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エジプトの西の果て、まさに辺境中の辺境、砂漠の中のシワオアシス。死海のような浮遊体験ができる、エメラルドグリーンの美しい塩湖。旧市街へ足を運べば、泥レンガの廃墟がエキゾチックなシャーリー。見渡す風景は、塩湖とナツメヤシの林、広大な砂丘が広がる砂漠を4WDで駆け抜ける砂漠サファリはダイナミックで迫力満点。
こんなインパクトのある見どころが凝縮した場所がエジプトにあったなんて・・・。エジプトに何度も行った私も、その意外性にびっくり。誰しもが驚き魅了されるのがこのシワオアシスなのです。
世にも美しいエメラルドの塩湖での浮遊体験
シワオアシス最大の魅力はこの塩湖にあると言っても過言ではありません。塩湖は塩分濃度が濃い湖です。濃度が高いため、湖に入ると身体が自然にぷかぷか浮くのです。この浮遊体験はヨルダンの死海でも体験できますが、ここシワオアシスの塩湖は一味違います。
あちこち周遊すると、大小いろんな塩湖が点在しています。その色もまちまちで、濃い色の水の塩湖や淡いブルーの塩湖、そして行き着いたのがエメラルドグリーンの塩湖です。まさにモルジブやタヒチの海のような色。
その水の色がとても透明で美しいエメラルドグリーンで、結晶化した塩がまわりを縁取って独特の絵になる風景をつくり出しているのです。まさに夢のような光景はここだけのもの。死海とは全く異なっています。
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シワオアシスで一番の思い出はこの浮遊体験でした!
イスラム教の国なので肌を露出しない方がいいので、水着の上にTシャツを着て水の中へ。
まずは浅瀬で恐る恐る入ってみます。なんと身体がプカリと浮きます。ガイドさんは絶対目をこすったりしないでくださいよ、炎症起こしますからと注意してくれます。それほど塩分が強力なのです。顔を浸けたりバシャバシャ泳ごうとしたりももってのほか。とにかく静かに浮かぶのみ。顔に水がかからないように、後頭部を水に浸けて浮かぶとのんびりリラックスできました。
独特の水の感触を味わってぷかぷか浮かぶ体験は貴重なひと時。でも10月でも照り付ける日差しが強くて、日焼けするので要注意。切り傷が少しあった指が少し傷んだけれど、塩の効果でバクテリアはすべて死滅するとかで、体の浄化効果は大だそうです。
塩湖から上がったら、ガイドさんとドライバーさんが大きなペットボトルに真水を入れて頭や背中に何度もかけて塩分を流してくれました。
冬は寒くて入れませんが、眺めているだけでも心が癒されるでしょう。塩湖の周りでは製塩所があって塩を作っている光景を見ることができます。
泥レンガの旧市街シャーリーはエキゾチックな遺跡
シワオアシスを語るとき欠かせない存在が砂漠のオアシスの中にある遺跡群です。その筆頭に挙げられるのが泥レンガの旧市街シャーリー。頂上に登れば塩湖やナツメヤシの林が広がる風景の中で、泥色の廃墟がそのインパクトのある光景を見せています。ナツメヤシの濃い緑の海とその泥色の対比が面白いのです。
800年ほどの歴史を持つこの地は今は廃墟です。ここが世界遺産ではないことが不思議なほどの感動の風景ですが、やはり古代の遺跡が多いエジプトでは、ここの歴史が新しいため世界遺産に選ばれないのかも。
でもそこで撮った写真は、もっともオアシスらしい風景としてインパクトがある1枚となりました。
アレキサンダー大王も訪れたという古代エジプトのアムン神殿
かたや古いものとして存在するアムン神殿。ORACLE TEMPLEとも呼ばれています。
古代エジプト末期王朝時代に建てられた神託の神殿は、紀元前331年にアレキサンダー大王も訪れた歴史があります。
石灰色の薄茶色で造られた古びた建物が、青空と織り成すコントラストが絵になるのです。かなり古いため、造形的には崩れてしまっている部分も多いのですが、遠くに塩湖とナツメヤシの林が海のように広がっている光景が一望のもと。はるばる辺境を訪れたという感慨に浸れるはずです。
カバル・イル・マウター(死者の山)
遠くから眺めると土を固めた小山のよう。近づいて見ると、ここは墓地でした。だから「死者の山」と呼ばれているのです。
洞窟状に掘られた墓地が並んでいます。でも今は中にあった棺桶はなくなっているとか。確かにただの空洞になっています。
恐る恐る中に入ってみると、そこには古い壁画が数多く残されていて貴重なものとなっています。第2次世界大戦中、イタリア軍がシワのエリアを空爆した際にここは防空壕として使用され、壊されたとか。
他の国にあれば、一大観光地になるかもしれない遺跡のレベル<でも、ここエジプトにあるので隠れた存在にしかならないようです。
