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日本から遠く、南米諸国と比べても情報が少ない中米。極上のビーチリゾート「コーン諸島」やコパン、ホヤデセレンなどのマヤ文明の遺跡群、「星の王子様」に登場するイダルゴ火山、グラナダなどのインスタ映えするカラフルな街並み。更に世界の海上交易の重要ハブ「パナマ運河」など、実は欧米人に人気の世界遺産や観光地が数多くあります。本稿ではそんな中米の中でも存在感が薄い国ニカラグア・ホンジュラス・エルサルバドル・パナマの知られざる魅力についてご紹介します。
植民地時代の町並みが残る古都グラナダ(ニカラグア)
グラナダは中米最大の湖であるニカラグア湖に面した湖畔の町。1524年にスペイン人のフランシスコ・エルナンデス・デ・コルドバによって現在のニカラグア領内で最初に建設されました。グラナダの人口はおよそ11万人で、ニカラグアの中では4番目に大きな都市です。
ニカラグアの古都として知られており、観光客にも人気があります。現在でも伝統を重視した生活を営む人が多く、町全体にもどことなく落ち着いた雰囲気が漂っています。カラフルな建物や教会、町には観光用の馬車が走り、タイムスリップしたような気分が味わえます。
エリア | ニカラグア共和国南西部グラナダ県 |
観光スポット | カテドラル、コロン公園、ラ・メルセー教会、グラナダ中央市場等 |
アクセス | 首都マナグアから車で1時間から1時間半 |
レオン・ビエホ遺跡群とレオン大聖堂(ニカラグア)
スペイン植民地時代の1524年に建設されたレオン・ビエホ遺跡群は、南アメリカ大陸で最初につくられた植民地の一つで、後の植民地の町作りの手本になったとも言われています。1960年代以降の発掘調査により、植民地時代に建てられたサンタ・マリア・デ・ラ・グラシア大聖堂や、ラ・マルセド教会、修道院や軍事施設など17の建築物がみつかっており、2000年には世界遺産にも登録されました。
エリア | ニカラグア第二の都市レオンの郊外(東方32km) |
オープン時間 | 9:00~17:00(ただし日曜日は09:00~16:00) |
入場料 | 5米ドル(773円) |
アクセス | レオンから車で約1時間、バスは本数が少ないため、ツアーで行くのがオススメ |
備考 | 世界文化遺産(2000) |
世界遺産に登録されているのは、旧市街のレオン・ビエホ遺跡なのですが、レオンの町もおすすめです。レオン・ビエホが噴火や地震などで放棄された後、17世紀初頭につくられた町で、現在もスペイン植民地時代の建物が残っています。中でも中米最大のカテドラル「レオン大聖堂」はレオン・ビエホ遺跡群に次いで世界遺産に登録されており必見です。
エリア | ニカラグアのレオン県の県都レオンの新市街 |
住所 | Calle Rubén Darìo, Av. Central Nte., León, ニカラグア |
オープン時間 | 毎日:月~土:08:00~12:00、日:14:00~16:00 |
入場料 | 2米ドル(309円) |
アクセス | 首都マナグアより車で約1時間半 |
備考 | 世界遺産(2011) |
濛々とガスを噴出するマサヤ火山(ニカラグア)
マサヤ火山国立公園にあるマサヤ火山は一帯で最も活発な活火山です。スペイン人が最初に文献に記した1524年以降、少なくとも19回噴火が確認されています。最新の噴火は2003年のもので、その際は上空4600mまで噴煙が上がったというから驚きです。常に活動を続けているこの山は定期的に噴火を繰り返し、溶岩を噴出する代わりに絶え間なく濛々とガスを噴出しているのです。
先住民の時代、この噴火口は「地獄の口」と言われ、その怒りを鎮めるために子供や処女を生贄として噴火口に投げ込む宗教儀式をやっていたそうです。その後スペイン人の入植者がやって来て、悪魔を封じ込めるためにこの場所に十字架を建てました。この火口へは車を降りてすぐ行くことができるので、ニカラグアを訪れた際は是非足を運んでみてはいかがでしょうか。
エリア | 首都マナグアから南東約30kmにあるマサヤ国立公園内 |
入場料 | 日中:100コルドバ、夕方:10米ドル(1,545円) |
オープン時間 | 毎日09:00~16:30、17:30~19:30 |
アクセス | 首都マナグアから車で約30分 |
カリブの楽園「コーン・アイランド」
コーン諸島(コーン・アイランド)は、ニカラグアの首都マナグアから飛行機で約1時間半のカリブ海沖にあるリゾートアイランドです。エメラルドグリーンの美しい海に浮かぶ珊瑚礁の島で、ビッグコーン島とリトルコーン島という大小2つの島からなっています。コーン島での移動手段は徒歩か自転車で、バイクや車は走っていません。ふたつの島を専用ボートで行き来しながら、極上のプライベートアイランドを満喫できます。
