アメリカ旅行の達人ツーリストが選ぶアメリカ国立公園ベスト１０

日本のおよそ25倍もの面積を持つ広大な国・アメリカ。そのアメリカの国立公園の数は何と59カ所、国立公園局が管理するエリアも含めるとその数417カ所にも及びます。その「国立公園」という概念を世界で初めて提唱したのもアメリカなのです。そんな「国立公園」発祥の地であるアメリカのベスト10をお届けします。アメリカの国立公園を訪れると、誰もがその大自然の美しさに圧倒されるとともに、これらの景観をいかにして守っていくか環境保護について考えさせられるはずです。

サファリと絶景が楽しめる西部3州に跨る世界遺産の国立公園

イエローストーン国立公園を抜きにしてアメリカ、いや世界の国立公園は語れません。1872年世界初の国立公園となったイエローストーン。それまでの自然保護と違い画期的だったのが「人の手を加えないで保存」することを法律で定め、それを実践している点。例えば自然に発生した山火事に対して消火活動は行いません。山火事も自然のサイクルの一つとしてとらえているのです。

イエローストーンの主役はあるがままの豊かな自然とそこに住む野生動物たち。観光客は単なる訪問者に過ぎず、我々はたゆまぬ自然の営みを壊さぬようにこのイエローストーンの美しい景観と豊かな動植物・生態系を守っていかなくてはならいのです。イエローストーンの広さは約9000㎢。日本の国土でいうと鹿児島とほぼ同じくらいの広さ。そのため観光で訪れる際には効率的なまわり方が重要です。

気分は西部開拓時代！アメリカの原風景

アメリカを代表する絶景といっても過言ではない、モニュメントバレー。ユタ州とアリゾナ州の州境にある、ナバホ族居留地にあるエリアで、メサと呼ばれるテーブル形の岩山やそそり立つビュート（残丘）があたかもモニュメント（記念碑）のように点在している光景からモニュメントバレーと名付けられました。

元来ナバホ族の聖地であり、現在はナバホ族管轄のもと一般に開放する形で公開されています。できれば早朝の日の出のタイミングで訪れることをおすすめします。ビュートの背後から上る太陽が徐々に赤茶けた大地を照らし、まるで長い沈黙から解き放たれたように地平線をオレンジ色に染める様子は息をのむ美しさです。

四季折々の表情を見せるヨセミテ国立公園

アメリカの国立公園の中でも一、二を争う人気なのが、ヨセミテ国立公園です。シエラネバダ山脈の西山麓に広がっているこの公園には年間350万人もの観光客が訪れますが、足を踏み入れる面積は全体の1％にも満たないといわれるほど広大な渓谷です。

公園内には手つかずの自然が数多く残り、豊かな生態系が形成されています4000m級の山々、1000m超の絶壁、巨大な滝、澄み渡った水辺、深い森林などヴァリエーションに富んだ高低差のあるダイナミックな眺望は訪れる時期によって表情を変えていきます。春は雪解け水が滝となり、夏は花々が咲き乱れ、秋は紅葉が色づき、冬は雪化粧。ヨセミテはいつ訪れても新しい驚きと発見を与えてくれるはずです。

20億年もの歴史が創り出した大地の彫刻

世界で最も有名な大渓谷、グランドキャニオン。ラスベガスよりセスナ、バス、列車などを利用しアクセスの良いことからも観光客からも人気が高い国立公園です。その規模はなんと東西446km、東京から琵琶湖までの距離に相当する長さ。広大な大地が7000万年前の地殻変動によって隆起し、4000万年前から侵食・風化を繰り返して現在の姿へ。

最深部の地層は20億年前の地層ともいわれており、まさに地球の歴史そのものです。1日のうちでも表情を変える複雑に入り組んだ峡谷の姿は、光と影が織りなす悠久の造形美として必見です。もしグランドキャニオン園内で時間をゆっくり取れるならグランドキャニオンの渓谷の中に入っていくブライト・エンジェル・トレイルのトレッキングもおすすめです。

「ザ・ウェーブ」神秘的な大地の芸術で知られる秘境

1日に入れるのはたった20人限定という、秘境中の秘境「ザ・ウェーブ」。ザ・ウェーブは1億9000万年前のジュラ紀に形成されたナバホ砂岩の地層が、雨と風によって長い年月をかけて浸食されたことにより創り上げられた地形です。まるで押し寄せる波のようなU字型の造形と縞模様の地表の織りなす光景は、まさに大地の芸術といえる美しさです。

「抽選に参加するのは難しいけれどウェーブのような大自然をこの目で見てみたい！」という方も多いはず。そんな方に朗報です。実は同じ公園内に唯一無二の絶景に出会える場所があります。それがホワイトポケットです。決して素人では行けないので、土地を知り尽くしたガイド同行が必須条件となりますが、訪れる人がまだまだ少ないため雄大な絶景を独り占めできる可能性が高いのです。

