの起点となる街、コルティナ・ダンペッツォからは車で30分。アクセスもよい絶景ポイントです。
アルペ・ディ・シウジ
ドロミテの東のハイライトがトレチーメなら、ドロミテ西側のハイライトはこのアルペ・ディ・シウジです。標高は1800m前後の広大な高原で、周囲をマルモラーダはじめ、サッソ・ルンゴやサッソ・ピアッツォといった名峰が取り囲んでいます。一般車両は乗り入れ禁止。道を行くのは人の他に馬車や動物たちだけ。可憐な草花と緑の絨毯が敷き詰められたような果てしない牧草地は、「地上の楽園」と呼ぶに相応しい絶景です。
アルペ・ディ・シウジのトレイルの途中には食事ができるレストランも豊富です。レストランにはドロミテの山塊を眺めなら食事を楽しめるようにリクライニングチェアも用意されています。心地よい疲れの中、渇きを癒すビールは最高に美味しいはず。起点となる街、ボルツァーノのからもアクセスしやすいので是非訪れてみてください。
サンタ・マッダレーナ村
サンタ・マッダレーナ村はドロミテ北部、フネス谷に位置する小さな村です。その景色はドロミテの中で最も知られているかもしれません。ドロミテの絵葉書として使われた美しい村として有名になったためです。しかし山間の小さな村のため、個人では訪れるのは少し難しいでしょう。近郊のボルツァーノやインスブルックからの公共交通機関はなく、山道を越えるため車をチャーターしなければなりませんが訪れる価値は十分です。
サンタ・マッダレーナ村ではどこからもガイスラー山群を臨むことができ、その雄大で素晴らしい景色に圧倒されます。一方で南チロルの伝統的な家々や村人たちに守られてきた小さな教会など、この地方に暮らす人々の生活を垣間見ることができます。その光景は世界中の旅行者の心を掴んで離しません。
ポルドイ峠
北にはセラ山、南にはマルモラーダが構えるドロミテ街道でも最高峰の2239mに位置するポルドイ峠。ポルドイ峠からはロープウェイにのって標高2950mサッソポルドイ展望台へ。展望台からは険しく切り立った崖、草木のない荒涼とした風景が広がり、目の前にはセッラ山群の頂上ピッツボエ(3152m)がそびえ立ちます。ピッツボエまでのトレッキングは片道2時間、頂上での休憩時間を含めると往復5時間がおおよその目安です。天候が変わりやすいため、天気予報を確認し、しっかり準備した上で出発しましょう。
実はポルドイ峠はサイクリスト憧れの場所でもあります。周囲約55kmセラ山一周のコースは「セラロンダ」としても有名で、1万人近く集まる自転車レースの一部になっているのだとか。ポルドイ峠には、ここがサイクリストの聖地であることの証明に、自転車レース王者のファウスト・コッピの銅像が建てられています。