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黒海に面し、日本の約5分の1の国土のジョージア(旧グルジア)は、古くからアジアとヨーロッパの十字路として栄えてきました。世界で2番目にキリスト教を国教としたとされ、各地に歴史ある聖堂や修道院が現存しています。
首都トビリシを歩けば、この街独特の雰囲気が感じられることでしょう。それはこの街にアゼルバイジャン系、アルメニア系、ロシア系など多くの民族・宗教が共存しているからに他なりません。国際的な中にも自由な雰囲気があり、どことなくのんびりとした街、トビリシ。歴史的建造物はもちろん、美しいコーカサス山脈の絶景や、日本人の口に合うジョージア料理、安くて上質なワインなど様々な魅力を持ったトビリシと近郊の魅力をお伝えします。
正式名称 | ジョージア |
首都 | トビリシ |
面積 | 6万9,700平方キロメートル(日本の約5分の1) |
人口 | 約400万人 |
言葉 | 公用語はジョージア語 |
宗教 | ジョージア正教(キリスト教) |
通貨 | ラリ |
時差 | 日本との時差は-5時間(日本が正午のとき、ジョージアは7:00) |
エリア | ジョージアの東部、クラ川の河畔に広がる。三方を山や小高い丘に囲まれている |
行き方 | 日本からの直行便は無く、カタール航空利用でドーハ乗継又はターキッシュエアライン利用でイスタンブール乗り継ぎが便利 (所要時間16時間) |
見所いっぱいの首都、トビリシ その①
なんと5世紀からジョージアの首都であるトビリシは、かつてマルコポーロが「絵のように美しい」と称えた当時の雰囲気を残した街です。コーカサス地方の中でも規模が大きなこの町には、ジョージア正教の教会やロシア正教、モスク、シナゴーグがあり、確かにこの街が多民族国家であることを感じさせてくれます。そんなトビリシの見所を紹介します。まずはロープウェイでナリカラ要塞に登って、トビリシのパノラマをご覧ください!トビリシの旧市街から、近代的な建築物までが一望です。
エリア | トビリシを見渡すナリカラ丘にある古代の要塞。クラ川の畔に位置 |
行き方 | トビリシ市内地下鉄のアヴァラバリ駅からメテヒ橋を渡り徒歩20分程度。 また、町の中心にあるライク公園からロープーウェイでナリカラ要塞のあるナリカラ丘の頂上まで移動できる。 |
徒歩で要塞を下っていくと、なんとそこは温泉街!温泉といってもトルコ式ハマムです。もともとトビリシという名前は温かい場所を意味するそうで、街中に温泉があるのも納得ですね。このハマムは7世紀頃に建てられたイスラム式のお風呂です。せっかくなのでローカルの公衆浴場を楽しんでみてはいかがでしょうか。温泉街からしばらく歩くと、この街の雰囲気とは一風変わった橋が見えてきます。これは平和橋と言われる、イタリア人建築家によって建てられた近代的な橋です。建築前には街の景観にそぐわないといった反対意見もあったようですが、今ではトビリシの人気スポットとしていつも人で賑わっています。橋のもっと奥に見える巨大なチューブのような形をした建物、これは音楽ホールです。完成後一度も使われていないという訳の分からない建物ですが、奇抜なデザインに目を奪われてしまいますね。
エリア | トビリシ旧市街、町中を通るムトゥクヴァリ川を挟んだメテヒ教会対岸 |
見所いっぱいの首都、トビリシ その②
平和橋を渡りきったら、小高い丘の上にあるメテヒ教会を目指します。メテヒ教会は5世紀に建てられました。何度か修復がされていますが、ほぼ当時のままだそうです。19世紀には牢獄としても使用され、ロシアの作家ゴーリキーも幽閉されていたといいます。メテヒ教会のすぐ近くにあるのは、6世紀に創建され、2003年までジョージア正教の総本山でもあったシオニ大聖堂です。ここには4世紀にジョージアにキリスト教をもたらしたとされる聖ニノの十字架が祀られています。
