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世界最貧国の一つとも言われるカリブの秘境ハイチ。国民の大半が1日1ドル以下の生活を余儀なくされているこの国は、識字率が低く失業率も約70%。カリブにあってまるでアフリカのような国なのです。そんなレッテルを貼られたハイチですが、実はその歴史は知れば知るほど興味深く、見どころも豊富!今回は、記事を読めばきっとイメージが変わる国ハイチの知られざる魅力ついて、実際に訪れた経験のある私がご紹介していきたいと思います。
ハイチってどんな国?
リゾートのイメージが強いカリブ諸国の中で一際異彩を放っている国ハイチ。先ほどハイチを「アフリカのような国」と称したのは、なにもその貧しさによるものだけではありません。実は国民のほとんどがアフリカ系黒人であるこの国。原色で彩られた建物や、人で溢れた町並みはアフリカらしい雰囲気を感じずにはいられません。
実は1804年に世界初の黒人による共和制国家としてフランスから独立をしたハイチ。しかしながら、災害や度重なるストライキによって今なお混乱が続いています。貧困問題が起因した治安の不安定さから決して初心者向けの国とは言えませんが、見るべき箇所はたくさん!現地の人も打ち解けると非常にフレンドリー。旅慣れた人にほどおすすめしたい国の一つなのです
ハイチへの行き方
カリブにあるハイチへはアメリカ経由で行くのが一般的です。マイアミからハイチの首都ポルトープランスへ直行便が出ているのでまずはそこへ飛ぶのですが、日本からマイアミまでは直行便がないのでニューヨークやダラスを経由。最低でも計2回の乗り継ぎになります。また、ハイチ第2の町カパイシャンへもマイアミから直行便があります。一般的なルートはアメリカン航空利用で、羽田→ダラス→マイアミ→ポルトープランス又はカパイシャンという空路。接続便がないので途中マイアミで1泊となります。
さすがに地球の裏側なので超長距離フライトですが、寝たり映画を見ていたら意外とあっという間。アメリカ系の航空会社は日本語対応の映画も豊富なのが嬉しいところです。
また、地続きになっているドミニカ共和国から陸路で国境越えすることも可能。渋滞やトラブルを起こすこともしばしばあるので、滞在期間が短めなら空路での移動をおすすめします。
ハイチのツアー
まだまだ一般的でないハイチ旅行。日本でハイチのツアーを取り扱っている旅行社を見つけるのはなかなか難しいでしょう。
先述した通りハイチは他のカリブの国々と違って治安が不安定な国。航空券だけ買って現地で自由にまわるというのは、よっぽど旅慣れている人でない限りトラブルが多いのでオススメできません。現地を知り尽くしたガイドと共に観光をするのが無難です。
ハイチの魅力が詰まっているのは首都ポルトープランスではなく、第2の町カパイシャン。そのため、ハイチには「ちょっと立ち寄る程度」ならカパイシャンに行くのが良いですが、もし数日滞在するなら両都市に訪れるのも違いが分かって面白いはず。
また、ドミニカ共和国や他のカリブの国々とのコンビネーションツアーもオススメです。いずれにしてもハイチ旅行を専門にしている旅行会社に相談するのがベストでしょう。
カルチャーショック!第2の町カパイシャン
カパイシャンという町を一言で表すとしたら「カオス」という言葉に尽きるでしょう。それほど建物は古く汚く、町も人とゴミで溢れています。私は以前一人旅でインドのベナレス(バラナシ)に訪れたことがありますが、正直そこよりも悲惨です。今回ハイチに訪れる前カリブの美しい島々を巡ってきたので余計汚く感じたのかもしれませんが…(笑)「THE治安が悪そうな町」といった雰囲気。しかしカパイシャンはハイチの中ではマシなほうで、首都ポルトープランスはこれに輪をかけて酷いのだとか。
散々な言いようですが、それでももしハイチに訪れると言うならカパイシャンをオススメします。後述するサン・スーシ城やシタデルはハイチで1番の見どころですし、民家レストランで披露される音楽もエネルギッシュ。また、サービスはまだまだレベルが低いですがハイチとは思えないほど綺麗なホテルも中にはあって、安心して滞在できるのです。
ハイチ最大の名所サン・スーシ城とシタデル・ラフェリエール
カパイシャン郊外のミロにある2つの世界遺産「サン・スーシ城」と「シタデル・ラフェリエール」。独立後ベルサイユ宮殿をモデルにして建てられたというサン・スーシ城は、今は略奪や地震により廃墟になっていますが、当時はヨーロッパの装飾品が運び込まれとても豪華な建物だったそう。
一方シタデルは当時クリストフ王がサン・スーシ城を建てた後、フランス軍の攻撃から国を守る目的で12年という歳月をかけて完成させた巨大要塞。丘の上に建つそこへはサン・スーシ城から馬に揺られて向かいます。
20万人の奴隷労働者を使い造らせたシタデルですが、結局フランス軍が攻めて来ることなどなく、徒労に終わってしまいます。これほどお金と人と時間をかけて造らせたクリストフは、国民から責められあえなく自殺。独立当初から混乱続きだったハイチはそれ以来貧困や独裁政治が続き、追い打ちをかけるようにして起きた大地震によって西半球最貧国となってしまうのです。
こうした特異な歴史を持つハイチ。サン・スーシ城とシタデルは是非その歴史的背景を知った上で訪れたい場所です。
最貧国ハイチの料理とは
最貧国の料理と言うとなんとなく「美味しくなさそう」と不安視する方も多そうですが、実は比較的美味しい料理をいただけるハイチ。元々フランスの植民地だったので料理が美味しいというのはある意味納得かもしれません。
アフリカのような雰囲気を感じさせるこの国ですが、そこはやはりカリブの国。南国らしいトロピカルフルーツが採れるハイチでは、肉や魚の下準備に柑橘系のフルーツをよく使用します。中でもグリオと呼ばれるローカルフードは人気で、オレンジジュースやライムなどに豚肉を浸けて寝かしてからオーブンで焼き上げ、同じく柑橘系のソースでいただきます。豚肉特有の臭さが消えた爽やかな味わいは美味。そのほかにも油でカリッと揚げた牛肉や黒豆とマッシュルームのご飯などシンプルながら美味しい料理はたくさん。私たち日本人の口にもよく合うので、ハイチで食事に困ることはほとんどないはずです。
世界一汚い町!? ハイチの首都ポルトープランス
ハイチの首都ポルトープランスは国内で最も混沌を極める非常にアフリカらしい町。1000万人を超えるハイチの人口の約3割はここに集中しており、一部ではスラム化が進んでいることも問題になっています。そんな経緯もあり今回は治安の面でポルトープランス滞在は断念。しかし訪問経験のある知人にポルトープランスの魅力について教えてもらいました!
十分人が多いと思われたカパイシャンですが、ポルトープランスの混沌さは別格なのだそう。そしてそれに更に拍車をかけているのがカラフルに塗られた車の存在。一つとして同じ塗装の車はないのではと思えるほど、思い思いに塗られている車たち。中には日本製の中古車もあるようですが、写真を見る限り元の面影は皆無。遠くから見ても目立つことこの上ありません。でもこの「はっちゃかめっちゃか」な雰囲気こそ、ここハイチの醍醐味。もし訪れるならば貴重品はホテルに預けて人混みに揉まれる覚悟で挑むことをおすすめします!