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クレオパトラの泉に期待を持って訪れたものの・・・
シワオアシスは鉱泉があることでも知られています。あちこちで湧き出している鉱泉は、地元の人々が入浴に使ったり、集まってきて交流を楽しむ場所ともなっているのです。
中でも知られているのがクレオパトラの泉。その名前に期待して、塩湖の浮遊体験の後で、塩を流すのと鉱泉浴にいいかと思って訪れてみました。
ここは自然の塩湖とは全く異なり、人工的な小さな露天風呂のような泉でした。色も薄黒くて見た目がきれいそうではないのです。泉の周りには人々が集まっていて、飛び込んで遊んでいるのは地元の若者や子供たち7~8名のみでした。
ここで鉱泉浴をゆっくり楽しもうという気分には到底なれない、期待外れのスポットでした。
エジプトにもあった!!本格的砂漠サファリの楽しみ
60km向こうはリビア国境。エジプトの西の果てには想像もしていなかった素晴らしい砂漠が存在していました。
思い込んでいた砂漠のイメージが180度覆ってしまったのです。砂丘のラインも美しい本格的な砂漠なのです。その砂漠を4WDで全速力で走り、タイヤの空気を抜いて滑り落ちる、迫力満点の砂漠サファリのアクティビティ。
16:00ホテル出発。念のためポリスの同行を頼まないといけないそうで、許可を得に行きます。その際にはパスポートが必要です。
もう1か所では郡の許可を得ることも必要で、少し時間がかかります。助手席にはポリスがガードマンとして同乗してくれました。やはりまだまだ慎重になる必要があるエリアなのかも。すぐ向こうはリビアの国境だし。
砂漠の真っただ中で迎えるサンセットタイムのお楽しみ
走る時間も長くて、サンセットタイムに向けて数か所でフォトストップです。全速力で砂丘の淵を走り切ったり、砂丘を滑り落ちたり、大迫力のドライブが続きます。私たちはキャーキャーと歓声を上げるのみ。楽しいひと時です。
ドバイの砂漠サファリなどと違って、ここにはほかの車もほとんど走っていないので、砂漠を独占した気分に浸れます。
最後は夕日の時間、大きなアラビアの絨毯を砂丘の上に敷いて、焚火をおこしてそのお湯で紅茶を淹れて、フルーツ、お菓子をふるまってくれます。
夕日に染まる砂漠は感動的な美しさ。赤い砂丘の上に自分たちの影が細長く映る景色は、不思議で、思い出のワンシーンとなりました。
シワオアシスでの滞在は鉱泉の露天風呂付ユニークホテル
シワオアシスで私が泊まったのは、ADAR AZWAR RESORT 。シワオアシスの旧市街にある建物みたいに、泥レンガと漆喰で造られ、広い中庭には鉱泉のプールがあります。いわば露天風呂。中庭にあるユニークなデザインの塔に上ればレストランになっていたり、ちょっと面白い設計です。
ベッドサイドには、塩湖の畔で採れる名産の塩の塊がジャリ状に敷き詰めてあります。下からライトを当てて、透明で神秘的な塩の結晶のインテリアも面白いものです。
でもシャワールームがなぜか安宿風。トイレの便座にシャワーのお湯がかかる位置にあって、かなり不便な構造です。タオルは1枚だけ。アメニティも石鹸だけしかないので、自分でタオルやリンスインシャンプーなどを持参する必要があります。辺境の地のホテルだから、まあこんなもんでしょう。
電源はしっかりあって、停電などはしなかったので安心です。
世にもユニークな満天の星を眺める鉱泉釜風呂付きの部屋
私の泊まった105号室は、全34室あるうち唯一中庭に温泉露天風呂が付いている部屋でした。広い庭にある巨大な釜のようなお風呂で、鉱泉のお湯をジャバジャバ溜めて入ります。
巨大なお風呂なのでずっと出しっぱなしにしていました。
とっても深いので、最初は底の方にしか溜まらず、階段を下りて入ると釜の底に沈んだ状態です。夜に入って上を見上げたら、なんと夜空には満天の星が煌めいていたのです。
地獄の釜の底から極楽の星空を眺める、ユニークで不思議な気分。
2日目の夜、見ると鉱泉が釜のお風呂の上まで溜まっていました。昨日は栓が抜けていたのか、底の方にしか溜まらなかったようです。
昨日は少し熱すぎるお湯でしたが、2日目は夜に入ると、たっぷりの立ち湯のようで、お湯の温度もちょうどよくて心地よいお風呂でした。極楽極楽!
エジプトの辺境の地に来て、こんな露天風呂の立ち湯が楽しめるとは、全く予想もしていなかった私です。
エジプトで秘境を目指すならシワオアシス
いかがでしょうか?古代エジプトの遺跡のイメージが当たり前のエジプト旅行。ですが・・・・
浮遊体験のできる美しい塩湖、泥レンガの旧市街の遺跡、本格的な砂漠サファリ。そんな魅力たっぷりのシワオアシス。
エジプトにこんな見どころがあったとは!エジプト5回目にして初めて知った私ですが、まさにエジプト再発見の旅でした。エジプトは行ったことがあるというあなたも、次回の旅先にこんなユニークなエリアを選んでみてはいかがでしょうか?