エリア | トビリシの旧市街の向かい、断崖上にある教会 |
エリア | トビリシ旧市街のシオニ通りにある教会 |
トビリシ旧市街の中でも、ひと際存在感を放っている教会があります。それが2004年に創建されたツミンダ・サメバ大聖堂で、シオニ大聖堂に代わって新たにジョージア正教の総本山となりました。さすが、堂々たる雰囲気に圧倒されてしまいます。買い物や街ブラを楽しみたいのであれば、自由広場から革命広場までのルスタヴェリ大通りを散策してみましょう。18~19世紀に建てられた重厚感のある建物や、露天の土産物屋さんが並び、とっても賑やかです。観光の合間に、旧ソ連時代に作られたメトロに乗ってみるのもまた、トビリシの楽しみ方の一つです。
エリア | トビリシの旧市街、アヴラバリ地区 |
行き方 | トビリシ市内地下鉄のアヴァラバリ駅から徒歩12分 |
HP | https://tbilisilocalguide.com/tbilisi/holy-trinity-cathedral-of-tbilisi/ |
かつてのジョージアの首都、ムツヘタ
エリア | ムツヘタ=ムティアネティ州の古都。首都トビリシから北西に20km。クラ川とアラグヴィ川の合流地点の近くに町が広がる |
行き方 | トビリシより車で約20分 |
HP | https://whc.unesco.org/en/list/708/ |
トビリシから北へ20キロ進んだところにあるムツヘタ。2つの河川が合流する地点に栄えた町で、紀元前4世紀から紀元後5世紀頃までイベリア王国(現在のジョージア東部)の首都でした。ジョージアにキリスト教をもたらした伝道師、聖ニノが布教活動を始めた場所でもあり、ジョージア人の信仰にとって大変重要な場所です。首都がトビリシに移ったと同時に町の規模は小さくなっていきましたが、ムツヘタの町と周辺3つの教会は、1994年にジョージア初の世界遺産として登録されました。
3つの教会の一つ、ジュヴァリ聖堂は町から離れた丘の上にあります。十字架の意味をもつ“ジュヴァリ”聖堂は6世紀に建てられました。敷地からはかわいらしいムツヘタの町並みが一望できます。町の中に大きな教会が見えますが、これが、ジョージア最古と言われるスヴェッティ・ツホヴェリ大聖堂です。ほかのジョージア正教の特徴と同じく、大変シンプルな教会ですが、不思議と重厚感があります。ヨーロッパの教会にみられるような煌びやかさこそないものの、優しい色彩のフレスコ画が人々の心を癒すように仄明るく輝いて見えるのです。
軍用道路のパノラマドライブを楽しみながら、十字架峠へ
ジョージアの歴史を知る教会巡りもいいけれど、広大な風景に出会える軍用道路のドライブは絶対に外してほしくありません。軍用道路とは、トビリシからロシアのウラジカフカスをつなぐ約200㎞のハイウェイです。天候に恵まれればコーカサスの名峰、5,047mカズベキ山も見えるパノラマドライブが楽しめます。ムツヘタから30分ほど走ると湖畔に立った教会と城壁が見えてきます。これは17世紀に建てられたアナヌリ教会です。湖と周りの自然に溶け込んで、まるでRPGの世界のようですね。
エリア | トビリシから北に72キロ、ジンバリ湖の西岸 |
行き方 | トビリシより車で約40分 |
スキーリゾートとして有名なグダウリを過ぎ、ロシア・ジョージア2国の友好のモニュメントを超えると、いよいよ軍用道路の最高地点(標高2,395m)の十字架峠です。目に焼き付けたくなるほどの、荒々しくも美しい大コーカサスの絶景です。この峠はジョージア側の最後の町、カズベキへと続いています。軍用道路のベストシーズンは5月から10月頃。ドライブ中に3000頭を超える羊の群れに遭遇して車が数分立ち往生する、なんていうことも夏場にはよくあるハプニングだそうです。