園内に約2000ものアーチが点在する、まさに天然の巨大美術館

わずか東京23区の半分程度の面積（309 km²）に約2000を超えるアーチ型の巨岩が点在しているアーチーズ国立公園。その独創的な地形から「インディ・ジョーンズ」の映画のロケ地にも使われました。アーチーズ国立公園の芸術的な景観が生まれた要因は「塩」だといわれています。海水の沈殿と蒸発が繰り返され、砂と塩分が幾重にも堆積し、その岩砂の重みにより、岩塩層は、移動と液化を繰り返し、結果として地層を突き破り地表へ現れたそうです。

長年にわたる風と雨の浸食により、天然のアーチを形成し、極めてユニークな景観を創り出しています。アーチの中でも最高傑作といわれているのはデリケート・アーチ。最寄りの駐車場から約1時間のトレイルを超える必要がありますが、その分デリケート・アーチにたどり着いた時の感動はひとしおです。

遥かなるロッキー山脈に抱かれた風光明媚な景観美

1953年に公開されたアメリカ映画「シェーン」。西部開拓時代の原風景を描いたこの映画の舞台となったのがこのグランドティートン国立公園です。イエローストーン国立公園の出口から30分ほど車で南に進んだ、ロッキー山脈の一部のティートン山脈の麓に広がる長野県ほどの大きさの国立公園です。

底知れない地球のパワーを感じるイエローストーンとは全く対称的に、グランドティートンは山・森・湖の見事に調和した、見る者を優しく包み込むような雄大な景観が広がっています。標高差2000mのティートン山脈が目の前に立ちはだかる大パノラマは忘れられないほど魅力的です。

圧倒的な迫力で見る者を魅了する岩の尖塔群

ユタ州の標高2400m～2700mに位置するブライスキャニオン国立公園。他の国立公園が大体砂岩でできているのに対し、ここは泥が固まってできたもの。細長く突き出したフィンと呼ばれる崖がさらに削られてフードゥーと呼ばれる岩の尖塔群となった大自然の造形です。寒さによってこのような樹林の形状が生まれたと言います。

この姿が最も美しく輝いて見えるのは朝陽の時。サンライズポイントから眺める光景は、1本1本のフィンがオレンジ色に染まってくっきりと浮かび上がり、まさに絶景です。ナバホループトレイルなどのトレイルに沿って谷底へ下りて行くと、ユニークなフィンの姿にもっと迫ることができてイチ押しです。

自然が創り出した神秘なる宮殿

カールスバッド洞穴群国立公園はニューメキシコ州グアダルーペ山脈、標高1343mに位置する地下489m（全米最深）、全長223ｋｍにも及ぶ世界最大級の鍾乳洞群です。合計83もの洞窟から形成されており、いまだ調査は続行中です。馬蹄形に広がったこの鍾乳洞は「メインコリドー」「シーニックルーム」「ビッグルーム」の3つのエリアに分かれています。

特に「ビッグルーム」は天井の高さなんと80m！フットボール場6つ分という全米最大の大きさの地下空間にシャンデリアのような美しく繊細な鍾乳石から円柱のようなダイナミックな石筍が広がり、人間では作りえない自然の芸術性の高さに誰もが息をのむことでしょう。また夏には洞窟に住むコウモリたちが餌を求めて一斉に洞窟から飛翔する光景が見られるのもこの国立公園の目玉の一つです。その数なんと40万匹。そのあまりの数に誰もが圧倒されるはずです！

美しい風紋を持つ奇跡の白い砂漠

ニューメキシコ州トゥラロサ盆地に忽然と現れる白い砂漠、ホワイトサンズ。その大きさは約581ヘクタール、東京都の約4分の1にも及びます。白い砂漠の正体は石膏。通常、石膏は水溶性のため川や海に流れてしまいますが、周囲に川や海がないため鉱物はこの盆地にとどまり、長い年月をかけて風化・浸食され、世にも珍しい真っ白な砂漠を形成するに至りました。

車で砂漠のそばまで行けるので、手軽にフォトジェニックな風景を写真におさめることができます。砂は柔らかく素足でも歩けるためソリ遊びの場所としても子供連れの家族にも大人気です。ホワイトサンズで鑑賞する夕陽もまた格別です。6～8月の日中は40℃近くまで気温が上昇するので、サングラスに帽子、日焼け止め、水分補給のための水筒は忘れずにお持ちください。

まとめ

いかがでしたか？アメリカの国立公園は国内外を問わず観光客の間で非常に人気が高いです。国立公園保全協会によれば、海外からの観光客の5人に1人がアメリカ滞在中に一度は国立公園を訪れるそうです。

日本人観光客の方もグランドキャニオン、モニュメントバレー、ヨセミテを目的にアメリカ旅行へ行かれる方が多いです。
手つかずのアメリカの多様な風景は、旅行好きなら何度でも訪れたいものです。