リゾートホテルやレストランがある賑やかなビッグコーン島では、綺麗な海を見ながらのんびりリゾートライフを。手付かずの自然が残るリトルコーン島では、スキューバダイビングやクルージングなどのマリンアクティビティを楽しむことができます。コーン諸島から見るカリブ海は非常に美しく、どこまでも続く青い海に息を飲むこと間違いなしです。カヌーに乗りながら夕日を眺めるのもロマンチックな気分になれてオススメです。
正式名称 | イスラス‐デル‐マイズ(マイズ諸島) |
エリア | ニカラグア本土から東方約70km。ビッグコーン島とリトルコーン島からなる。 |
アクセス | 首都マナグアからビックコーン島までは飛行機で約1時間。フライトは1日3便のみ。 リトルコーン島へはビックコーン島から船で約40分(空港から船着き場ばタクシーで移動) |
備考 | 年末年始は特に混みあうため早めの予約がおすすめ。 |
世界の十字路 パナマ運河(パナマ)
パナマ運河は太平洋と大西洋を結ぶ全長約80キロの水路です。水路と言っても海面と同じ高さが続く水路式の運河ではなく、閘門(こうもん)と呼ばれる水門で水位を上下させながら船を行き来させる閘門式の運河なのです。
パナマ運河には3つの閘門がありますが、そのうち最もパナマシティに近いのが、ミラフローレス閘門です。多くの観光客が訪れるミラフローレス閘門にはビジターセンターがあり、テラスから船が閘門を通過する様子を見学できるようになっています。ビジターセンター内には博物館もあり、パナマ運河の仕組みや運河開通までの歴史が学べるようになっています。パナマに行くなら必見のスポットなのです。
エリア | パナマ共和国中部 |
営業日 | 毎日 |
営業時間 | 9時~16時半 |
入場料 | 20米ドル(3,091円) |
アクセス | パナマ運河のミラフローレスビジターセンターまでは、パナマシティの交通の要所であるアルブルック・バスターミナルから、 バスかタクシーで約30分 |
備考 | ミラフローレス閘門を船が通過する時間は概ね9時~11時頃と14時~16時頃 |
カリブ海の隠れ家リゾート・サンブラス諸島(パナマ)
カリブ海沖の365もの島々からなるサンブラス諸島は世界的に大変ユニークな存在です。まずそのアクセスが魅力的。太平洋に面したパナマシティからたった2時間でカリブ海へ。太平洋とカリブ海にはさまれたパナマだからこそ、陸路であっという間に到着出来てしまうのです。
色とりどりのサンゴ礁と可愛らしい魚たちが魅力のカリブ海。そんな美しい海に浮かぶ島々は、実はパナマの先住民族・クナ族の自治区となっているのです。そのためリゾート開発からまぬがれた手つかずの自然が多く残っており、真にリラックスしたひとときを過ごせる場所となっています。是非アイランドホッピングで美しい島々を巡りながら、クナ族の独自の文化や暮らしに触れてみましょう。
エリア | パナマ北東部のカリブ海沿岸 |
入島税 | 20米ドル(3,091円)、桟橋使用料2米ドル(309円) |
アクセス | 飛行機でポルベニール島まで約20分又はボートで約1時間。他の島へは船移動 |
備考 | 利便性を考えると、ポルベニール島近郊のナルナガ島に滞在し、船で周辺を訪れるのがおすすめ。スノーケルをするならペロ島へ。 |
そぞろ歩きも楽しいオールドパナマ(パナマ)
パナマシティの中で唯一スペイン植民地時代の趣きある街並みを見ることができるのが、「カスコ・ビエホ」と呼ばれる旧市街です。カスコビエホとはスペイン語で「古い街」といったニュアンスを持つ言葉。別名オールドタウンとも呼ばれ、古くから保存されている教会やアンティークな建物が街を形成していて、ノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。
しかしながらオールドタウンは近年リノベーションされ、スカイブルーにビビッドなイエロー、サーモンピンクにライムグリーンなど、インスタ映えする色とりどりの建物が並び、観光客を魅了しています。おしゃれで個性的なレストランやカフェも多いので、そぞろ歩きをしながらカフェ巡りをするのもおすすめです。
エリア | パナマシティの南東部 |
アクセス | パナマシティ新市街から車で約15分 |
オープン時間 | 火~日のみ。併設博物館:09:00~17:00、遺跡公園:08:30~18:30※月曜日はいずれも休館 |
入場料 | 博物館・遺跡公園共通券6米ドル(927円) |
備考 | 世界文化遺産(2003) |
繊細な彫刻が特徴のマヤ遺跡コパン(ホンジュラス)