カズベキと限りなく天国に近い!ツミンダ・サメバ教会
十字架峠を越え、軍用道路をさらに進むとロシアとの国境の町、カズベキに到着します。すぐ10㎞先はロシアとなるこの小さな村は、ジョージアで2番目に高いカズベキ山(5,047m)をはじめとした、大コーカサスの山々に取り囲まれています。風光明媚なこの村には多くのトレッカーや観光客が集まりますが、もう一つの見所は、ツミンダ・サメバ教会(ゲルゲッティ三位一体教会)です。ここから4WDに乗り換え、山頂にちょこんと佇むツミンダ・サメバ教会を目指します。
標高2170mに聳え立つ教会は「限りなく天国に近い教会」と評され、イギリス・テレグラフ誌の世界で最も美しい教会ベスト23(2017年)にも選出されています。せっかくの大コーカサス山脈の村までやってきたのだから、ということで、4WDではなく徒歩で教会まで登山することも可能です。片道2時間のトレッキングコースに挑戦してみてはいかがでしょうか?
エリア | トビリシから北へ160キロ、ジョージア北部のムツヘタ・ムティアーネティ地方にある町 |
行き方 | トビリシより車で約4時間 |
その他 | 冬季は路面凍結の為、十字架峠、カズベキまで行けないことがあります。 |
ワインカントリー、カヘティ地方へ
実は、ワイン発祥の地ともいわれるジョージア。カヘティ地方では古くからワインを作り、その数500種という豊富さからワインの名産地として知られています。大きなツボを地中に埋めて何年も寝かせるという独特な熟成方法が特徴的で、車で3時間離れた首都トビリシからわざわざここのワイナリーを訪れて直接ワインを買っていく人も多いそうです。
またワイナリーだけではなく、カヘティ地方の各家庭では必ずと言っていいほど自家製のワインを作っているそうです。フレンドリーな地元の人々の温かいおもてなしを受けながら、特別なワインで乾杯し、美味しい家庭料理を味わう体験は一生の思い出となる事でしょう・・・。
18世紀の城壁に囲まれた、小村シグナギ
トビリシから東へ約100キロ。城壁で囲まれた、ジョージア語で「隠れ家」という意味を持つ小さな村、シグナギ。ここはオレンジワインの産地で、石畳が続く旧市街がとてもかわいらしく、近年観光客を集めています。18世紀に造られた城壁の長さは約4.5キロ、23の塔が立っています。一部の塔は登る事が可能で、頂上からはオレンジ色のレンガ屋根の可愛い村が一望できます。
旧市街にはこの村名産のフェルトを使ったかわいいお土産や、名産のワイン、ジョージア名物のチュルチュヘラ(スパイス類やナッツをぶどう汁で固めた棒状の飴菓子)を売るお店が並んでいます。旧市街は坂道が多いので、カフェで一息つくのもいいですね。レトロでかわいい町並みのほか、シグナギにきて見逃せないのは、丘の上に立つシグナギ博物館です。ここにはジョージアを代表する画家、ピロスマニの作品が15点展示されています。トビリシからの1DAYトリップにもピッタリな村なのです。
エリア | ジョージア州のカヘティの最東端にある町であり、シグナギ市の行政の中心地。ジョージア州で最も小さい町の1つ |
行き方 | トビリシから車で約1時間45分 |
まとめ
ジョージアは近年にんにく料理の「シュクメルリ」で国の名前は知られるようになりましたが、ガイドブックの情報も少なく、まだ日本でも多くは知られていません。でも情報が少ない中で訪問して観光をした時の感動は、なににも代えがたい旅のだいごみの1つです。まだ知られていないジョージアを先取り訪問してみてください。
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