コパン遺跡はマヤ文明の古代都市の一つで、1980年にはユネスコの文化遺産にも登録されています。メキシコのチチェンイツァーやパレンケの遺跡のような広大な遺跡ではないものの、歴代の王の像など、様々な石の彫刻が多数残されている神秘的な遺跡なのです。
グラン・プラサと呼ばれる広場はたくさんの見どころが集中しているオススメスポット。そこでは優雅な装飾が施された石碑(ステラ)をいくつも見ることが出来ます。大部分の石碑が13代目のワシャクラフン・ウパフ・カウィル王によるもので、広場の南東端には同じく彼によってつくられた球戯場があります。他にもマヤ文字が階段状に記された「神聖文字の階段」などマヤの生活の一部を垣間見ることのできる遺跡が多くあります。その繊細さは他の広大な規模のマヤの遺跡と異なった魅力を持っており必見です。
エリア | ホンジュラス西部のコパン県コパン・ルイナス市 |
オープン時間 | 08:00~17:00 |
入場料 | 30米ドル(4,636円)(地下宮殿入場料ベット15米ドル(2,318円)) |
アクセス | コパンルイナスの中央公園より車で約5 |
備考 | 世界文化遺産(1980) |
ホヤセデレンとサン・アンドレス(エルサルバドル)
ホヤセデレンはイタリアのポンペイをなぞらえ「中米のポンペイ」とも評される、先コロンブス期のマヤ農耕民集落跡です。1993年エルサルバドル初の世界遺産となりました。650年に近郊のロマ・カルデーラ火山が噴火した時に埋没した村であると見られ、集落がほぼそのまま美しい形で保存されています。中でも興味を引くのは「テマスカル」と呼ばれるサウナ施設。レプリカとして再現されたそれは、かつてのお風呂事情を知ることが出来る貴重な資料となっています。
エリア | エルサルバドルの首都サンサルバドルの北西部リベルタ県サポティタン渓谷内 |
住所 | Carr. San Juan Opico – Agua Escondida Km 32 ,エルサルバドル |
オープン時間 | 火~日のみ:09:00~16:00 |
入場料 | 3(464円)米ドル |
アクセス | サンサルバドルからオピコ行きのバスで約45分(遺跡前途中下車) |
備考 | 世界遺産(1993) |
サン・アンドレス遺跡もロマ・カルデラ火山の降灰で埋もれたマヤ文明の遺跡で、地中に眠ることによって風化を免れました。多くの築山が見つかっており、その地中からピラミッド型神殿の基礎が発掘されています。マヤ文明を起源としていることまでは発掘物等で確認されていますが、発見から80年経った現在でも全容が解明されておらず謎多き遺跡なのです。
エリア | エルサルバドルの首都サンサルバドルの北西部リベルタ県サポティタン渓谷内 |
住所 | CA 1, San Juan Opico, エルサルバドル |
オープン時間 | 火~日のみ:09:00~16:00 |
入場料 | 3米ドル(464円) |
アクセス | サンサルバドルからサンタアナ行きバスで約50分(遺跡前途中下車) |
備考 | 世界遺産外ですがマヤ文明の交易圏を知る貴重な遺跡です。 |
「星の王子様」に登場する火山(エルサルバドル)
イサルコ火山はエルサルバドル西部に位置する活火山で、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの小説『星の王子様』に登場する火山のモデルになったと言われています。ここイサルコ火山の麓は、先住民たちにとって聖地となっている場所。隣接するセロ・ベルデ(緑の丘)にある展望台から眺める観光コースが一般的で、展望台から眺めると、急な斜面とギザギザとした火口を持つ絵本そっくりの山を確認することができます。
イサルコ火山の頂上からは今でも水蒸気が白く上がっており、まだまだ活発に活動している火山であることがよくわかります。セロ・ベルデの山頂にはイサルコ火山が良く見えるロッジがあったり、簡単な散歩コースがあったりして、日帰りの散策程度の気軽さで楽しむことが出来るのです。
エリア | エルサルバドルの北西部サンタアナ県 |
入場料 | 3米ドル(464円) |
オープン時間 | 08:00~16:00 |
アクセス | 首都サンサルバドルより車で約1時間半 |
備考 | サン=テグジュペリのファンの聖地 |
まとめ
本稿では日本人にはあまり馴染みのないニカラグア・ホンジュラス・エルサルバドル・パナマの知られざる魅力についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。
中米の中でもなかなか情報が少ない場所ですが、魅力が伝わり少しでも身近な存在になれば幸いです。メキシコやグアテマラなどを訪れる際に一緒に訪れるのがおすすめです。